2019年度 活動レポート 第361号:筑波大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第361号

ブラジルにおける陽子線治療導入に向けた共同研究

筑波大学附属病院国際医療センターからの報告

筑波大学医学群、医学医療系、並びに本院とブラジル国サンタクルス病院とは平成28年に協定を結んでおり、人材交流やサンパウロでのシンポジウムの開催など双方の連携は活発に進んでいます。平成30年11月には「さくらサイエンスプログラム」によりサンタクルス病院から本院脳神経外科、放射線腫瘍科、並びに消化器内科それぞれに医師3名を受入れました。

今回、筑波大学附属病院では2年度目の招へいとなり、平成30年度と同様、ブラジル・サンタクルス病院より3名が来日し、令和元年9月17日より、「ブラジルにおける陽子線治療導入に向けた共同研究」をテーマとした研修がスタートしました。泌尿器外科にてEduardo Yukio Tanaka先生、消化器外科にてFabiane Shimohakoishi先生、眼科にてPatricia Kakizaki先生が研修を受け入れました。

上記3名の先生方は、9月17日(火)に来日後、つくば駅そばのホテルにチェックインし、2日目の9月18日(水)朝には、Tanaka先生とShimohakoishi先生が本院に到着しました。眼科のKakizaki先生は19日(木)まで学会のため、まずは2名となりました。

国際医療センタースタッフが、初日のオリエンテーションとしてお二人に院内を案内しました。オリエンテーションでは、救急集中治療室や手術室をはじめ、病院の主要な個所をまわりました。その後、国際医療センタースタッフと共に食堂でお昼を食べ、まずは院内の環境にも慣れてもらいました。

午後にはそれぞれが各診療科へと向かい、本格的に、病院での研修がスタートしました。ブラジルの先生方は、初日から、時差を感じさせないほど活き活きとされていました。

その後、それぞれの診療科に分かれて研修がスタートしました。みな、夜遅くまで資料を読み込んだりしながら、大変熱心に研修をされていました。

研修10日目の9月26日(木)には、陽子線センターを視察しました。陽子線センターの視察では、放射線腫瘍科・医学物理学部門、榮 武二教授が、治療装置や放射線照射室を案内しました。今回、ブラジルでの陽子線治療導入に向けた共同研究を行うため招へいされた3人は、大変興味深く榮教授の説明に聞き入っており、積極的に質問もされていました。

放射線照射室にて、榮教授の説明を熱心に聞く3人。
治療装置を上から見下ろしながら説明を聞きました。

榮教授の説明後、陽子線センターの治療計画室にて放射線腫瘍科の医師2名より、日本での治療計画に関する説明を聞きました。相互の活発な議論により、ここでも3人は見識を深めることができました。

治療計画室にて、飯泉医師より照射計画についてモニターを見ながら説明を受けました。

その日の夕方には、研修生による報告会が行われました。報告会は、平松祐司国際担当副病院長、兼、国際医療センター部長による開会の挨拶で始まりました。3人は、ブラジルの現状や、各自の専門分野と陽子線治療との関連性、また、当院で学ばれたことについて、ご自身のブラジルでの経験とも絡めながら熱心に発表されていました。報告会には各診療科を含め大勢の医師が出席し、大盛況となりました。質疑応答の時間も、日本側の意見を聞く滅多にない機会となり、大変有意義な時間となりました

研修10日目の9月26日報告会にて集合写真。

最終週の10月3日(木)には、世界各国の教育機関が集結する本学主催「筑波会議2019」にてセッション発表を行いました。筑波大学附属病院 櫻井 英幸陽子線治療センター部長、サンタクルス病院脳神経外科医の西国幸四郎先生、サンタクルス病院理事のMarcelo TSUJI先生、及びサンパウロ大学教授の二宮 正人先生を登壇者に迎え、原晃筑波大学附属病院長及び筑波大学人文社会系教授の内山田 康先生がモデレーターを務めました。3人はパネルディスカッションの登壇者として出席しました。パネルディスカッションは内山田教授を中心に、3名の若手医師の意見を聞きながらブラジルの陽子線治療の現状や必要性、今後の展開などについて活発に意見が上がり、大変有意義なセッションとなりました。最後にこのような国際会議セッションの場があることは貴重であると思われ、今後もこのような形式が望まれます。

筑波会議でのパネルディスカッションの様子

その後の病院主催の夕食会の席で、永田恭介学長から3名の先生方に修了証が授与され、招へいの先生方も大変満足された様子でした。

最後に、「さくらサイエンスプログラム」をはじめ、ご力添えいただきました関係機関の皆さまに心より感謝申し上げます。