2019年度 活動レポート 第299号:電気通信大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第299号

学術交流協定を締結している中国6大学の学生が、超スマート社会に向けた先端科学技術を研修

電気通信大学国際戦略室
高橋 謙三さんからの報告

さくらサイエンスプログラムにより、中国・長江流域で学術交流協定を締結している6大学(本計画幹事校の中国科学技術大学、電子科技大学、武漢科技大学、南京大学、上海交通大学、浙江工業大学)から、学業成績・マナーともに優れ、我が国の科学技術への関心が高い学生12名を書類選考とSkype面談で選抜し、引率教員を加え15名を招へいしました。令和元年11月24日から30日までの7日間にわたり超スマート社会に向けた先端科学技術の研修を実施することで、当初目標を達成しました。

本学は各大学と教育・研究の両面で学術交流を展開しており、今後長期的視野から標記計画は学術交流を促進すると期待されています。超スマート社会に向けた先端科学技術は日中両国に共通の課題であり、基礎となるIoT、AIおよびロボティクスを主体に、招へい者が学内関連研究室での受講・実験室見学により先端科学技術を体系的に理解できるようにしました。

引き続き本学と連携する政府研究機関を訪問し、関連する科学技術の実用化への理解を促進しました。日本の言語や伝統文化に関する基礎知識修得の機会も充実させ、簡単な日常会話を通して本学学生と相互理解を深めました。全招へい者と本学の担当者・交流学生は、中国で普及したスマホのWeChat機能でリンクし、招へい者と常時連絡、移動時・宿泊時の安否確認など、安全管理を徹底しました。招へい者はアンケートで謝意に加え、我が国の先端科学技術の高さを実感したことを述べており、今後の計画策定に反映していく予定です。研修概要は以下のとおりです。

1日目 招へい者全員北京経由の同一便で羽田着、宿舎(JICA東京)にてオリエンテーション
2日目 学長表敬・大学及び留学制度の紹介、中国留学生会長朱瑞宸さんから留学生活動紹介、研究室見学(石橋研究室:IoTセンサ、市川研究室:IoTによる電力網制御、明研究室:高性能多機能ロボット、米田研究室:レーザ分光の体験・フェムト秒レーザ関連技術)、国際教育センター笠原教授による日本語学習・日本文化理解、学生交流・歓迎会
3日目 研究室見学(庄野研究室:Deep Learning医療応用、新・澤田研究室:ソサエティ5.0・自律分散システム、沈研究室:半導体量子ドット次世代太陽電池、桂川研究室:超短パルス光列生成・次世代高速光変調器)、UECコミュニケーションミュージアム見学(過去100年本学の教育&研究に使われた機材:半導体・真空管、レーダ、エディソン蝋管蓄音機、モールス通信機)
4日目 筑波宇宙センター見学(国際宇宙ステーション「きぼう」、AIによる「ハヤブサ2」の制御)、産業技術総合研究所見学(Humanoid Robot、ロボットイノベーション研究センターの研究受講)
5日目 情報通信研究機構見学(展示:時刻標準・音声翻訳等、ビデオ:Society5.0関連研究活動)
理研・脳神経科学研究センター見学(理研の歴史、AIによるfMRI画像分析・4T-MRI等)
6日目 日本科学未来館見学(アンドロイドの表情制御や二足歩行のアシモの実演など)
日本の伝統文化や習慣への理解を深めるため浅草寺周辺視察
7日目 宿舎で研修を総括、帰国の途へ
明研究室にて、人の動きに即して動作し、空間を移動可能な
高度のマニピュレータの研究状況について研究室メンバーから説明を受け、質問する招へい者
米田研究室にて、米田教授の指導の下でレーザ分光を体験、
さらにフェムト秒レーザ・プラズマホトニクス等について説明を受ける招へい者
電気通信大学のコミュニケーションミュージアムにて、
学術調査員の和田光弘さんの説明を受けて、モールス通信機の動作を体験する招聘者
和光市にある理研・脳神経科学研究センターを訪問、
ノーベル賞受賞者を輩出した理研の歴史を学び、
AIによるfMRI画像分析等の研究を聴講後、実験室にて上野研究員から
高精度高空間分解能のfMRI医療画像解析に必要な4T-MRIの構成と動作の説明を聴き、
強磁場の発生実験を体験する招聘者
阿部副学長から修了証書を授与された後、一同で。
前列右から1人目高橋客員教授、7人目阿部副学長、他は招へい者