2018年度 活動レポート 第19号:神戸大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第019号

タイ・チェンマイ大学の学生が、耐熱性微生物とその酵素系の特性解析を学ぶ

神戸大学からの報告

神戸大学大学院農学研究科では、さくらサイエンスプログラムの支援により、タイ・チェンマイ大学・アグロインダストリー学部に所属する学生に対して「科学技術研修コース(2018年7月23日から8月1日)」を実施しました。同学部からは学部学生6名、修士学生2名、引率教員2名が来日しました。

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姫路城前にて

チェンマイ大学は創立1964年で、20以上の学部からなる総合大学であり、タイ国においても高い教育力と研究力を有しています。また、同学部は1992年に農学部フードサイエンステクノロジー学科が独立した形で創立され、現在では学部学生約1,300名および修士学生約80名が学んでいます。神戸大農学研究科とチェンマイ大アグロインダストリー学部は2016年2月に学部間交流協定を締結し、その一環として2016年度より同研修コースを実施することにしました。

招へい学生の選抜基準は、①成績、②英語力、③同学部教員と実施主担当者(竹中 慎治、WEB会議形式での参加)による口頭試問にて、適正と意欲および微生物分野に関する基礎知識の点から優秀な学生を8名選抜しました。

交流計画のテーマ

タイの土壌より単離した耐熱性微生物とその酵素系の特性解析

研修内容

2016および2017年に実施した研修内容について送り側引率教員と議論し、研修の間に発酵・醸造関係の工場を見学する機会を増やすことにしました。

「遺伝子解析による微生物(細菌と酵母)の同定」の2項目について2グループに分かれて研修を行いました。実施主担当者および2016年から引率をお願いしている教員(Dr. Chaiyaso氏)とともに実験内容の説明・操作方法のデモンストレーション後、日本人ティーチングアシスタント(日本人修士学生(2名))に適宜補助してもらいながら、タイ人学生が実際に操作やデータ収集を行う形で進めました。内容としては、細菌および酵母を題材とし、コロニーアイソレーション、ゲノムDNAの抽出、rRNA遺伝子断片の増幅と精製、同遺伝子のクローニング、大腸菌形質転換株からのプラスミド抽出、同断片のシークエンスについて取り組みました(遺伝子組換え実験の関係で説明とデモンストレーションのみのステップを含む)。

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遺伝子実験操作1(左からApisit君、Sunutthasade君、Sirikanchanaさん、Saridaさん、Siraprapaさん、Phiyadaさん)
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遺伝子実験操作2(左からSaridaさん、Nutnichaさん、Siraprapaさん、Jirananさん、Sirikanchanaさん)

両グループとも一連の操作を終了後、遺伝子塩基配列を解析する機器を含む学内共通分析機器類の見学を行い、得られた配列を基に、BLAST検索と解析法についても講習を行いました。

施設見学は、沢の鶴株式会社(神戸市灘区)、キリンビール株式会社(神戸市北区)、ヒガシマル醤油株式会社(たつの市)にお伺いし、製造工程のビデオを見た後、製造工程や資料館を回りました。

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キリンビール株式会社 見学コースでのホップおよび麦芽製造の説明での一コマ

研修修了後は、引率者を含む9名が河端俊典 農学研究科 研究科長および白井康仁 副研究科長を表敬訪問し、アグロインダストリー学部の紹介(Dr. Chaiyaso氏)に続きタイ人学生代表Apisit君による本研修コースの成果やNutnichaさんとSirikanchanaさんから工場見学や施設見学についてのプレゼンテーションの場を設け、理解度や達成度について確認を行いました。

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修了証授与後の集合写真(左前列から、TAの横山さん、林さん、Nutnichaさん、Phiyadaさん、Jirananさん、Saridaさん、Siraprapaさん、Srikanchanaさん、白井 副研究科長、河端 研究科長、竹中(実施責任者)、Sunutthasade君、Apisit君)

その他

到着日を含む日曜日を利用し、神戸およびその周辺について施設見学を行い、港神戸の地理や歴史についても学んでもらいました。