2018年度 活動レポート 第404号:帝京大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第404号

ベトナムの医療従事者が「感染症」「医療安全管理」「バイオセキュリティ」を学ぶ

帝京大学からの報告

帝京大学アジア国際感染症制御研究所(ADC研)は、さくらサイエンスプログラムの支援により、2018年10月29日~11月7日までの10日間研修プログラムを実施しました。ベトナム国立小児病院(ハノイ)から4名(医師3名、研究員1名)、ベトナム国立大学第一小児病院(ホーチミン)から医師4名、計8名の医療従事者を招へいし、「感染症」「医療安全管理」「バイオセキュリティ」の3つをテーマに日越の違いを中心に研修を行い、交流を深めました。

1.ADC研の紹介、大学ツアー、歓迎会

初日、深夜の出発、早朝の到着にもかかわらず、大学内のツアーからADC研での実験準備まで精力的に活動しました。すっかり秋も深まり、皆さん、日本の寒さと紅葉の美しさに驚いていました。

帝京大学医学部附属病院屋上にあるヘリポートにて

2.講習会:バイオセキュリティ(感染研 棚林先生)、医療安全

研究所で実験をするにあたり、「バイオセキュリティ」講習会を実施しました。また、「医療安全管理」について、附属病院安全管理部部長による講習、現場スタッフとの意見交換を行い、それぞれの病院での安全管理に対する考え方について議論しました。帝京大学での安全管理の徹底に皆さん驚いていたようです。

3.実験室研修:ADC感染症研究室、シミュレーションの実技

ADC研での「感染症」実験は、主にインフルエンザの研究に関して、ウイルスの培養から型別の解析法、感染価の評価など数日に分けて行いました。普段研究には携わっていない医師の方々にとっては、大変興味深かったようです。

ADC研感染症実験室にて

また、シミュレーションでは、小児のモデルを使って実技を行いました。皆さん専門分野でもあるため、大変熱心に取り組んでいました。

シミュレーション実習

4.講義:感染症、微生物学、公衆衛生学、薬学

医学部、薬学部、公衆衛生学の各教室で講義を実施していただきました。どの講義でも活発な質疑応答が続きました。

医学部微生物学講座での講義

5.医学部附属病院ラウンド:小児科、看護部、感染制御部、中央検査部、薬剤部、臨床工学センター、減菌室

附属病院内の様々な部局を4日間にわたり、視察しました。特に感染制御部では、実際に行っている手指衛生からガウンの着脱までを体験し、普段何気なく行っていた動作について指導を受け、皆さん戸惑っていました。

手指衛生からガウンの着脱法に関する講習風景

6.医学部1年生の授業「世界に羽ばたく医療人」

医学部1年生の講義の中で、プレゼンテーションを行い、医療人として学生との交流を図りました。

7.学外

ADC研と連携している結核研究所(東京都清瀬市)および聖路加国際大学(東京都中央区)を訪問しました。

8.修了証授与および歓送会

最終日は、全員に印象に残ったことや今後の仕事に生かせることなどのプレゼンを行ってもらいました。その後の歓送会では食事を取りながら、大学関係者と意見交換会を行いました。

10日間という非常に短い期間でしたが、本プログラムを通して、帝京大学が実施している医療安全や感染症制御に関して理解を深めてもらうことができ、大きな刺激となったようです。これを機会に今後もさらなる連携を深め、国際共同研究などの進展に繋がることを期待しています。

最後にこのような貴重な機会をいただけたことに、さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。