2018年度 活動レポート 第191号:富山大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第191号

持続可能な社会構築のための基盤材料に関するグローバル先端技術のアクティブラーニング

富山大学大学院理工学研究部

平成30年11月12日(月)から11月21日(水)、富山大学大学院理工学研究部(材料機能工学専攻、都市デザイン学部)では、山東大学(中国)、チェンマイ大学(タイ)、ハノイ工科大学(ベトナム)の3ヶ国の大学から材料系大学院に在籍する学生15名(各大学5名)と引率教員3名(各大学1名)を受け入れ、さくらサイエンスプログラムによる交流を実施しました。

平成29年7月に本事業で当該3大学から同時に学生9名(各大学3名)と引率教員3名(各大学1名)を招へいし、本学の大学院生を交えて実施した国際交流について参加者から大変高い評価を得ました。ただし、招へい参加学生人数が少ないために、招へい学生間の交流に関しては消極的な様子が伺えました。今回は、招へい学生数を増やしたこと、および2回目であることから、プログラム開始から招へい学生間の積極的な交流が見られ、招へい期間全体を通じて賑やかな雰囲気でプログラムを実施できました。

本事業では交流を大きく発展させて、定常的に大学院生が交流する体制を構築し、東アジア地域の若者を国際的に活躍する高度技術者に育成することを目的としました。そのため、プログラムの講義では、本専攻で培ってきた電子顕微鏡によるナノ技術を駆使したアルミ合金組織研究法を講義と演習で学びました。また、自動車メーカーと共同研究を行っている鋳造技術は、もの作りの基本であり、プログラムの初めに体験学習を行いました。さらに、産学連携で培った富山地域産業の優れたアルミ産業技術を学習するために、地域企業2社を見学しました。プログラムの最後には、本専攻の大学院生とグループワークで「もの作り競技会」と研究発表会を行い、参加学生の本学への留学の関心を高めるとともに、本学の日本人学生にも、貴重な国際交流の機会を提供しました。

交流実施1日目は、夜の到着となったため、宿泊のホテルへ移動のみとなりました。2日目、宿泊したホテルから富山大学都市デザイン学部までは、路面電車と徒歩で約30分の道のりを移動し、初めにオリエンテーションと学長訪問を行いました。午後には、軽金属(アルミニウム合金、マグネシウム合金)の製造・鋳造に関する講義を行い、アルミニウム合金の鋳造実習を行いました。夜には、材料機能工学専攻の教職員、本学国際部職員とプログラム参加者とで歓迎会を行いました。

写真1
製造・鋳造に関する講義風景

交流実施3日目では、午前中に金属・合金の腐食・防食・リサイクル、セラミックスに関する講義・研究室見学を行い、午後に金属・合金の溶接・製錬に関する講義・研究室見学を行いました。交流実施4日目と5日目では地域のアルミニウム製造企業の見学として三協立山株式会社とYKKAP株式会社を訪問見学しました。プログラム参加者には、軽金属の鋳造を研究している大学院生がおり、企業技術者と専門的な議論が活発に行われました。

交流実施6日目では、北陸の歴史と文化を学ぶ目的で、富山県南砺市の相倉合掌造り集落と石川県金沢市の兼六園・金沢城を見学しました。日本の伝統文化と高度文明の調和に高い関心をもっているように伺えました。

写真2
金沢兼六園にて

交流実施7日目と8日目には、アルミニウム合金の熱処理・組織観察に関する講義・演習・発表を行いました。交流実施9日目では、プログラム参加学生と本学の材料機能工学専攻学生の混成5チームによる「アルミニウムを利用した工作実習コンテスト」を実施しました。テーマは、“ビルの4階から落下させる生卵を保護する器具をクッキングフォイルで作製すること”。コンテストの後に、プログラム参加学生と本専攻学生による討論会と修了証授与式、そして送別会を行いました。

写真3
熱処理・組織観察風景1
写真4
熱処理・組織観察風景2

この交流を通して、4ヶ国の大学の大学院生の交流が活発に行われました。アンケート結果は、全員が今回の日本訪問について” Very satisfied”と回答しました。

写真5
修了式の様子