2019年度 活動レポート 第156号:宇都宮大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第156号

バングラデシュの若者が高機能材料創製と先端分析技術を体験

宇都宮大学からの報告

宇都宮大学はさくらサイエンスプログラム「科学技術体験Aコース」により2019年10月7日から10月13日にかけて、バングラデシュ国ノアカリ科学技術大学の応用化学・化学工学科から学生7名、若手の研究者2名、教員1名、および引率教員1名の計11名を招へいし、「高機能材料創製と先端分析技術を体験する」のテーマで、研修を実施しました。バングラデシュは発展途上であり近年多くの大学が設置されています。ノアカリ大学は2005年設置と若いのですが、評価が高まっており、同学の発展は同国の発展に大きく寄与しています。また、同大学とは平成31年3月に学術交流協定および学生交流に関する覚書を締結しており、交流協定の活性化に寄与しました。

 

プログラム構成と成果

<初日>

成田空港からの移動後に学内でオリエンテーションを行うとともに、工学部・陽東キャンパスの諸施設(実験研究施設、附属図書館分館、食堂等)を見学しました。

<2日目~4日目:研究室見学における研究内容説明・実験>

メインテーマである先端材料創製に関連する研究室を訪問しました。訪問先は①粉体・界面工学研究室(ナノ材料・ナノ複合材料の調製と応用)、②有機高分子研究室(多環芳香族材料の合成と機能性)、③無機材質化学研究室(機能性セラミックスの調製および全固体リチウムイオン電池材料の合成)、④界面化学研究室(超薄膜材料であるLangmuir-Blodgett膜の調製と応用)、⑤水処理化学研究室(磁気分離活性汚泥法による水浄化システム)、⑥触媒プロセス工学研究室(機能性触媒の調製とミニ実験プラント)の6研究室であり、短時間の中で実験も実施しました。招へい者は研修内容に興味深く取り組みました。

 

<3日目:先端分析設備の見学>

材料開発に必須の各種分析機器(産学イノベーション支援センターの電子顕微鏡、蛍光X線分析、X線回折、X線光電子分光等の分析機器類10点以上)を見学しました。多くが初めて見る装置であり、真剣な眼差しで説明を聞いていました。

 

<4日目:学部学生実験への参加>

応用化学科3年次の授業である有機系学生実験に参加し、白衣と実験用メガネを着用し、バーナーによるガラスキャピラリー管の作成、マイクロカプセル調製、蛍光色素合成などの実験を体験しました。本学3年次学生も国際交流とグローバル化への理解を深めました。

 

<5日目:工場・日本文化見学>

株式会社JSPを訪問し、機能性発泡材料の先端的製造技術と各種製品を見学しました。また、世界遺産である日光東照宮を見学し、日本文化への理解を深めました。後者ではガイドに詰め寄って質問するなど大変興味を持ったようです。

 

<6日目:招へい者による成果発表>

招へい者による研修成果資料作成と発表会、その後に交流会を実施しました。台風が迫る中、時間を短縮して実施しましたが、招へい者の発表は素晴らしく、本プログラムの意義と本学への留学に対する高い意欲が示されました。

今後への要望

今回は台風の影響で交通機関が不通となり、予定通りの帰国が懸念されましたが、バスをチャーターすることなどにより、無事に帰国の途につくことができました。このような状況になったときの対処方法に関する前例などの情報があると大変参考になると考えられるので、今後検討して頂ければ幸いです。