2018年度 活動レポート 第339号:奈良先端科学技術大学院大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第339号

植物幹細胞の発生制御および環境適応に関する日中研究交流

奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科
バイオサイエンス領域 教授 伊藤 寿朗さんからの報告

平成31年2月20日~2月26日に、さくらサイエンスプログラムの支援をうけ、南京大学生命科学学院(中国)から、学部学生1名、大学院生3名、ポスドク1名と教員1名の計6名を受け入れました。

2月21日、教授室にて、南京大の一行に、私の研究経歴を交えた自己紹介から始めました。次に奈良先端科学技術大学院大学の紹介を英語版の大学案内冊子を用いて行いました。さらに使節団の一人一人の自己紹介および研究についての話を聞きました。

自己紹介

午後は、研究室の学生と一緒に合同セミナーを行いました。私の研究室の留学生が発表し、続いて、日本人博士課程の学生、さらに修論発表を終えたばかりの修士課程2年の学生達が英語にて研究発表を行いました。多くの重要な質問があがりました。また、南京大からは5名の研究発表がありました。研究レベルはとても高く、また実験量も圧倒的に多いものでした。中国では金銭的なサポートを十分に受けており、博士過程に進学することを前提にした研究教育を行えているようです。

合同セミナー

夕方には、私の研究室の教員および所属する日本人学生達と親睦を深めることを目的とした歓迎会を開催しました。日本と中国の学生達は大いに打ち解けあい、それぞれの文化の違いなどを非常に和やかな雰囲気の中、話していました。

22日は、学内の研究室訪問より始まりました。使節団は奈良先端バイオ遠藤求研究室にて単一細胞での遺伝子発現解析の研究についての議論をしました。その後、同バイオ峠隆之研究室にてメタボローム解析についての議論を深めました。

学内研究室訪問

さらに、南京大の学生たちは、私の研究室の留学生Wu Jinfengくん、Lee Ze Hongくんらの指導のもと、花の突然変異体の遺伝学的相互作用の解析を行いました。さらに生化学的な実験として花発生の幹細胞マーカー遺伝子の観察を行いました。午後は南京大のSun Bo先生にバイオの職員、学生に向けての講義を行って頂きました。

生化学実験

23日は、すでに行った合同セミナーの情報をもとに、フリーディスカッションにより研究の議論を深めました。さらに、全員で植物西條研に訪問して、実験の具体的な話や議論を行いました。

その後、学生達は奈良の市内観光にて唐招提寺、奈良公園などを訪問しました。 翌日は京都大学を訪問し、その後京都市内観光を行いました。

帰国前日には大阪大学生命機能の甲斐敏江教授の研究室を訪ねました。甲斐研究室には中国からの留学生もおり、意見交換を行いました。その後、万博記念公園内の日本庭園などを散策し、大阪市内観光を行いました。

大阪大学訪問

このプログラムに参加した学生は、皆、本国でとても活発に研究を行っている非常に優秀な学生たちでした。始めて訪れる日本の文化および研究環境に大いに興味を示し、日本の学生たちともよく話し、多くのことを吸収しているように見えました。今後、日中の個人レベルでの人的交流をさらに深めていくことで、安定的な相互進展が期待出来ると感じました。最後に、このような貴重な機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」にお礼を申し上げます。