2019年度 活動レポート 第157号:山口大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第157号

リモートセンシングと人工知能による先端情報処理技術に関する学習と体験

山口大学からの報告

令和元年度のさくらサイエンスプログラムの一つとして、10月12日(土)~18日(金)の7日間、インド国立クルクシェトラ工科大学(NIT KKR)の学生5名と教員1名を山口大学に招へいしました。

山口大学には応用衛星リモートセンシング研究センターや工学部知能情報工学科があります。また山口県には山口大学の電波望遠鏡もあるKDDI山口衛星通信所、JAXA西日本衛星防災利用研究センターもあります。これらのリソースを活用することによってリモートセンシングと人工知能を組み合わせた情報処理技術の学習や最新の宇宙利用技術の見学を通じて、我が国が有する先端技術への理解を深めるとともに関心を促すようなプログラムを実施しました。また、プログラムの一部に電気電子分野で最も権威のある学会IEEE主催の国際会議における論文発表や聴講、並びに大阪市立科学館の見学も含め、参加者自身が科学技術の未来や将来の自身の在り方について考えることができるように工夫しました。

1日目

オリエンテーションの後、JAXA西日本衛星防災利用研究センターを見学し、センター職員から施設や設備について説明を受けました。陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の大型模型や観測データの利用を示すパネルは、これから衛星画像処理を学ぶ学生の意欲を高めました。

「だいち2号」(ALOS-2)の大型模型

2日目

山口大学応用衛星リモートセンシング研究センターを見学した後、同センター教員の佐村俊和准教授からリモートセンシング技術の講義を受けました。その後、人工知能技術の一つであるディープラーニングによって衛星画像を森林や草原など6種類に分類する実習を行いました。またディープラーニング専用コンピュータを使うと処理時間が大幅に短縮できることも体験し、その性能の高さに驚くとともに、リモートセンシング技術が実利用の段階にあることを確信していました。

ディープラーニングにより衛星画像を分類する実習

3日目

山口大学のメインキャンパスを見学した後、KDDI山口衛星通信所を見学しました。パラボラアンテナの巨大さと種類の多さに圧倒されたと同時に、それぞれが持つ意味・意義を学習したことと思われます。その後、五重塔で有名な瑠璃光寺を見学しました。

KDDI山口衛星通信所

4日目

Student Research Forumを開催しました。NIT KKRの学生5名、山口大学の学生2名が発表し、活発な質疑応答を行いました。互いの研究を知るだけでなく、友情も深めることができました。その後、工学部長を表敬訪問し、NIT KKRと山口大学の交流をさらに深めるための計画について意見交換しました。

学部長表敬訪問

5日目

山口県から大阪府へ移動し、大阪市立科学館を見学しました。電波望遠鏡の展示もあり、その仕組みについて理解を深めていました。

6~7日目

千里ライフサイエンスセンターで開催された国際会議IEEE GCCE 2019に出席し、2名の学生が厳しい審査の上、採択された論文を発表しました。第一級の研究者や技術者と意見交換することにより、参加者自身が将来の研究開発について自己啓発するような体験になったと思われます。また特筆すべきこととして、一人の学生が「IEEE GCCE 2019 WIE Paper Award」を受賞しました。

「IEEE GCCE 2019 WIE Paper Award」の受賞

このプログラムを通じて、複数名の参加学生が山口大学への留学を希望し、また山口大学のTA学生がNIT KKRでの短期留学を希望するようになりました。これらのことから、本事業が学生に与えた影響は極めて大きいといえます。