活動レポート

2019年度活動レポート(一般公募コース)第286号

光は量子力学に従うか?

岡山大学からの報告

<事業目的>

 本交流計画の眼目は、中国の若手学生に基礎物理学の最前線を俯瞰する講義、あるいはレーザー技術やそれを用いた原子物理の実験コースを提供し、もって日中科学技術交流を目指すことにあります。具体的には、3年3段階の実験を経て「光が量子力学に従うか」を実験的に検証し、最先端物理学を体験することを目指しています。今回の交流では、蘭州大学・核科学技術学院(中国甘粛省)の学生及び引率教員の総計11名が来日しました。実施時期は2019年11月11日より11月17日までの7日間です。

中国側及び日本側の参加者による記念写真(歓迎会)

 実際の交流の初日となる第2日目では、オリエンテーションの後、まず自己紹介を行いました。その後、2つの講義(「素粒子と宇宙」及び「レーザー物理」)を行った後に、3つの小グループに分かれ、レーザーの自作に挑戦しまた。また夕方より歓迎会を行いました。初対面にも関わりなく日本側学生教職員ともすぐに打ちとけあい、交流を深めました。

 第3日目は、引き続きレーザーの自作に挑みました。半田付に初挑戦の学生も存在したため不具合も散見されましたが、無事レーザー発振に成功しました。また二重スリットと自作レーザーを使って、ヤングの干渉実験を行い、きれいな干渉縞を観測。干渉縞間隔とスリットスクリーンの距離の測定からレーザーの波長を求めました。当初は測定値とカタログ値が一致しない現象もありましたが、この不一致の原因も解明し、無事測定を終えることができました。

レーザー自作風景

 第4日目は一旦実験を休み、兵庫県にある高輝度放射光施設(Spring-8)及び自由電子X線レーザー装置(SACLA)を見学しました。Spring-8のビームラインで岡山大学の研究者より、実際の実験状況の説明を受け、また加速器も見学することもできて、貴重な体験となりました。

Spring-8加速器での見学風景
実験風景

 第5日目では、光検出器の読み出し回路を製作しました。用いた光検出器は、MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)と呼ばれるガイガーモードAPDをマルチピクセル化したフォトンカウンティング(光子計測)デバイスで、単一光子の検出も可能となります。この装置を使い、レーザーから出射される光子の数分布が、ポアソン分布に従うことを確認しました。この過程でポアソン分布の意味や使い方なども学びました。

 第6日目は、いままでに製作した器具を使い、単一光子によるヤングの干渉実験を行いました。この測定が今回の眼目ですが、予期せぬ雑音に悩まされ、ぎりぎりまで奮闘しました。今年度は実施時間が7日と短かったため、単一光子レベルの干渉縞がきれいに見えたグループと残念ながらうまくいかなかったグループに明暗が分かれました。

 午後には、実験結果の報告会を催し、各グループからの実験結果を持ち寄り、実験の総括を行いました。中国の学生たちにとり挑戦的な実験が続きましたが、充実した7日間を提供できたと考えています。

発表会の風景
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