活動レポート

2019年度活動レポート(一般公募コース)第304号

国際貿易を通じて拡大する魚介類ウイルス病制御に向けた検査技術の研修

東京海洋大学からの報告

 世界的に養殖産業が急成長する一方で、活魚の国際貿易を通じて魚介類の疾病が拡大しています。受け入れる輸入国側で動物検疫がありますが、やはり、生産する輸出国側での疾病管理がとても重要です。そのためには病原体の検出などの診断技術が不可欠です。そこで、本学と学生交流協定があって交流が盛んな、フィリピン大学ビサヤス校、インドネシアのディポネゴロ大学を選び、技術研修を企画し、さくらサイエンスプログラムに応募することにしました。

 教員による座学と技術研修だけでは、切迫した緊張感が無いのではと考え、国際的な動物衛生の監視・管理をしている国際獣疫事務局(OIE)も訪問して、講義も受けることにしました。幸運にも採択され、11月19日から28日までの10日間の研修を行うことになりました。両校からそれぞれ引率の講師1名と大学生・大学院生3名を本学の品川キャンパスに招へいし、研修を行いました。

 今回はウイルスに感染したキンギョの検査です。検査マニュアルに従って、まずはキンギョの解剖から。真剣な眼差しで観察所見や臓器の重量などを記録していきます。

まずは病魚の解剖から

 キンギョの細胞を使ったウイルス分離、抗ウイルス抗体での染色検査や感染臓器から抽出しウイルスDNAのPCR検査などを行っていきました。培養細胞の取扱いはクリーンベンチ内での無菌操作になりますが、ガラス越しに行う操作はなかなか難しかったようです。

実験に集中!
細胞培養:ガラスがあるだけで難しい無菌操作

 魚病、防疫、診断などの座学に加え、研究室のゼミにも参加し、それぞれの大学や文化・食べ物などの紹介をしてくれました。

ゼミでの発表を終えて研究室の皆と

 研修の合間には、東京大学弥生キャンパスにあるOIEアジア太平洋地域事務所を訪問してOIEの役割や国際的な伝染病の伝播などについて講義を受けました。自分の国での輸入検疫について、真剣に考え、論議が盛り上がりました。

 また、本学の実習場の一つである千葉県館山フィールドステーションを訪問し、マグロの生殖細胞をサバに移植することにより、サバがマグロの卵を産むという世界先端の研究に触れました。高い技術とアイディアに感動し、説明してくれた大学院生を質問攻めにしていました。

フィールドステーション訪問:えっ稚魚見える?

 計画していた研修メニューを全てこなし、無事研修を終えることができました。研修を受けた学生の魚介類の国際防疫の知識が高まり、皆楽しんで病気の魚の検査技術も一通り習得できました。両校との交流をさらに進め、本学の大学院でこのような魚類防疫について学びたいという学生が現れることを期待しています。

 本学近くのホテルは、近年、宿泊価格がとても上がっています。少し節約する必要もあり、また宗教上の食事メニューの制限などからなかなか頻繁に外食できません。そこで、研究室で日本の学生・留学生とともに夕食を何度か作りました。それぞれの文化の紹介などとても盛り上がりました。今回、2か国から招き交流することで、予想以上の相乗効果がありました。彼らが帰国後も研究室の学生達も含めて皆で連絡を取り合っています。機会があれば、今後も2か国以上の学生を同時に招へい・研修したいと考えています。

せいので息もぴったり:館山洲崎灯台で.
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