活動レポート

2019年度活動レポート(一般公募コース)第003号

インドネシアの学生が日本の自然環境を守る取り組みについて学ぶ

名古屋工業大学からの報告

 令和元年6月24日から6月30日にかけて、インドネシアのバリ島にある、ウダヤナ大学から教員1名と学生5名を招へいしました。本学と提携関係にあるウダヤナ大学とはこのところ国際交流がなかったため、これを機会に共同研究や学生の受け入れが行われることを目標としました。

 来日初日の名古屋は猛暑となり、初めての外国訪問が非常に過酷な気候でしたが、学生さんたちの意欲、活気が感じられ、先ずは大学の中を見学して回りました。

 今回は、豊かな自然環境を観光資源としているバリ島の大学であるため、どのような取り組みによって生物多様性を維持できるか、日本での取り組みを見学することを目的としています。

 日本における生物多様性の保護の取り組みは現在、いろいろな局面を迎えています。2005年に開かれた愛知万博の現場は自然保護のため、開催予定地が変更となった初めての現場です。現在、この地域は自然保護とはどのような取り組みを行うのかについて大きな議論を巻き起こしています。その現地を見学し、どのようなデータを取り保護をするための技術を研究するべきなのかについての調査を行いました。

伐採による撹乱を引き起こすことで生物多様性の増加が見込まれる地域の生物調査

 この地域は砂礫層からなる地下水が湧き出てくる貧栄養な地域、土壌が発達し常緑林となっている地域、花崗岩質の地域など、様々な生態系が存在することを学びました。

 愛知県の周りには古くから東海層群と呼ばれる砂礫層があります。このことから粘土層の上に溜まった地下水が流れ出る湧水湿地が多々見られます。このような湿地は貧栄養で特殊な生物群が存在します。この生物群は植生遷移によって消失し、また新たな湿地が地滑りによって形成された地域に移動します。この湿地群の見学、保護活動についても見学し、保護活動についてのセミナーを行いました。

川なのに砂丘があり、海なのか川なのかということで議論しているところ

 東海地方にある、巨大な河川の見学も行いました。特に木曽川には河川砂丘と呼ばれるすでに他の地域では消失してしまった生態系が残されています。この河川砂丘が残っている理由の一つが人為的な撹乱であり、このことから絶滅危惧生物が生き残っていることについて議論を行いました。また、外来種の影響が非常に色濃く、どのようにしたら外来種の影響を減少できるのかについての意見交換なども行いました。

ホンドギツネの巣穴があることにびっくりしているところ
侵略的外来種の状況について調査中

 日本における水資源は非常に豊かだと思われていますが、これは努力の賜物です。実際には様々な微生物を用いた浄化を行っています。そこで、日本における水資源を守る取り組みについても見学を行いました。実際に、水処理施設を見学し、高度処理についてレクチャーを受けました。水処理施設では一箇所だけでも年間10億円以上の金額がかかることに驚きつつ、一人当たりに換算すると割と安価であることから、下水処理の重要性について議論を行うことができました。また、見学後、微生物を用いた発電についての研究発表会を行いました。この分野の専門である学生たちの参加だったため、議論が白熱し、今後どのようにすれば下水をうまく活用でき、エネルギーとして有効利用できるのかについて議論することができました。

 人工的な環境が生物多様性を維持できることに驚愕しつつ、人工物が生態系に影響を与えているため、様々な工事が行われている現地にも見学に行きました。特に長良川河口堰はいまだに大きな問題を抱えている施設です。この施設の意義についてレクチャーを受けた後、河口堰の横に作られた魚道についても見学し、自然環境を守るという技術について議論しました。

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