2019年度 活動レポート 第83号:愛媛大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第083号

位相数学・幾何学・応用数学を中心したキルギスの学生との科学技術交流

愛媛大学からの報告

2019年7月7日から13日の間、「さくらサイエンスプログラム」の支援により、キルギス共和国キルギス国立総合大学の大学生4名、大学院生6名、引率教員1名及びキルギス共和国中央アジアアメリカ大学の大学生5名と引率教員1名(合計17名)を愛媛大学理学部に招へいしました。招へい者を対象に、愛媛大学理学部数学教室の9名の講師が、一人1時間ずつ位相数学・幾何学および応用数学について集中講義を行い、招へい者から非常に高い評価を得ました。

愛媛大学理学長室への表敬訪問

実施期間中に、愛媛大学内の2つの研究拠点(地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)、農学部植物工場)と、愛媛大学ミュージアムを見学しました。GRCは、世界最大の超高圧実験装置を持つ地球科学研究の国内拠点の1つで、特に世界でもっとも硬い人工ダイアモンドの作成で有名です。

愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の見学

また、農学部植物工場は、高度にコンピュータ管理された無人植物工場の実験設備であり、このような施設を持つ大学は、国内では千葉大学と愛媛大学のみです。このような最先端の研究拠点を見学し、招へい者は、非常に強い刺激をうけた様子でした。

愛媛大学農学部植物工場の見学

また、愛媛県内の有力な企業である今治造船西条工場の工場見学も行いました。今治造船は、日本最大の造船会社であり、西条工場では、長さ200m以上の船を年間6隻以上も製造しています。巨大な船が、実にスムーズに精密に組み立てられていく様子に、招へい者は圧倒されていました。また、海の無いキルギスから来た招へい者は、瀬戸内海を見て感激していました。

実施期間中に、愛媛大学の学部生・大学院生とキルギスからの学生が協力して「折り紙の数理」等の課題に取り組み、国際協働作業を体験しました。その課程を通して、学生たちは非常に親密になり、授業時間外にも積極的に国際交流を続けました。最初はなかなか英語で話しかけられなかった愛媛大学の学生でしたが、最後には積極的にコミュニケーションをとるようになりました。このような学生同士の交流については、日本とキルギスの両国の学生にとって、非常に印象的であったようです。

折り紙数理の協同研究

招へい者は、愛媛大学の学生・職員を対象にしたキルギス共和国及び招へい元2大学を紹介する1時間の講演会を行い、参加者は50名程度でした。多くの日本人と同様に、愛媛大学の学生・職員のキルギスについての知識はかなり漠然としたものでしたが、この講演会を通してキルギス共和国に関する認識・興味が高まりました。

キルギス共和国及びキルギス国立総合大学・
キルギス共和国中央アジアアメリカ大学を紹介する講演会

この計画の実施期間中の話し合いにより、招へい元2大学と愛媛大学との間で学術交流協定を新たに結ぶことが決まりました。これにより、数学(特に位相数学・幾何学・応用数学)分野やそれ以外の分野での学術交流の促進と共同研究の発展が強く期待できます。

本計画による活動は、両国の大学生と大学院生にとって大変良い刺激となり、今後の交流が活発になることが期待できるような成果が生まれました。この様な貴重な機会を作ることができたのは、本さくらサイエンスプログラムの支援があったからであり、最後に改めて感謝したいと思います。