2019年度 活動レポート 第48号:東北大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第048号

未来型医療と創薬を目指した日中交流

東北大学大学院薬学研究科
平澤 典保さんからの報告

東北大学大学院薬学研究科は、2019年8月22日より8月28日までの7日間、中国薬科大学より2名の教員、6名の大学院生を招へいし、「未来型医療と創薬を目指した日中交流」を目的とした交流事業を実施しました。東北大学は、その重点目標として未来型医療の創成を掲げています。また薬学研究科では、本学の「社会にインパクトあるプロジェクト」の一環として、この未来型医療の創成に、創薬研究の推進と、最適化医療の実践の両面から取り組んでいます。すでに中国の複数の大学と大学間・部局間協定を結び、ジョイントシンポジウム等を行うなど交流を深めています。今回、伝統ある中国薬科大学から大学院生などを招へいし、東北大学の未来型医療に対する取り組みを知っていただき、また同世代の日本人大学院生と交流することで、創薬に向けた新たな連携体制を構築するために、以下のようなサイエンス体験、交流活動を行いました。

1)東北メディカル・メガバンク機構の見学

東北大学での東北メディカル・メガバンク機構では、住民の医療情報とゲノム情報を複合したバイオバンクを構築しており、世界有数の設備をもっています。そこでまず、未来に向けた東北大学の取り組みを知ってもらうために、東北メディカル・メガバンク機構(星陵キャンパス)を訪問し、担当者から種々の取り組みの説明を受けました。さらに、スーパーコンピューターや、サンプル保存設備(液体窒素、-80度)、DNAシークエンサーなど最先端設備を見学しながらその運用等について説明を受けました。

東北メディカルメカル・バンク機構の見学

2)3教授と面談、交流

薬学研究科(青葉山キャンパス)において、研究領域の異なる4分野(有機化学系、生命科学系、物理化学系ならびに医療系)の研究室を訪問し、それぞれの教授と相互の研究紹介と質疑応答を行いました。その後、研究室内の設備の見学、研究室の若手教員や学生との交流を行いました。研究室ゼミにも参加し、本研究科の大学院生の研究生活の一端を実感してもらいました。

研究室見学
教授による研究紹介

3) 魯迅の階段教室、資料館見学

中国南京出身の魯迅は著名な作家ですが、東北大学の前身である「仙台医学専門学校」に留学し医学を学んでいました。そのときの写真やノート等が展示されているだけでなく、東北大学の片平キャンパスには魯迅の銅像が設置され、さらに魯迅が学んだ階段教室が保存されています。中国薬科大学は南京にある大学で、魯迅との関わりも深く、大きな関心を持って見学しました。

魯迅像とともに

4) 文化交流

東北大学近郊の青葉城址や仙台藩主伊達政宗公をはじめとした伊達家三藩主の霊屋である瑞鳳殿を日本の学生とともに視察し、文化交流を行いました。

わずか1週間ながら、東北大学の未来型医療に向けた取り組み、創薬に向けた研究に関して多くの教授、若手教員、学生たちとの交流の機会をもちました。日本の薬学研究科の学生の生活を知ってもらうとともに、中国での彼らの生活、研究を知ることができ、今後さらなる大学・部局間連携を構築するための良い機会になったと考えられます。