活動レポート

2018年度活動レポート(一般公募コース)第120号

核融合装置用超伝導コイル電源の高性能化に関する日中交流プログラム

核融合科学研究所からの報告

 核融合科学研究所(NIFS)では超伝導マグネットを使ったヘリカル型核融合プラズマ実験装置LHDを、中国安寧省合肥の合肥研究所等離子(プラズマ)研究所(ASIPP)では超伝導トカマク型の実験装置EASTを運用しています。それぞれ、特徴のある実験装置です。

 そこで、さくらサイエンスプランの支援を受けて、2018年9月10日から17日の日程で、これら核融合実験装置について主に電源設備の研究開発に関する施設見学とセミナーを中心にした技術交流を行いました。合肥からは中国科学技術大学院博士課程学生5名准教授1名と、合肥研究所のポストドクタ研究員1名を岐阜県土岐市の核融合科学研究所に招へいしました。

<1. 見学>

 LHDとEASTでは同じ超伝導プラズマ実験装置と言っても使われている装置の様相は大きく異なります。そこで、最初にLHD本体と制御室の見学を行いました。

 まずは模型を前にして、LHDや周辺設備全体についての説明です。LHDの超伝導コイルやそのための1万アンペア級大電流超伝導線、超伝導送電線の説明をしています。

写真1 LHD全体について模型で説明

 次に、LHDのプラズマ真空容器(実物大試作品)や超伝導コイル(実物大試作品)を展示している場所に移動します。LHDの真空容器はらせん状の超伝導コイルの中に納まる、複雑な3次元形状をしています。EASTも真空容器がありますが、もう少し単純な形状です。実物大の複雑な容器を前にして、計測のための開口や、製造方法などに興味深々でした。

 続いて制御室の見学です。LHDは実験前のメンテナンス期間中でしたが、以前に撮影したプラズマの動画を主スクリーンに映し、運転制御の様子を説明しています。

写真2 LHD制御室の見学

 そして、今回の主テーマでもある大電力設備の見学です。LHDではプラズマ加熱や超伝導コイルのために、大電力の電源を複数保有しています。実際に、これらの大電力設備を前にして、大電力特有の課題などについて議論しました。

 核融合研では、実験と同時に仮想現実(VR)を使っての研究も行っています。VRを使えば、現実では目で見えないプラズマを、あたかも運転中の実験装置の中から見るように観察できます。実際に装置の中を歩き進んでいるような感覚で立体的にプラズマ中の磁力線などを見ることができます。

写真3 仮想現実(VR)を見学

 LHDやEASTのような大型プラズマ実験装置では、超伝導コイルの開発も重要な研究テーマです。NIFSでは高温超伝導電線の開発試験のために極低温ながら温度を調節して試験できる温度可変低温設備を保有しています。これらの設備と一般の方々に超伝導の面白さを感じていただく磁気浮上列車の実演をしました。

写真4 超伝導磁気浮上の模型を前にして

 見学の最後は、名古屋市科学館です。合肥にも同様な科学館があり、休日などは子供連れでにぎわうとのこと。化石や工業生産品に関する展示、ギネス記録のプラネタリウムの見学をしました。

<2.セミナー、研究発表会>

 その後、NIFSの教員により、プラズマ加熱装置や超伝導コイルの電源装置の開発について講演を行いました。

 つづいて、中国からの参加者各自による、EASTや国際核融合実験炉ITERの電源研究に関する研究発表を行いました。

写真5 久保教授による講義

<3.番外編>

 研究所近くの日本料理屋(田舎料理)にて懇親会を開催しました。会には今回の来訪者に加えて、同大学院から留学している学生2名も合流しています。合肥には日本料理店も多くあり、寿司屋にも時々行くとの話でしたが、今回のような和食は経験がないとのことでした。

<4.さいごに>

 今回の技術交流では多くの方々のご協力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

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