2016年度 活動レポート 第308号:産業技術総合研究所

2016年度活動レポート(一般公募コース)第308号

タイのナノテク微細加工技術高度化への研究協力

産業技術総合研究所からの報告

平成29年2月6日から2月17日まで、さくらサイエンスプログラムにより、タイのNANOTECから5名の若手研究者がナノテク微細加工技術研修のため来日しました。

タイNANOTECと産業技術総合研究所(産総研)は、これまでもナノテク分野で多くの研究交流の実績があり、昨年度もNANOTECの10名の若手研究者が本プログラムを利用して、産総研で研修を行いました。

産総研では、これらの実績を次世代に継承し、若手人材を育成することにより両研究機関の交流をさらに推進することを期待しています。

初日は、研修開始に先立ちオリエンテーションを行いました。受入責任者である産総研・TIA推進センター・青柳連携推進ユニット長から産総研とTIAの紹介、および、安全教育について講義が行われました。

写真1
オリエンテーション

また、滞在期間中のスケジュールを確認するとともに、日本および産総研での生活について注意事項なども説明しました。

また、初日の夜には、産総研の三木TIA推進センター長など本プロジェクト関係者が出席して、歓迎会を開催しました。タイからの若手研究者5名は、夜行便で早朝成田に到着し、少しお疲れ気味でしたが、和やかで楽しい交流ができました。

写真2
歓迎会

2日目からは、産総研での研修(実習)を開始しました。まずは、TIA共用施設のナノプロセシング施設(NPF)において、マイクロ流路デバイス作製技術に関する講義、および実験実習を実施しました。

写真3
NPFでの研修風景

NPFでの研修は1日半と短い期間でしたが、ナノテク分野の最先端設備を利用した充実した研修となりました。

3日目午前中のNPFでの研修終了後、午後は、将来の研究協力構築につながるイベントとして、産総研の研究者との意見交換会をセミナー形式で開催しました。

写真4
NPFでの研修風景
写真5
産総研での意見交換会

写真6
産総研での意見交換会

最初にタイ側から所属する研究部門の紹介と各人の自己紹介が行われました。大変よくまとめられたスライドを用いた説明であり、研究者間で活発な意見交換が行われました。その後は、産総研のTIA連携棟に移動し、SCR(スーパークリーンルーム)およびヘリウムイオン顕微鏡施設等の見学を行いました。

4日目からは、TIA共用施設の集積マイクロシステムセンター(MEMSセンター)において、カンチレバー型MEMSデバイス作製技術に関する講義、および実験を5日間行いました。ナノテク微細加工に関わる設計・製造・評価の技術研修を通じて、具体的に若手研究者の研究スキルアップを図ることができました。

写真7
EMSセンターでの研修風景
写真8
EMSセンターでの研修風景

また、MEMSセンターでの研修初日には、MEMSセンターの若手研究者が主催する交流会が開催され、打ち解けた雰囲気で公私にわたる話題で活発な情報交換が行われました。タイ-日本の若手研究者間に新たなネットワークが形成され、さらに、交流が継続・発展していくことが期待されます。

写真9
MEMSセンターでの交流会

産総研での8日間の研修を修了した2月15日に、修了式を行いました。三木TIA推進センタ―長から一人一人に修了証が授与されました。

16日には、東京ビックサイトで開催されていたnano tech2017展に参加しました。TIAおよび産総研の展示ブース、さらに母国タイの展示ブースで熱心に担当者から説明を聞く姿が印象的でした。その後、会場内の各展示ブースを見学するなど、積極的に情報収集を行いました。

写真10
nano tech 2017展
写真11
nano tech 2017展2

タイからの若手研究者は、慣れない日本の寒さにも負けず、無事プログラムは終了し「ぜひ日本に留学したい」「これをきっかけに産総研を中心とした日本のナノテク研究者と交流を続けたい」などの感想がありました。

また、産総研としても、今後、NANOTECを中心としたタイ研究機関との研究交流をより一層深めていきたいと考えています。

さくらサイエンスプログラムにより、とても有意義な国際交流の機会をいただき、また本所の研究員にとっても素晴らしい経験をさせていただいたことに、心より感謝申し上げます。

写真12
修了証書授与式