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活動報告(一般公募コース) 第149号

インドネシア、インドの大学院生との共同研究活動

佐賀大学大学院工学系研究科循環物質化学専攻 教授 冨永 昌人さんからの報告

 平成29年10月10日(火)~10月23日(月)の期間でインド・ガンジーグラムルーラル大学の大学院博士後期課程に在籍するBharathi Sindujaさん、ならびに10月14日(土)~10月23日(月)の期間でインドネシア・スラバヤ工科大学の大学院博士前期課程に在籍するArdi Rofiansyahさんをお迎えして、共同研究活動プログラムを実施しました。

 

 本プログラムでは、単層カーボンナノチューブやケッチンブラックなどのナノカーボンを用いた機能化電極の作製法を修得して頂きました。さらに、その機能化電極を用いたドーパミンの高感度検出や微生物活動の電気化学的モニタリング、ナノカーボン触媒酸素還元電極の作製に関する共同研究を実施しました。

 また、佐賀大学の学生とのディスカッションや双方の研究紹介を実施しました。週末には熊本まで足を伸ばして、熊本地震で被害を受けた修復中の熊本城、水前寺成趣園、市街地を訪ねて、日本文化を学んで頂くとともに、日本の家屋等の地震対策が優れていることを実感して頂きました。

 佐賀の理解を深めて頂くために、佐賀市エコプラザや佐賀城本丸歴史館を訪ねて、佐賀のバイオマス産業都市への取組と、佐賀市の歴史について学んで頂きました。

 佐賀大学大学院工学系研究科(循環物質化学専攻)における活動の様子をご紹介します。

写真1
測定溶液について議論している様子

 Bharathi Sindujaさんは、予定通りのフライトで10月10日に福岡国際空港に到着しました。研究室の学生とそこで合流して、本プログラムの実施責任者の冨永研究室を訪ねました。長旅に加えて、初めての海外でもあり少し疲れた様子でした。簡単な説明と保険の手続き等を済ませて大学内ゲストハウスの宿泊施設に送りました。

 2日目は、自己紹介、プログラム日程説明、共同研究内容のディスカッション、キャンパスツアーを行い、翌日からの共同研究のための準備が始まりました。

 3日目から共同研究実験をスタートしました。Ardi Rofiansyahさんは、予定していた10月10日スラバヤ発のフライトに乗れなかったというハプニングが生じましたが、10月14日から本プログラムに参加できました。

 ナノカーボンを用いた機能化電極の作製法を学びました。その機能化電極を用いたドーパミンの高感度検出に関する共同研究を行いました。本学の学生にとって実験操作を英語で説明するための良い経験になったと思います。

写真2
Ardiさんの真剣なサンプリング

 週末は、熊本市を訪問しました。初めての体験する新幹線に感心していたようです。観光の後では、留学生と学生との距離感がだいぶん近くなったよう感じました。Sindujaさんのこれまでの緊張した面持ちが幾分かほぐれ、笑顔が見られるようになったのは良かったです。

写真3
熊本城を前にして

 ナノカーボン修飾フェルト電極を用いた、微生物燃料電池の作製も行いました。また、微生物活動の電気化学的モニタリングも修得して頂きました。

写真4
電気化学測定

 佐賀市エコプラザを訪問して、ゴミ分別プロセスやゴミ焼却による発電、ならびに焼却で発生した二酸化炭素ガスの微細藻類培養への利用について学びました。佐賀のバイオマス産業都市への取組を理解してもらいました。

写真5
佐賀市エコプラザにて

 帰国前日の10月22日に、本プログラムの共同研究成果について発表してもらいました。限られたプログラム期間ではありましたが、今後の追加実験によって学術論文の共著執筆に繋がる研究成果がありました。留学生と本学学生から、これまでの交流についての感想も発表してもらい、最後に、修了証書の授与式を行いました。

写真6
Sindujaさんによる成果発表
写真7
成果発表会後の修了式

 研究成果発表会後は、お別れ会を開きました。研究の話から、Sindujaさんの結婚式、大学の学費などに話が広がりました。特に、インドでの学費が低く抑えられて、政府の支援が厚いことに日本人学生は驚いていました。SindujaさんとArdiさんにとって、技術習得や共同研究はもとより日本文化や学生との深い交流をとおしての有益な海外滞在であったと思っています。

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お別れ会でのSindujaさんの笑顔
写真9
お別れ会にて、学生さんからプレゼントのサプライズ

 さくらサイエンスプランによる今回の交流活動の成果は、本学とガンジーグラムルーラル大学、ならびにスラバヤ工科大学の今後の学生・学術交流の発展に大きく貢献するものと確信しています。

 今回のプログラムを通しての積極的に御世話を頂いた大学院生からの感想を下記に記します。

<Tさん>

 最初、自分がお世話することになると先生から聞いたとき、自分にできるのかどうか不安しかありませんでした。空港まで留学生を迎えに行った日から、一緒に話したり、実験をしていくうちに不安はなくなり、外国の方と実験したり話すことが楽しくなっていきました。2週間という短い間でしたが、外国の方と一緒に実験ができるいい機会だったと思います。

<Mさん>

 上手にコミュニケーションが取れるか、実験のサポートが出来るかなど不安がありました。しかし、実験のこと、普段の生活の話、特にジョークなどの会話をすると距離が縮まることがわかりました。打ち解けると、自分の意見も伝わりやすくなりました。また、相手の立場になって考えると、知らない建物や言葉に囲まれながら実験を行うことはすごく不安なことだと理解できました。だからこそ、いち早く彼と打ち解けて、彼の緊張をほぐしてあげることが大事なことだと実感しました。

<Sさん>

 今回のプログラムでは、インドおよびインドネシアの学生を担当し、コミュニケーションをとる中で、その国独自の文化や習慣を感じることができました。日本の食事が口に合わない学生もいましたが、食文化の多様性を理解し合ういい機会でした。研究に関しては、互いの研究テーマの強みを活かし、新たな可能性を見出す共同研究の面白さを感じました。また同じ学生として研究への取り組みに対し、互いに良い刺激になりました。プログラムを通して、言語や文化は違っても研究内容や手法に対しては共通の理解があり、国境を越えて繋がることができるサイエンスの素晴らしさを実感しました。

 最後に、本プログラムを実施するにあたり、ご協力いただきました本学の事務職員の皆様ならびに多大な貢献をしていただいた本学の学生皆さんに心から感謝いたします。また、ご支援をいただきましたさくらサイエンスプランに深く感謝いたします。

平成29年度 活動報告