2019年度 活動レポート 第266号:早稲田大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第266号

人間科学的視点に立つ科学技術・教育・well-beingを統合する日本・タイの人材育成交流プログラム

早稲田大学人間科学学術院
教授 浅田 匡さんからの報告

タイ王国においてCPグループが設立したパンヤーピアット経営学院の学生の10名の招へいを行い、鉄道と地域開発(株式会社西武鉄道)、産業廃棄物処理を中心に、環境問題への取り組み(石坂産業株式会社)、環境変化に対応した農業の改革(農業技術研究センター、埼玉県農林公社種苗センター)、高齢者へのケア(明生リハビリテーション病院)、学校教育におけるICT活用(所沢市立明峰小学校)と、現代社会における問題を中心にその問題解決のための技術活用、またそれらの問題へ対応するための異文化間交流や協働ということをトピックとして、12月15日から1週間のプログラムを実施しました。

本プログラムの目的は、それぞれの企業等の取り組みと早稲田大学での研究を紹介し、両国の人々のWell-beingという視点から、将来的には日本、タイ王国における科学技術を活用し活動できる人材の育成と人的ネットワークの基盤を形成することです。
特に本プログラムにおいて招へい学生から評価が高かった活動として、(1)日本企業での働き方についての経験談(西武鉄道)、(2)リハビリテーション施設の見学、(3)農業における技術活用、(4)教育におけるICT活用のワークショップ、が挙げられます。その他、日本科学未来館など他の施設見学も有意義でした。

(1)日本企業での働き方について経験談(西武鉄道) 2019.12.16.

台湾出身の西武鉄道社員から日本で働くことについて、文化の違いによる人間関係や仕事の仕方などについて話を聞きました。招へい学生から、積極的な質問が出されましたた。

 

(2)リハビリテーション施設の見学 2019.12.18

高齢者のケアに関して、リハビリテーション病院の施設見学を行いました。タイにおいてもヨーロッパからの定年退職者の移住を含め高齢者へのケアが問題になりつつあるということで、日本の施設、また運営は大変参考になったようです。

 

(3)農業における技術活用 2019.12.19.

農業技術研究センターにおいて、「コメの栽培方法が温暖化という環境の変化にいかに対応していくか」についての講義を受け、稲の生育状況の把握技術、また交配による品種改良について理解を深めました。特に、ドローンを活用した稲の生育状況と肥料との関係は興味深く、タイでのコメ生産にもつながる経験でした。

 

(4)学校教育におけるICT活用と早稲田大学学生との共同ワークショップ

所沢市立明峰小学校を見学した経験を踏まえ、小学校算数デジタル教科書を活用し、児童の理解度を挙げるなどの授業改革の可能性を、招へい学生と早稲田大学人間科学学術院学生との協働によるワークショップとして考え、各グループによる発表と評価を行いました。学校教育システムやICTの整備状況などの違いを超えて、両国の学生が協調して課題に取り組む姿が見られ、相互理解が深まる活動となりました。

 

以上から、well-beingという問題を、技術、環境、教育、高齢者(健康)、またロジスティクスと地域開発という多様な視点から、また将来両国のいずれかで働くというライフプランとも照らして、学生間の協働が行われたことは意義があったと評価できます。

早稲田キャンパスでの集合写真