2018年度 活動レポート 第237号:大阪府立大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第237号

ラオスの学生が日本の環境技術を学ぶ

大阪府立大学現代システム科学域からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、ラオスのラオス国家大学およびスファノボン大学から若手教員2名、大学生8名の計10名を招へいし、2018年12月10日から12月17日の8日間に学術・文化交流を行いました。

12月10日(月)、早朝の7時前に関西空港に到着し、大阪府立大学に到着後、8日間の研修予定の説明を受け、事務書類の作成を行いました。大阪府立大学の学生と生協食堂で昼食後、13時から大阪府立大学の学長へ表敬訪問を行いました。その後、亜臨界を用いた廃棄物のメタン化および超音波照射下でのBDF製造装置の見学を行いました。

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大阪府立大学学長表敬訪問

12月11日(火)は、朝から人間社会システム科学研究科の黒田桂菜准教授による、海洋環境と海産バイオマスの利用に関する講義を受け、講義の研究室見学により実際の装置や研究の説明を受けました。午後には本学が国際特許を持ち東南アジアで展開している今日溶媒法によるバイオディーゼル燃料(BDF)の製造実験と、その分析の体験をしました。この体験は、今後のラオスにおけるBDF製造にとって重要となる技術であり、貴重な体験となりました。夕方から、大阪府立大学の学生、留学生、教員、事務職員を交えて歓迎会を行いました。

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海洋環境研究室所見学

12月12日(水)は、午前に人間社会システム科学研究科の興津健二教授による超音波化学の講義と、研究室見学を兼ねて実際の研究状況の説明を受けました。午後は竹中規訓教授による大気環境及び水環境の化学分析に関する講義を受けました。その後、大阪府立大学の植物工場の見学を行いました。大阪府立大学の持つ研究環境や科学技術を体験、見学することができました。

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超音波化学実験室見学と実験体験

12月13日(木)は午前中に滋賀県庁を訪問し、滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課水質・生態系係課長補佐の奥田一臣氏から、滋賀県による琵琶湖の水環境の変遷や行政の取り組み、琵琶湖モデルについての説明を受け、市民による活動の重要性を学びました。その後、その取り組みの紹介を含む、琵琶湖の自然状況などを展示している琵琶湖博物館の見学を行いました。さらに、東近江市にある、あいとうエコプラザ菜の花館(菜の花プロジェクト)の見学を行い、ここで活動しているNPO法人愛のまちエコ倶楽部事務局の園田由未子氏より、菜の花からのBDF製造、菜の花油から製造した石鹸、バイオ炭の生成施設の見学と説明を受けました。BDF製造、使用の現状と問題点の説明を受けました。

12月14日(金)は、近江八幡市にある日吉㈱において、黄氏より同社の環境事業の取り組みについての説明を受け、その後、排水処理、水分析の研修・見学を行いました。神戸のJICA関西の訪問ではJICA市民参加協力課の西原晶子氏よりJICAの取り組みについての説明を受け、施設内の見学を行ないました。さらに、夕方には、東南アジアでBDFの製造を目指している、㈱ヤンマー、KANSOテクノスの担当者と意見交換を行いました。

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日吉㈱にて環境分析の現場視察
(ここで通訳しているのは2014年にさくらサイエンスで来日した府立大在籍の留学生)

12月15日(土)は大阪府立大学の学生との交流を深めることを目的に、午前に世界遺産の東大寺の見学に行きました。大阪府立大学の学生も熱心に英語で日本の文化や東大寺の説明をしてコミュニケーションをとり、交流を深めていました。その後、大阪の海遊館の見学を行いました。ここでも、魚の英語に苦労しながら、楽しく会話をしていました。夕方に修了証の授与式を行い、その後送別会を行いました。

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海遊館見学

12月16日(日)は、午前中は大阪府立大学の学生との交流を兼ねて、日本の文化、ラオスの文化に関する意見交換会を行ないました。その中で着物を着る体験を行いました。午後は、アンケート作成の後、このプロジェクトの感想を聞くなど、引率教員と今後の共同研究に関する意見交換を行いました。

12月17日(月)、早朝10時半発の飛行機により帰国しました。

短い期間ではありましたが、日本の教育現場、研究環境の見学、滋賀県の琵琶湖を保全する取り組み、BDFの講義・製造体験・施設見学、環境処理。分析企業の見学、日本人学生との交流を兼ねた世界遺産の見学着物体験による日本文化の体験など、人・技術・文化の交流により大変有意義なプログラムを実施することができました。大阪府立大学の学生にとっても、他国の同年代の学生と話をし、お互いの国の政治、文化、経済の話をすることができ視野が広がったと思われます。また、アンケートをみても、頑張ってスカラシップを取って、日本の大学院に進学したいという学生がほとんどで、非常に充実した8日間だったことがわかりました。このような貴重な機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」に心から感謝申し上げます。また、このプロジェクトにご協力いただいた全ての方に感謝申し上げます。