2018年度 活動レポート 第167号:福山大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第167号

瀬戸内の自然とスマートシステムの共生を考察する日越交流プログラム

福山大学
工学部長 香川 直己さんからの報告

はじめに

福山大学は、工学部スマートシステム学科を中心として、2018年8月27日から9月2日の日程でベトナム国立ハノイ土木大学情報工学部から教員1名、4年生10名を招へいしました。テーマは「瀬戸内の自然とスマートシステムの共生を考察する」。IoT活用のための体験型学習(ハンズオンセミナー)と、企業見学、平和学習、そして、地域企業等との交流を行いました。

8月27日朝、11名の皆さんは、関西国際空港に到着しました。その後、列車を乗り継いで、お昼前に福山大学へ。昼食会の後、オリエンテーション、学内見学、そして尾道の散策で初日を終えました。

ハンズオンセミナー

8月28日と30日は、IoTハンズオンセミナーを行いました。スマートタウン化を進めるハノイ市とスマートシティ化を考える福山市の将来の協働も見据えて、スマート化を支えるIoTの活用を実習テーマとしました。スマートシステム学科の教員の指導の下、大学院生3名と学部4年生3名がTAとして、機械システム工学科のベトナム人留学生が通訳として参加しました。

ハノイ土木大学の学生と日本人学生の混成チームを5つ作り、作業を進めました。言語は英語ですから学生同士の意志疎通は容易ではありませんでしたが、身振り手振りも駆使して、初日の終わりには各チームとも議論ができるようになり、「企画」とセンサ、マイクロコントローラ、そして通信デバイスの構成の「設計」を終えました。

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ハンズオンセミナーの初日の様子。まだぎこちない感じです。

30日は、IoTシステムの製作と実験です。あるチームは、スマートパーキングを想定して学科の自動走行車椅子を利用した実験、別のチームはインフラの老朽化対策をテーマとし、学内にある連絡橋の振動を検出しました。全チーム有意義な考察を導き出し、成功裏にミッションを終えました。

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ハンズオンセミナーの無事終了をお祝いして、スタッフ、TAも含めて記念撮影をしました。大変だっただけに、皆さん大満足でした。

社会見学・交流

8月29日は広島市内へ赴き、平和記念公園と原爆資料館、そして通信企業であるソフトバンク(株)広島オフィス、モデルベース開発で優れた性能の車両を開発するマツダ(株)を見学しました。

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マツダミュージアムでは技術者の方から説明を受けました。

8月31日は、シャープ(株)でクリーンルームに入れて頂き、半導体センサの製造工程を見学しました。午後は、鞆の浦を散策しました。その後、福山市内の企業の皆様や広島県、福山市、商工会議所の皆様との交流会を開催し、様々な分野の方々と交流しました。

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シャープ(株)では微細なセンサーチップに感心。この後、クリーンルームを体験。

最終日は、スマートシステム学科の研究室見学を行い、送別会を開催して再会を約束しました。

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スマートシステム学科研究室の見学では、様々な研究成果に関心が寄せられました。

おわりに

来日した皆さんの中には将来、母国のスマート化に寄与する方がおられるでしょうから、この度の研修は、実習、企業見学による技術体験に加えて、「企画」に力点を置きました。参加者からは高い評価を頂き、福山大学での研究を望んで下さる方もおられました。

スマートテクノロジーは、自然環境を保全し、平和の維持に寄与しければなりません。世界ではIndustry4.0が、日本ではSociety5.0が謳われ、福山市にも、AI/IoTを駆使した街づくり構想があります。本事業を端緒として、県や市、地域企業の皆様と魅力ある備後地域を成し、来日した彼らとも持続可能な関係を築きたいと思います。