活動レポート

2018年度活動レポート(一般公募コース)第447号

有機超伝導体の合成手法最適化および特性評価に関する共同研究

芝浦工業大学工学部 多重極限電子物性研究室
教授 石井 康之さんからの報告

 芝浦工業大学(Shibaura Instutute of Technology、SIT)石井研究室では、さくらサイエンスプランのご支援を受け、2019年2月14日から3月6日までの3週間、インドネシア11月革命大学(Institut Teknologi Sepuluh Nopember、ITS)、Darminto研究室の7th semester(学部4年生)の学生5名、引率講師1名を招き、共同研究プログラムを行いました。

キャンパス内で記念撮影

 ITSのDarminto教授はこれまで、様々な超伝導体の実験的研究を行ってきましたが、近年、環境負荷を考慮したグリーンテクノロジーの研究も始められ、ココナッツなど天然素材から様々な物質を合成する試みもされています。今回、さくらサイエンスプランのご支援で、環境負荷の低い有機超伝導物質の合成と、物性評価に関する共同研究を開始いたしました。

 来日するとすぐ、お互いの大学がアルファベットで略すとSITとITSとなり、似ている、というところから話がはずみ、終始リラックスしたムードでプログラムを行うことができました。

<1週目>

 まずはSIT側であらかじめ合成を開始していた試料を回収し、目的の超伝導体ができているかを評価することから始めました。有機超伝導体は、1回の合成に1ヶ月程度かかることもあるので、あらかじめSIT側で条件をいくつか変えた合成をしかけてありました。回収物の中から、実体顕微鏡を用いて、結晶化していそうなものを探し、X線構造解析や電気伝導度測定、磁化測定などに用いるために選別しました。その後、ITSの学生さんたちにも、実際に合成実験を行ってもらいました。

合成した試料の電気抵抗測定
手順を確認しながら進めています。

<2週目>

 SIT化学科目の堀顕子准教授の研究室で、得られた試料の結晶構造解析を行いました。また、SIT国際理工学専攻の山本文子教授の研究室で、超高圧合成を体験しました。

山本研究室で高圧合成

<3週目>

 埼玉県和光市にある理化学研究所(理研)を訪問し、加藤分子物性研究室で世界最高レベルの物質合成・評価施設を見学しました。また、理研の大型加速器研究施設、RIビームファクトリーを見学し、夕方には理研の若手研究者の研究交流会にも参加しました。

理化学研究所仁科加速器研究センターのRIビームファクトリーを見学

 今回来日したメンバーは、大学院進学をひかえた学生さんたちでした。みな日本は初体験で、日本の食事が合わない学生がいたり、電車の乗り換えがわからず迷子になりかけたりと、トラブルもありましたが、最後には、『いつか日本にもどって研究したい』『帰りたくない、ここで研究を続けたい』と口々に言ってくれました。

 また、時期柄、本学の入試や停電にもぶつかってしまい、実験ができない日もあったのですが、そんな日はSITに在籍する留学生や事務職員のお手伝いで、浴衣の着用を体験したり、日本科学未来館を訪問したりと、日本文化にも触れて、ITSの学生さんたちには楽しんでもらえたのではないかと思っています。

 このような素晴らしい共同研究のきっかけを作ってくださった「さくらサイエンスプラン」、そしてプログラムの運営を支えてくださったスタッフの方々に、改めて感謝いたします。

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