活動レポート

2018年度活動レポート(一般公募コース)第163号

中国科学技術大学の大学院生が量子ビーム科学の最前線を体験

大阪大学産業科学研究所からの報告

 大阪大学産業科学研究所(以下、阪大産研)では、平成30年9月24日から10月1日の間、さくらサイエンスプランにより、中国科学技術大学の大学院生10名(および引率教員1名)を招へいしました。

 電子ビームやEUV、レーザといった量子ビームは、半導体ナノ工学や放射線医学、原子力工学を始めとする現代の様々な科学分野に不可欠なソースとなっており、本プログラムではその発生から応用まで、講義や学内外の施設訪問を通じて最新の研究開発に直に触れ、見識を深めることを狙いとしました。

 阪大産研・古澤研究室において、ビーム誘起反応基礎作用研究に関する講義を行いました。3名の講師より、高温・超臨界流体のビーム化学、超微細加工技術に係るナノ空間反応、生体内の放射線生物化学反応といった多岐にわたる最新知見について講義がなされました。更に、大学院生同士の研究発表交流会も開き、お互いの研究活動を知る良い機会となりました。

写真1 大阪大学の講義および日中の大学院生による研究発表・交流会にて

 阪大産研・量子ビーム科学研究施設において、超短パルス電子線や高強度自由電子レーザを発振可能な電子線型加速器(ライナック)や、コバルト60ガンマ線源といった大型装置の他、超短パルスレーザ、EUVといった様々なビーム発生装置を見学しました。発生原理、ビームの高品質化やその利用について活発な意見が交わされました。

写真2 大阪大学産業科学研究所・量子ビーム科学研究施設・超短パルス電子線型加速器の見学

 学外施設を視察する機会も設け、量子科学技術研究開発機構(QST)・関西光科学研究所と日本原子力発電㈱敦賀発電所を訪問しました。QST・関西光科学研究所には世界最高レベルの超短・超高強度レーザシステムが構築されています。従来の加速器とは全く異なる航跡場加速方式により、光のみで高エネルギーの電子やプロトンビーム発生が可能であり、その発生原理から応用研究まで熱心な議論が交わされました。

 日本原子力発電㈱の敦賀発電所も訪問しました。沸騰水型軽水炉と加圧水型軽水炉が設置されています。東日本大震災以来、補助電源設備や防潮堤といった様々な安全対策が強化されており、現場を回りつつ丁寧に説明いただきました。安全に対する徹底した精神や姿勢を肌で感じることが出来ました。更に、プラントの心臓部である格納容器内の圧力容器、蒸気発生器、燃料プールから隣接するタービン建屋まで案内いただきました。発電プラントの実機を目の当たりにする機会は、実に貴重です。百聞は一見に如かず、その巨大設備はまさに圧巻であり、参加者は衝撃を受けたようで終始興奮気味に意見交換を行っていました。

写真3 日本原子力発電㈱敦賀発電所の視察

 大阪市立大学で開催された放射線化学討論会に出席し、日本の放射線化学研究の最前線に触れる機会を得ました。今年で61回を数える歴史ある学会です。全員がポスター発表を行い、第一線で活躍する研究者との議論を行う一方で、懇親会では、研究者のみならず同年代の学生とも交流を深めました。ほとんどが学会への参加は初めてであり、学会ならではのアカデミックな雰囲気を皆さん非常に気に入ったようです。

写真4 第61回放射線化学討論会 ポスター発表
写真5 懇親会にて

 今回は、来日前には台風21号による関西空港の閉鎖、滞在最終日には台風24号の直撃など終始天候に泣かされたものの、幸い予定のプログラムを全て無事に終えることが出来ました。本プログラムを遂行するにあたって、御協力いただいた全ての方々に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

pagetop