2019年度 活動レポート 第98号:大阪大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第098号

日本のエネルギー分野における最先端の研究技術の体験実習

大阪大学からの報告

2019年8月25日~9月1日、インドネシア科学院(LIPI)物理学センターの優秀な若手研究者6人に対し日本のエネルギー分野における最先端の研究技術の体験実習を行いました。

フォトニクスセンターにて

大阪大学工学研究科の企業協働研究所の1つであるHitz協働研究所を訪問し、トチュウが生成する天然ポリマーから新しいブレンドポリマーの研究開発やその応用について説明を受けました。大阪大学が誇る光学測定や分析機器を保有するフォトニクスセンターを訪問し、物理学研究センターの若手研究者に対し、分析に関する紹介をしてもらいました。

フォトニクスセンターにおける説明風景

また、応用化学専攻内のエネルギー研究関係の複数の研究室を訪問し、最先端設備や研究内容について説明を受けました。さらに実習として、大阪大学の保有する高レベルの分析機器を用いた共同研究に関わる分析実験を行いました。

LIPI物理学研究センターでは、燃料電池開発における高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)の構成材に関する研究を行っており、PEMFCの重要な構成材であるガス拡散層(GDL)について、天然繊維を利用してきました。特に豊富なココナッツの外皮繊維に着目し、既存のGDLに置き換わる高性能材料をバイオマスを利用した開発に取り組んでおります。現時点の性能は既存品には若干劣るものの、更なる研究により既存品を凌駕できる可能性があるため、材料解析および性能評価のための実習を実施しました。主に持参した多孔質炭素のモルフォロジー・表面分析と電気化学的評価を行い、最先端機器を利用した高度なデータを取得しました。

分析機器実習風景

これら以外にも物理学研究センターの若手研究員による有望な研究テーマが提案されており、本学における体験学習・測定において各自のテーマに関する測定データを得ました。このように自分自身のサンプルを評価することは、取得データの意義がその場でわかるために体験実習として極めて効果的であり、分析結果を持ち帰ることで学術論文の執筆や今後の研究にさらなる飛躍をもたらすことを期待しております。

分析機器実習風景

今回の実習を通じ、参加した優秀な研究者がセンター内に成果や経験を持ち帰ることにより、センター全体の研究が世界レベルに飛躍できると考えられます。また、受け入れ側の大学院生にとっても、国際会議やシンポジウムでの海外の研究者との交流とは異なり、実験室における実習現場での密な交流ができました。このような触れ合いが刺激となり、異なる研究分野の研究者であっても今後の研究に対する意欲も向上したと考えております。

若手研究者との集合写真