2018年度 活動レポート 第4号:東京工業大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第004号

若手研究者の育成のための国際ワークショップ

東京工業大学からの報告

さくらサイエンスプログラムにより、2018年6月4日~6月8日にアジアの6ヵ国から学生14名(学部生7名、大学院生7名)と引率教員1名が来日し、日本人M1学生14名と一緒に研究活動(国際ワークショップ)を行いました。

本ワークショップは、アジアの将来を背負う人材を育成するため、最先端の化学に触れてもらう機会をアジアのトップスクールの学部学生・大学院生に提供し、将来日本との懸け橋となりうる人材を育成することを目的としました。

基調講演、講義、実験、データの解析、結果発表という構成で化学に関する最先端分析技術を、実体験を通して習得してもらうとともに、外国人学生と日本人学生がパートナーとなり、寝食を共にする、合宿形式の国際交流を行いました。外国人学生だけでなく日本人学生に対しても濃密な国際交流の機会を与えるプログラム構成です。

オリエンテーションでは、事前に与えた課題を題材にアイスブレイキングの時間を設けました。また、基調講演は科学技術の普及に熱心に取り組まれている東京理科大学光触媒国際研究センター長の藤嶋昭先生にお願いしました。ウェルカムパーティでは藤嶋先生をはじめ、東工大の教員・学生を含めた交流を行いました。

その後、2日目と3日目の午前中は講義、午後は実験を行い、4日目にデータ整理を行い、5日目にはそれぞれの課題実験の結果報告を行いました。また、4日目の午後には自由な国際交流の時間を設け学生同士の友好関係を醸成し、本招へい終了後も複数国間のネットワークが長く維持されるよう大いに友情を深めてもらいました。

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藤嶋先生による基調講演の様子

今回、相互理解の観点で非常に有効であった企画は、外国人学生と日本人学生が合宿形式で1週間過ごしたことです。特に、ホスト国の学生と24時間寝食を共にするということは外国人学生にとって新鮮だったらしく、日本人学生との交流を深める上で大いに役立ったようです。また、多くの外国人学生にとって大学院の進学先として日本を考える良い機会にもなったようです。日本人学生の意識改革や海外の優秀な人材を日本に呼び込むためには、多種多様かつ高いレベルの学生を招へいし、本プログラムを実施することが重要と思いました。

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講義の様子

参加した日本人学生の中で、英語が苦手ではじめは躊躇していた学生でもプログラム終了後は非常に大きな達成感・充実感を得ているようでした。国際交流の本質は、実は英語や国籍ではなく、人そのものを理解することであり、科学技術の修得には国境の垣根は関係なく、大学院は意欲あるものが学ぶ場だと改めて感じたようです。

事実、外国人学生の将来に対するプランや学習に対する熱意や考え方などに日本人学生が感銘を受けるというような場面も多々見られました。今回来日した学生達は優秀なだけではなく人間性も優れており、話をしていて非常に楽しいとの声が日本人学生から聞かれ、同世代の海外の優秀な学生と接することは、日本人学生の意識の向上には非常に有効なのだと改めて感じました。

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今回、ベトナムから引率教員としてハノイ工科大学の教授が一人参加しており、共同研究の締結や共同施設の利用の検討など、今後定常的に日本との結びつきを強めようと精力的に活動していました。本プログラムを通して、教員レベルでの交流の深化・信頼関係の醸成を行うことが可能であり、共同研究を始める契機になったと思います。

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さくらサイエンス修了認定式の様子

最後に、全参加者から非常に有意義であったという感想を得ることができ、このような機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」、その他協力スタッフに心からお礼を申し上げます。