活動レポート

2018年度活動レポート(一般公募コース)第343号

日本における地域密着型生態系管理の研究及びコロンビアへの適用可能性の探究

上智大学からの報告

 2018年12月2日から12月13日の日程で、コロンビア教皇庁立ハベリアナ大学から、学生・教員・研究者、合計10名を招へいし、共同研究プログラムを実施しました。

<伊豆大島フィールドワーク>

 日本は、地域社会に根ざした生態系保全や資源管理、災害後の劣化した生態系のリハビリ・再生における世界的リーダーです。島の視点から資源管理のテーマを探りました。例えば、島嶼国の水管理、食料安全保障や生物多様性保全の課題を研究する。また、大島フィールドワークのもう1つの目的は、島国である日本に順応することです。言い換えれば、大陸からきたコロンビア人に島意識を肌で感じさせて、学術的に限られた資源についての管理・利用そして環境保全について考えさせてみたりしました。

東京都大島町・漁港にて漁業関係者へのヒアリング実施風景

<大崎市・蕪栗沼>

 日本は、生態系に基づく管理の伝統が長い。 湿地を例にすれば、 2008年、日本は湿地と渡り鳥に関する国連ラムサール条約で、地球環境政策の歴史を作りました。既存の多国間環境協定の中で初めて、マルチステークホルダー・コミュニティベースの取り組みによって達成された自然湿地と周辺のリハビリテーション湿地の国連指定を達成しました。これは21世紀の環境政策と資源管理アプローチの転換点として世界的に認められています。自然の生態系を保全する方法は20世紀の保全政策の焦点でしたが、一旦劣化され、壊した自然界をどのようにリハビリ・再生されていけばいいか日本の努力のおかげで伝統的な知識(TK)と現代科学を組み合わせた異種間のアプローチによる劣化生態系のリハビリのモデルができました。

宮城県大崎市・日本流有機農法の視察風景

 湿地再生と水管理の視点から、日本におけるコミュニティベースの管理アプローチを探求します。また、湿地のリハビリだけでなく、3.11後の自然再生、コミュニティ復興とリスク管理を見ていくことです。2011年の災害復興後に、湿地再生の取り組みが重要な役割を果たしてきたフィールドから、どのような教訓が得られるかを学びあいます。

宮城県大崎市・蕪栗沼にて水質調査実施風景
宮城県大崎市・蕪栗沼にて水質調査実施風景

<大崎耕土>

 平成29年12月にFAO国連食糧農業機関の世界農業遺産に認定された「持続可能な水田農業を支える『大崎耕土』の伝統的水管理システム」が世界農業遺産に認定されました。洪水と干ばつと戦ってきた大崎平野では、江合川、鳴瀬川の流域に広がる水田農業地帯として発展してきた大崎地域は、「やませ」による冷害や地形的要因による洪水、渇水が頻発する三重苦とも言える厳しい自然環境の中、中世以降、取水堰や隧道・潜穴、水路、ため池などの水利施設を流域全体に築くとともに、相互扶助組織「契約講」を基盤とする水管理体制を整えることで、「巧みな水管理」を柱とした水田農業が展開され、「大崎耕土」と称される豊饒の大地を形成してきました。

 また、農業が育んできた豊かな農文化や水田や水路、水田の中に浮かぶ森のような屋敷林「居久根」のつながりが豊かな湿地生態系を育み、多様な動植物が存在する独特の農村景観を形成しています。この農業や農業が育む文化、生物多様性、美しく機能的な農村景観が一体となった農業システムが、未来に残すべき「生きた遺産」を足で歩き、宮城に学んだことをコロンビアで活かせたらという思いを胸に抱きしめながら、コロンビアへ飛んで、無事到着しました。

宮城県大崎市・水田んぼ視察風景
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