2016年度 活動レポート 第238号:上智大学理工学部機能創造理工学科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第238号

システム論を通した中国人学生との学術交流

上智大学理工学部機能創造理工学科教授 申鉄龍さんからの報告

2016年10月16日から25日までの10日間、さくらサイエンスプログラムによる交流活動として、中国の華中科技大学国家治理研究員の教授および博士課程院生を招へいし、学術交流活動を行いました。

招へい者一同は社会科学分野の研究グループであったため、環境や社会システムの話題が主体となりました。

上智大学内での活動としては、申研究室にて研究室のメンバーから研究の紹介及びエンジンテストベンチでの実験の演示を行いました。招へい者一同は先進的な計測制御機器を保有する研究室のテストベンチにとても驚いていた様子でした。

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上智大学内実験設備での研修風景

また、長く共同研究関係にある自動車メーカーの研究員に自動車産業からの環境問題へのアプローチを題材として講演いただきました。この講演では、申研究室で行われている燃焼制御の研究をはじめとして、自動車パワートレインの側面からの環境問題への貢献の可能性と、工学的観点からのアプローチの重要性が理解頂けた様子でした。

また、上智大学大学院地球環境学研究科の黄光偉教授および黄研究室一同との交流活動として相互に研究の紹介、質疑応答を行いました。黄研究室では華中科技大学が位置する武漢での環境問題への取り組みも行っていることから、身近な話題として興味深かったようでした。

地球環境学研究科黄研究室との研究交流

学内での活動に加えて、黄研究室のメンバーと合同の学外活動として善福寺川取水施設の見学を行いました。

取水施設内の大型地下トンネルは見学コースでのみ立ち入ることのできる施設であり、招へい者一同とても感心した様子であり、見学後の施設職員の方との質疑応答も白熱しました。

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善福寺取水施設地下トンネル

また、慶應義塾大学の西宏章教授の研究室にて、スマートシティに関連する研究プロジェクトをご紹介頂きました。西研究室におけるスマートシティの研究は実際に自治体レベルで試験運用がなされており、近未来の社会インフラの様子の実践経験を交えたお話はとても興味深いものでした。

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慶應義塾大西研究室での演示実験

自治体レベルから、国といった、より大きなスケールでスマートシティを構築していくためには、工学的な研究のみならず、社会システム論的なアプローチが必要になる、という指摘は招へい者一同の今後の研究の強い動機づけになったと思われます。

他の学外活動としては、お台場周辺に位置する日本科学未来館、パナソニック東京エキシビションセンター、水の科学館といった展示施設の見学を行いました。

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日本科学未来館見学

日本科学未来館、パナソニック東京エキシビションセンターでは日本の最先端の技術の展示が行われており、招へい者の皆さんの刺激になったようです。

また、水の科学館では日本の水道システムの概要が詳細に展示されており、前述の取水施設の見学と併せて、日本の自然環境との付き合い方の本質に触れることができたのではないかと期待します。

華中科技大学のグループの学問領域は社会科学分野であり、申研究室の研究とは異なるバックグラウンドでしたが、環境問題についての取り組みに関して、異なる観点から議論を行うことで新たな視野が広がったように感じられます。

本プログラムを通して学んだことが、今後の研究活動の大きな糧となることを期待します。最後となりましたが、本プログラムで私たち一同に貴重な機会を与えて下さいましたさくらサイエンスプログラムに対し、双方のチーム一同、感謝申し上げます。

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早下隆士上智大学学長と記念撮影
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さくらサイエンスプログラム修了式にて,華中科技大学一同と申研究室・協力者等で記念撮影