2018年度 活動レポート 第36号:芝浦工業大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第036号

機械工学に関する課題解決型・国際共同ワークショップ

芝浦工業大学からの報告

本ワークショップは、2018年5月14日~23日の10日間、芝浦工業大学・豊洲キャンパスを拠点にGlobal Project-based Learning(gPBL、課題解決型学習)として実施しました。2017年から開始した台湾・國立臺北科技大學(NTUT)のエネルギー・冷凍空調工学科とのgPBLプログラムの一環です。

今回はさくらサイエンスプログラムの支援を受け、NTUTで学ぶ修士課程の学生10名と引率教員1名を招へいしました。本学からは工学部機械工学科で学ぶ学部4年生と大学院生、教員3名が参加しました。ワークショップは主に講義と見学、実習から構成され、初日の歓迎会で緊張をほぐし、最終日には全体で実習に関する発表会を開催しました。以下にワークショップの内容を報告します。

講義

本学工学部機械工学科の教員3名とNTUTからの引率教員1名が各自2コマずつ講義を提供し、参加者は合計8コマ(=800分)の講義を受けました。講義のテーマは多岐に渡り、参加学生は冷凍空調工学の基礎から次元解析、流体の数値解析、流体計測などに関して全て英語で講義を受け、基本知識を獲得しました。

写真1
ワークショップでの講義の一場面。
参加者の演習課題への取り組みを教員が確認しています。

見学

本ワークショップに際して、国内企業3社に特別に見学を受け入れて頂きました。清水建設株式会社の技術研究所(東京都江東区)および、株式会社興研の飯能研究所・スーパークリーンテクニカルセンター(埼玉県飯能市・狭山市)、株式会社大林組の技術研究所(東京都清瀬市)を訪問見学し、各社の施設と最先端技術に関して紹介頂きました。各社とも、ワークショップ参加者向けに英語による説明に尽力頂きました。

実習

NTUTからの参加者10名と日本人学生の参加者は、数名ずつ研究室に分かれて実習に取り組みました。実習では、1名から数名ずつで1つの課題が与えられ、本学教員と研究室の学生に助言のもと、課題解決に取り組みました。課題の内容は画像解析を応用した計測や、装置を自作してのレーザー計測、数値解析など多彩なものとなり、いずれも参加学生にとって新鮮な体験となりました。

写真2
実習中の作業の写真。
光学部品を嵌めるのに双方の参加者が協力して作業を進めています。
写真3
実習で数値解析に取り組む場面。
本学大学院生の協力のもと、参加者が数値解析を進めています。

最終日の午後には発表会が開催され、参加者は全員が出席して実習に関して発表しました。報告会では和気あいあいとした雰囲気の中にも熱意溢れる発表が続き、活発な討論が交わされました。発表会終了後、本ワークショップの講義と見学、実習の全てに参加したNTUTからの学生10名と本学からの学生1名に修了証が授与されました。

写真4
最終発表会で熱心に説明するNTUTからの参加学生。

本学からの参加学生は国や学年を超えて課題解決に協力して取り組むとともに、これまで大学で学んだ工学の体系を実際の課題に応用する体験をしました。他方、NTUTからの学生は普段の専門分野では得難い経験を獲得したようです。本ワークショップは大学内での活動に留まらず、企業からの協力が得られたことで参加学生の見識が拡がるなど、大学と学生の間だけの国際共同活動に留まらない国際的な産学協同活動に繋がる可能性が見出されました。

写真5
最終発表会での質疑応答の場面。
発表会では、本学学生からも積極的に質問が出て活発な討論が進みました。

なお、8月には共同先のNTUTへ渡航して台北での共同ワークショップを開催するに至りました。本ワークショップに参加したNTUTの学生が今度は日本の学生の受入に精力的に取り組んでくれるなど、本ワークショップを機に双方の絆は更に深まり、今後も活動を継続する方針です。

報告の最後に、本ワークショップ開催に際してさくらサイエンスプログラムのご支援を頂いたJSTと、研究所を含む各種施設の訪問見学を快く受け入れて頂いた清水建設、興研、大林組の3社に深く御礼申し上げます。