2017年度 活動レポート 第230号:札幌開成中等教育学校

2017年度活動レポート(一般公募コース)第230号

タイ、ベトナムの高校生との科学技術交流プログラム

札幌開成中等教育学校からの報告

2017年8月2日~9日、タイのPrincess Chulabhorn Science High School Phitsanulokから生徒4名・教員4名(うち3名は自己負担)、ベトナムのTrần Đại Nghĩa High School For The Giftedから生徒4名・教員1名を招へいし、3ヶ国の高校生が北海道の自然とそれに関わるサイエンスの学習や、世界最先端レベルの研究機関への訪問、ワークショップ等を通じ、将来日本社会に貢献するアジアの優秀な人材と世界で活躍する日本人科学者を育む機会を設けました。

初めて実施した昨年度は、夏休み明けの授業日に行い多くの生徒と交流することができた半面、招へいした生徒と研修を共にする本校生が日替わりになってしまい、交流を深めることができませんでした。

そこで今年度は夏休み中に実施し、バディ生徒と参加希望者を募り、より親密な交流を行うことができるように変更しました。また、日本のスーパーサイエンスハイスクールの生徒が一堂に会し課題研究の発表を行うSSH全国課題研究発表会見学の機会を設けました。

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第1日目:登別での間欠泉見学
写真2
第1日目:日本製鋼所での1コマ

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第2日目:有珠研修

昨年度も実施した初日の登別での間欠泉の見学では、両国とも火山がないので硫黄の強烈な臭いと噴き上げる水蒸気にとても驚いていました。2日目の有珠研修は、本校がSSH指定以前から学校設定科目「地学野外観察」で行っているコース・内容を両国の生徒向けにアレンジしたものです。

火山や地震のない両国の生徒が初めて目にする火山であり、その活動によって起こる地殻変動にも大変驚いていました。また、午後の札幌市民防災センターでは模擬地震体験ができました。午前中に学んだ地震について実際に体験することができ、理解が深まっていました。今回は実際に東日本大震災を体験している茨城県清真学園高等学校の生徒も同行していたので、当時の話を聞くこともできました。

3日目は、タイ、ベトナム、茨城県清真学園高等学校、本校生徒(バディ生徒・希望者)を3つのグループに分け、午前施設見学、午後本校に戻り発表を行いました。短い時間ではありましたが、PCや手書きの図などを上手に用いてわかりやすく発表を行いました。その後歓迎会を行い、ホストファミリー宅へと移動しました。

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第3日目:見学内容の口頭発表
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第5日目:タイの先生による数学のワークショップ

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第5日目:ゆっくり正確に着地するパラシュート大会

5日目は、第5回科学の甲子園全国大会に北海道代表として出場した本校OB(現北大生、名大生)が参加しての交流を行いました。今年度はベトナム、タイ、清真学園高校、バディ、OBの5チームによるゆっくり正確に着地するパラシュート大会となり、大いに盛り上がりました。

6日目:午前は、2013年 「世界で注目すべき女性研究者25人」にアジアから唯一選出された北海道大学新渡戸カレッジ准教授繁富香織氏(本校卒業生)の世界最先端の研究について学習したのち、北海道大学国際本部において今年度10月より始まるIntegrated Science Programの説明や各国の留学生による日本への留学の勧めを行いました。

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第6日目:繁富香織氏による細胞折り紙に関する講義

当初の計画では午後に札幌エネルギー供給公社で研修を行ったのち大阪へ移動の予定でしたが、台風の影響で午後の研修をカットし、急きょ移動せざるを得なくなりました。何とか広島空港に降り、そこからバスで大阪へと向かうことができたため、7日目以降は計画通りに実施することかできました。

7日目は大阪城を見学のあと、大阪教育大学で教材「Black Box」を使い「科学的モデルの構築と検証方法」について学びました。このワークショップは、昨年度も実施し、招へいした生徒や教員から非常に好評でした。昨年同様、大阪教育大学仲矢史雄准教授に講師を依頼しました。英語を用いてのディスカッションでしたが活発な意見交換ののち、仲矢先生から科学的なものの考え方等の話を聞き、参加した生徒も教員も大変感銘を受けていました。

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第7日目:大阪教育大学仲矢史雄准教授による
ワークショップ
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第7日目:本校4年生も英語で発表

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最終日SSH全国課題研究発表会:本校ブース前にて

最終日は、京都大学付属博物館を見学後、神戸市へ移動し今回の本プランの目玉の一つでもある「SSH全国課題研究発表会」の見学をし、帰国となりました。日本だけではなく、ドイツやアメリカ、タイ、ベトナム、シンガポールなど、世界中の高校生の課題研究の発表を見ることができ、とても刺激を受けていました。また、我々の学校もぜひ招待してほしいと主催者にアピールしている生徒もいました。

中等教育学校の1年生から6年次までの全学年の参加した生徒だけでなく、このプランに携わった教員にとっても大変意義のある8日間でしたので、次年度以降も申請を続けていきたいと思います。