2017年度 活動レポート 第289号:北海道札幌啓成高等学校

2017年度活動レポート(一般公募コース)第289号

マレーシア・サバ州の学生と科学交流
〜衛星技術・GIS技術を活用した生物多様性保全を学ぶ〜

北海道札幌啓成高等学校からの報告

マレーシア・サバ大学の大学生5名、マレーシア・オールセインツ中等学校の高校性5名・引率教員1名を招へいし、8日間(2017/11/6~11/13)のプログラムを行いました。

写真1
北海道博物館での集合写真

大学での研修

北海道大学では、午前は、地球環境科学研究院の根岸淳二郎准教授のご指導の下、本校生徒、酪農学園大学の学生およびマレーシアの学生が交流を楽しみながら持続可能な水源確保について学びました。

午後は、大学院理学研究院の高橋幸弘教授及び川俣大志助教のご指導の下、スペクトルデータを解析する実習を効率よく組み入れてもらい、実感を持ちながら衛星画像の活用法を学びました。今年で受入も3年目となり、順調に午前中の研修は終了しました。しかし、その後、思わぬハプニングが。

北大の学食に着いたところ、例年にない圧倒的な学生の数、長蛇の列、そして学生優先の張り紙。どうしてかと考えたところ、例年、大学の夏休み中に実施していたことに気づきました。また、紅葉を見に来ているアジアからの観光客とも重なり、このような状態になっていることがわかりました。既に並んでいる学生もいましたが、午後の講師の高橋先生とも連絡を取り合い、急きょ、食堂内のコンビニで昼食を買い、研修先で食べさせてもらうことにしました。

引率業務にも慣れてきたこともあり、今年度、引率者を減らしたのもバタバタとした1日になってしまった原因でした。引率者は、1名、余裕を持って確保すべきでした(教訓)。

一方で、この「さくらサイエンスプログラム」は、本校のSSH海外研修と関連させて実施していることもあり、翌年の1月に再度、招へい者と一緒にサバ大学で交流することになっています。学びが蓄積されるため、少しずつステップアップした学びができるのも、3年間継続して実施できる利点かと思います。

酪農学園大学では、金子正美教授をはじめとする多くのスタッフのご指導により、北海道の森林生態系及びGISに関する研究を学びました。今年度は、GISデータを活用する実習も行うことができました。マレーシア出身の研究者がお世話を含めてご指導して下さる関係で、双方共に、どこの大学で研修を受けているのかわからないような雰囲気で研修を受けさせてもらっています。

写真2
水の分析
写真3
スペクトル解析実習
 
写真4
衛生搭載カメラの耐久試験の説明
写真5
GIS実習
 

啓成高校での研修

SSH科目及び英語等の授業に参加し、科学交流や英語での文化交流を行っています。 今年度のSSH科目の交流は、英語での科学発表交流に加えて、招へい学生との混成グループで、限られた材料を活用して、できるだけ遅く落下する物体を製作し、その落下時間を競う、イングリッシュサイエンスチャレンジを行いました。英語で何とか協働しながら製作に取りかかり、とても盛り上がった競技となりました。理数科1年生は、半日、英語での授業となり、日頃の科学英語の実践の場ともなりました。

本校茶道部が行う日本の伝統文化である「もてなしの精神や作法」を体験する「お茶会」は、恒例行事となり、生徒も堂々と英語で日本文化を伝えてくれます。 放課後は、ALTが行っている英語クラブの生徒との交流も行い、交流がより広まってきました。

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サイエンスチャレンジでの製作
写真7
英語の授業での交流
 

国際森林キャンプ

恒例となった隣接する北海道博物館と野幌森林公園および酪農学園大学の合宿所をお借りして実施する国際森林キャンプを行い、北海道の冷温帯汎針広混交林について体験を通して学びました。

今年度は、11月上旬の実施となるため、落葉や降雪の関係で、研修内容や研修方法の工夫に苦労しました。落ち葉の活用や防寒具の貸与により、昨年とは違う冬季の自然を学ぶ研修に切り替え、昨年まで実施してきたバーベキューは、室内で鍋を囲みながらの交流に切り替え、実施しました。当初心配していましたが、昨年とは違った深い学びを行うことができ、ほっとしているところです。

写真8
合宿所での夕食

今年度の印象に残ったこと

今回、4名のイスラム教徒の学生を受け入れました。ある程度は、対応の仕方はわかっているつもりでしたが、気がつかなかったことが多々ありました。

空港到着がちょうど昼頃であったため、到着早々、礼拝スペースの確認と誘導に、いきなりバタバタとしてしまいました。また、キャンプでは、急きょ、新しい鍋やハラルフード専門店で食材の一部を購入しました。

始まってから何かとバタバタとする今回の招へいでしたが、魚をメインの食材として鍋を囲んで食文化の交流を体験することができました。日頃食べている食品・お菓子にはどのようなものが含まれているのか、札幌が国際都市になって行くにはどのような事が必要なのかを考える8日間でもありました。

さくらサイエンスの実施に当たり、支援していただいた酪農学園大学をはじめとする各教育機関の皆様および、貴重な機会を提供いただいたJSTには、感謝申し上げます。また、この研修が招へい者の心にとても残る暖かい研修となっているのは、受入に協力して下さるホストファミリーと学生の方々の親切があってのものと思っております。改めて感謝申し上げます。