活動レポート

2017年度活動レポート(一般公募コース)第442号

ラオス国立大学の学生が大腸菌のガンマ線照射を通じて放射線生物学の基礎を学ぶ!

大阪府立大学地域連携研究機構放射線研究センターからの報告

<概要>

  2018年2月19日~2月24日の日程で、ラオス国立大学、ダラット大学の大学生5名と教員2名を迎えて「微生物のガンマ線照射により放射線の生物影響と放射線滅菌の基礎を学ぶ」をテーマにさくらサイエンスプランの科学技術研修プログラムを実施いたしました。

学長室での集合写真。
一行は辻学長を表敬訪問し多彩の記念撮影です。筆者徒党専攻の川又修一教授も同席しています。
<主旨>

 本プログラムの主旨は、ラオスの若い学生世代が、東南アジアにおいて普及が著しい食品照射の今後の普及拡大を期待して食品照射の基礎である微生物の取り扱いと放射線照射による生残率の評価を目指して、大阪府立大学の微生物培養設備とコバルト-60ガンマ線照射施設を活用し、大腸菌と枯草菌芽胞を実験材料として基本的な培養法から放射線照射、生残曲線の作成に至るまでの一連の流れを実習し、放射線の生物影響と放射線殺菌の基本的な考え方を学びました。彼らはラオスのバイオテクノロジーや放射線利用産業の次世代を担う人材と目されるため、今回の研修によって微生物制御における放射線利用を進めるうえでの研究開発や実用化の現状を実際に体験できたことは彼らにとっては有意義であり、またこれらの作業を同じ目的を持つ本学の学生とともに共有できたことはラオスとの今後の技術協力の発展に資することが期待されます。

<体験交流>

 2月19日早朝の関西空港到着後、宿泊ホテルを経由して本学に到着し、オリエンテーション、学内の図書館、植物工場などの施設見学、学長と懇談、交流会など多忙な日程をこなし、翌2月20日から3日間の大腸菌,枯草菌芽胞の放射線殺菌に関する体験実習が始まりました。

学内で行われた交流会での記念写真
石井理事をはじめ本学工学研究科量子放射線専攻の教員大学院生が多数参加してくれました。

 実習の初日は、放射線の基礎、放射線利用の現状、放射線の生物作用、放射線生物作用の殺菌への利用の原理など、実習の意義や作業を理解するために必要な講義で始まりました。全員熱心な聴講姿勢に筆者の講義にも力が入りました。

筆者による放射線の原理から利用についての講義。アットホームな雰囲気ながらもみんな熱心です。

 引き続き午後からは、いよいよ実験です。放射線殺菌を行う大腸菌、枯草菌を培養するための培地の作成と前培養を行いました。クリーンベンチ内の無菌操作の実習は初めて、当研究室のサポート役の大学院生の手厚い指導のおかげで無事作業を完了することができました。

いよいよ培地作り。実験室での説明です。

 翌日には一晩増殖させた大腸菌の培養液を大阪府立大学放射線研究センターのコバルト-60ガンマ線照射プール内でガンマ線を照射しました。照射後の生残菌数を調べるために培養液を希釈してシャーレに調製した寒天培地に添加しました。翌22日にシャーレ上に現れた微生物のコロニーを数え、ガンマ線照射後の生残率を求めました。ガンマ線の線量と生残率との関係は全員見事な相関性を示し、放射線量の増加に伴い生残率は減少し、最終的に大腸菌や枯草菌芽胞が滅菌できることを学びました。その日の晩には研究センターの教員、大学院生徒共にさよならパーティーを兼ねた、交流会を付近のレストランで開催され、大いに交流を深めることができました。

 最終日の前日,23日には滋賀県甲賀市にある我国有数のガンマ線照射施設を持つ株式会社コーガアイソトープを訪問し、放射線滅菌の実用照射の実態について体験することができました。最終日には大阪府立大学のサテライトキャンパス、「I-siteなんば」において修了式が行われ、その後市内観光を楽しんだ後に大阪伊丹空港から」帰国の途につきました。

株式会社コーガアイソトープの担当者からの説明を熱心に聞く実習生たち
<まとめ>

 ラオスの生物工学分野の次世代を担う若い学生に放射線の基礎とその利用について学んでもらい、放射線滅菌を通じて放射線のバイオ応用に関するイメージを伝えられたことは意義深かったです。同時にラオスと日本の学生間のコミュニケーションが深められ、共同作業を通じた相互交流が成功したことは日本人の学生にとっても現在学んでいる放射線利用技術を国際的に広めて行く重要性や国際的な技術協力の方法について学べた点が意義深かったと感じています。

pagetop