2017年度 活動レポート 第375号:島根大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第375号

数学と科学技術分野に関する日中研究交流と異文化体験

島根大学からの報告

2018年1月16日から23日の間、「さくらサイエンスプログラム」の支援により、閩南師範大学数学与統計学院の大学院生(碩士課程)10名と引率教員1名を島根大学に招へいしました(実施主担当者:杉江実郎教授)。

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関西空港に到着 初めての来日に期待と緊張

島根大学と2014年に大学間交流協定を締結した閩南師範大学は、中華人民共和国の福建省にある重点大学の一つです。名称に「師範」とありますが、学生への教育は教員養成だけに止まらず、法学系・文学系・理学系・工学系など広範な教育に携わっています。現在の学院(学系)数は20余りで、専攻数58を有しています。

島根大学は閩南師範大学から毎年、2名の交換留学生を受け入れてきました。本プログラムが実施された時点においても、2人の閩南師範大学生が松江市内で生活していました。また、研究交流もここ数年盛んに行われています。2014年から2017年までの間に8名の閩南師範大学の教員が島根大学を訪れ、島根大学からは5名の教職員と8名の大学院生や学部生が閩南師範大学を訪問しました。このような学生間交流・研究交流の実績の下、今回の「さくらサイエンスプログラム」が実施されました。

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総合理工学研究科長への表敬訪問
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国際交流担当副学長への表敬訪問
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綺麗な図書館の前で、館長と記念撮影

本プログラムの目的は、学業成績によって厳選した数学与統計学院の優秀な大学院生と、島根大学大学院総合理工学研究科数理科学専攻の博士前期課程および後期課程の大学院生が、学生主体の研究会「日中合同ワークショップ」を開催し、自身の研究内容や得られた成果の発表を通じて研究交流を促進すること、そして島根大学数学科の教員数名が本研究会で発表した学生たちを研究指導することにより、将来の数理科学分野における日本と中国の研究交流に貢献できる人材を育成することです。

具体的な内容とその趣旨は以下の通りです。

① 招へい学生は島根大学で開催する「日中合同ワークショップ」に参加し、自身の研究内容や得られた成果を発表するとともに、島根大学などの大学院生等と交流して、意見交換を行う。これにより、将来の数理科学分野における日本と中国の研究交流に貢献できる人材を育成する。
② 招へい学生は『組み合わせ数学』・『数理生態学』・『数理統計学』など島根大学の専門家による特別講演を聴講するとともに、各自の研究テーマに関して、総合理工学研究科数理領域の複数の教員による研究指導を受ける。この聴講及び指導により、専門知識の裾野を拡げるとともに交換留学制度を利用して、再来日を希望する学生を増やす。
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研究集会開始 本番で練習成果を見せるぞ!
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研究集会終了 二日間、お疲れさま
③ 招へい学生は島根大学の学生とともに、関西圏にある大阪市立科学館を訪問する。これにより、日本の最先端科学技術に対する彼らの理解を深め、興味を喚起する。
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大阪市立科学館の玄関で記念撮影
④ 招へい学生は松江の歴史的・文化的施設を見学し異文化を体験する。これにより、日本の魅力を彼らの心に強く印象付け、留学のための再来日に繋げる。
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松江城堀川遊覧船 ちょっと怖いかも
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国宝・松江城の天守閣まで登ろう いざ!

今回の「さくらサイエンスプログラム」によって、閩南師範大学の学生たちは来日前によく練習した成果が実り、大学院で学習・研究してきた内容を思う存分発表することができました。また、島根大学の教員や大学院生たちの質問に答えるという経験を通して、自分の強いところと弱いところを意識できるとともに、研究の専門分野が近い同世代の日本人青年と交流することで多くのことを学んだと思われます。

また、日本の科学技術や生活・文化・伝統の一端に接した経験は、今後の人生にとって、良い思い出になります。その経験や思い出が再来日の契機となり、ひいては島根県や日本各地で仕事や研究をすることに繋がることが期待できます。

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和菓子作りに挑戦 上手にできるかなぁ
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抹茶を点てるのは難しい! でも美味しい

すべてのプログラム修了後、実施主担当者から「さくらサイエンスプログラム」の修了証とバッジが贈呈されました。

今回の招へい学生のうち、2名は平成29年4月から半年間、島根大学に留学することが決定しています。その後、閩南師範大学の碩士課程を修了後、島根大学大学院博士後期課程への進学を希望している学生も現れました。この意味からも、本「さくらサイエンスプログラム」は大成功であったと言っても良いのではないでしょうか。