2018年度 活動レポート 第90号:大阪大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第090号

最先端加速器実験及び検出器体験プログラム

大阪大学核物理研究センターからの報告

大阪大学では、2018年9月29日から10月7日までの9日間、中国・北京航空航天大学(略:北航大学)から8名を招へいし、最先端加速器実験及び検出器体験プログラムを実施しました。

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世界最高分解能磁気分析装置Grand Raiden見学

大阪大学核物理研究センターは北航大学「物理科学与核能工程学院」(School of Physics and Nuclear Energy Engineering)と学術国際交流協定を締結しており、毎年共同研究、研究交流を行っております。これまで、複数の北航大学の大学院生が核物理研究センター加速器施設にて実験を行い、修士及び博士学位を取得されました。最近では、北航大学から学部卒業生1名が大阪大学大学院に入学しました。

本プログラムは北航大学の学部2年生を対象とし、大阪大学が持つ世界トップレベルの実験施設を見学すると同時に、最先端の原子核物理学実験を体験することを目的としました。

原子核物理の研究は基礎科学の発展だけでなく、粒子線がん治療、放射性医薬品の開発や工業用半導体の耐放射線性研究など様々な応用分野において重要な役割を担っています。プログラムの前半では、学生達は中国及びマレーシアからの留学生を含む核物理研究センターの院生と一緒に、大阪大学医学部保健学科放射線技術科学専攻、核物理研究センター、理学部物理学科、工学部環境・エネルギー工学専攻、レーザー科学研究所及びラジオアイソトープ総合センターを見学しました。また、それぞれの部局にて原子核物理学及び関連分野の授業及び研究紹介を受け、原子核物理研究の可能性及び重要性を学習しました。学生達はほとんど真新しい内容にもかかわらず、積極的に質問をされました。その熱心な態度に多くの教員が感心しました。

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核物理研究センター研究論文勉強会への体験参加

プログラムの後半では、核物理研究センターにてシリコン及びゲルマニウム半導体検出器を用いて、アルファ線標準線源及び鉱石(ゼノタイム)からの放射線の測定を行い、データ処理の仕方を学びました。実験及びデータ処理はスタッフ及び院生の指導のもとで行いました。また、大学院生と博士研究員主導の研究論文勉強会に参加させることで、研究生活を体験してもらいました。

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放射線計測の風景

最終日前日には、核物理研究センターのスタッフと院生が出席する中、招へい者全員にデータ解析の結果及び本プログラムへの感想について発表してもらった後、ささやかな懇親会を開きました。

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放射線計測結果発表風景

そして、プログラムの最終日には、初日台風のために、中止せざるをえなかった大阪歴史博物館及び大阪市立科学館の見学を実施しました。ほとんどの招へい者にとって今回が初めての海外旅行なので、大阪の街を思い存分楽しんでもらいました。

本プログラムを通じて、招へい者達は核物理研究センターのスタッフ及び院生と深く交流することができました。また、様々な分野の研究現場、最先端研究設備を見学・体験することにより、日本の大学における世界トップレベルの研究を少なからず実感できたと考えています。招へい者の日本への留学を促すきっかけになること、あるいは日本と中国の架け橋となることを期待しつつ、これからもこのような交流プログラムを続けて行きたいと考えています。

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懇親会にて