2018年度 活動レポート 第55号:熊本大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第055号

カンボジア保健科学大学の学生が医療系の最先端研究とそれらの元になる基礎技術を学ぶ

熊本大学からの報告

さくらサイエンスプログラムで招へいされたカンボジア保健科学大学薬学部(Faculty of Pharmacy, University of Health Sciences, Cambodia)の学生8名及び大学専任教員1名、カンボジア保健省国立伝統医療局 (NCTM) 職員1名の計10 名が8月20日に来日し、熊本大学を訪問しました。

熊本大学からは大学院薬学研究部薬用植物分野に在籍する大学院生と学部生が出迎え、8月21日に懇親会(ウェルカム・ミニパーティー)が開かれました。

8月21日(火)から23日(木)は、熊本大学薬学部・医学部で行っている最先端の研究について、実務体験及び実習を実施しました。薬学部宮本記念館に於いて開催された2018年度創薬技術検討会にカンボジアからの招へい学生と共に参加しました。創薬技術検討会において、熊本大学の研究者がポスター発表を行い、トルコ、スーダン、イラク、ミャンマーから、留学生の多くが参加されました。

写真1
8/21首藤准教授DNA電気泳動実習
写真2
8/22創薬技術検討会参加(ポスターセッション前にて)

8月24日(金)には、① 熊本大学工学部及び立田自然公園・泰勝寺跡庭園(黒髪キャンパス徒歩圏内)を訪問した後、平成29年4月に再春館・自然×サイエンス共同研究講座を薬学部内に設置している企業(株式会社 再春館製薬所:熊本県上益城郡益城町)を訪問しました。

写真3
(株)再春館製薬所訪問

8月25日(土)には、熊本県山都町における自然や文化に関する体験学習を実施しました。当日は天候にも恵まれ、「薬草キャラバン」に参加した本学学生との交流や地元との絆を深めて下さいました。また、フィールド実習も兼ねたイベントであり、
① カンボジア保健科学大学からの学部3年生(引率教員含め10名)及び薬学部3年生5名に対し、薬用資源エコフロンティアセンターの職員3名およびTA一名が同行し、熊本県山都町の薬草キャラバン in みたけ(御岳中央コミュニティ施設皆和(みなわ))のイベントに参加し、フィールド観察を実施しました。なお、薬学部3年生5名は、山都町内で観察される自生植物の採集と観察記録を行い、そしてさく葉標本作成しました。
② 薬草キャラバンの主目的でもある実物教育と野生・有用植物の試食会を参加者全員(カンボジア10名、熊本大学関係者12名(薬学部学生含む)、山都町住民・女性部50名)で実施しました。

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8/25山都町御岳地区地域に自生する有用・薬用植物の観察会(背景、茶畑)

8月26日(日) の最終日に、佐賀大学農学部訪問し、薬用柑橘類の見学(目的:大規模に薬用柑橘類を収集している附属温室を見学して、植物遺伝資源への理解を深めること)が出来ました。

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8/26 古藤田信博 准教授准教授による施設案内(佐賀大学農学部附属温室)

熊本大学薬学部・医学部で行っている最先端の研究に触れていただき、カンボジア保健科学大学と熊本大学大学院生命科学研究部の学術・学生交流を益々盛んにすることを本プログラムの趣旨に挙げましたが、プログラムを通じて学生同士が仲良くなり、また熊本大学の研究の現状を把握し、招へい者10名の教育・研究心がとても強く志の高いカンボジアからの学生とお会いすることが出来たことは、我々教員、スタッフにとっても充実した時を過ごせたと思っています。

8月26日(日)に佐賀市内での最後の夜(懇親会)を楽しく過ごした後、8日目に皆帰国の途に着きました。翌日、カンボジア首都プノンペンの国際空港から、無事帰宅された旨を大学専任教員Prien Chanra先生及び国立伝統医療局職員のBandel Tem研究員より報告を受けることが出来ました。このような貴重な機会をいただいたことに対し、「さくらサイエンスプログラム」ならびに関係者の皆様に深謝いたします。