2016年度 活動レポート 第182号:北海道札幌開成高等学校

2016年度活動レポート(一般公募コース)第182号

将来社会に貢献するアジアの優秀な人材を育む国際交流

北海道札幌開成高等学校からの報告

2016年8月18日~25日、タイのPrincess Chulabhorn Science High School Phitsanulokから生徒7名・教員5名(うち7名は自己負担)、ベトナムのTrần Đại Nghĩa High School For The Giftedから生徒5名・教員1名を招へいし、交流プログラムを実施しました。

このプログラムの目的は、3ヶ国の高校生が北海道の自然とそれに関わるサイエンスの学習や、世界最先端レベルの研究機関への訪問、ワークショップ等を通じ、将来社会に貢献するアジアの優秀な人材と世界で活躍する日本人科学者を育む機会を設けることです。

初日の登別での間欠泉の見学では、両国とも火山がないので、硫黄の強烈な臭いと噴き上げる水蒸気にとても驚いていました。

日本製鋼所室蘭製作所の見学では、世界最大規模で精度の高い各種設備と、100年以上人から人へと伝えられ培われた技術がもたらす、製品に対する絶対的な信頼性や安全性を学ぶことができました。

お土産にいただいたフリクションペンは、ベトナムでは非常に貴重なものだそうで、生徒たちが顔を赤らめて喜んでいたのが印象的でした。

夜は、北海道教育大学函館校松浦俊彦教授による「イカ墨を使った次世代太陽電池」の講義を受講しました。

本来なら廃棄するものを利用しての研究に、両国の生徒たちは非常に興味を示し質問がいつまでも止まりませんでした。

第1日目:日本製鋼所室蘭製作所
第1日目夜ゼミ

2日目の有珠研修は、本校が学校設定科目「地学野外観察」で行っているコース・内容を、両国の生徒向けにアレンジしたものです。

第2日目:有珠山研修

「大学の先生に頼むのではなく、本校の教員が行っているのが素晴らしい」と、参加したタイの教員に驚かれました。

その後、札幌に移動し本校で歓迎会を行い、ホストファミリー宅へと移動しました。

3日目の午前は、(株)日立ハイテクノロジーズの寺田太平氏が東京から来校し、卓上型電子顕微鏡の原理と操作方法について解説された後、3つの実験室に国ごとに分かれて科学交流のパラシュートづくりに取り掛かかりました。

第3日目:科学技術交流「ゆっくり正確に着地するパラシュート」大会

本校からは、昨年度第5回科学の甲子園全国大会に北海道代表として出場した3年生が参加しました。

ベトナム、タイの両国の生徒にも、大会で使用する材料と競技のルールを1ヶ月ほど前に渡し、事前の取り組みをしてもらっていました。

参加した両国の生徒の評判が非常に良く、次年度以降も続けていきたいと考えています。

5日目午前は、この日から合流した茨城県清真学園高等学校の生徒5名・教員2名と、市立札幌開成中等教育学校の4・5年生と、本校3年生コズモサイエンス科の、3ヶ国5校の生徒が、教材「Black Box」を使い「科学的モデルの構築と検証方法」について学びました。

昨年度のSSH秋の情報交換会でワークショップを担当された、大阪教育大学仲矢史雄特任准教授に講師を依頼しました。

英語を用いてのディスカッションでしたが、活発な意見交換の後、仲矢先生から科学的なものの考え方等の話を聞きました。参加した生徒も教員も、大変感銘を受けている様子でした。

その後は本校SSH運営指導委員である北海道大学地球環境科学研究院大原雅教授の研究室を訪問し、植物のDNAを用いた実験を行いました。

第5日目:ワークショップ.
第5日目:北海道大学地球環境科学研究院での植物のDNAを用いた実験

6日目も、北海道ならではの雪に関する講義と、実験および施設見学を行いました。

本校が学校設定科目「先端科学特論」で訪問している北海道大学低温研究所での講義を、両国の生徒向けにアレンジしたものです。

講義の後は、北海道大学国際本部のご厚意により、2017年度より始まる留学生向けのプログラムについての説明と、模擬授業を受けました。

その後モエレ沼公園へ移動し、雪を使った冷暖房施設の見学を行いました。

第6日目:北海道大学低温科学研究所

7日目は、タイ、ベトナム、茨城県清真学園高等学校、中等教育学校5年次の生徒を3つのグループに分けて、午前は施設見学、午後は本校に戻り発表準備を行い、プレゼンテーションを行いました。

第7日目:3コースに分かれての研究室訪問の報告会

短い時間ではありましたが、PCや手書きの図などを上手に用いてわかりやすく発表を行いました。

最終日は、千葉工業大学東京スカイツリーキャンパスでロボットに関する講義を聴き、日本科学未来館の見学した後、帰国の途につきました。

参加した生徒だけでなく、このプランに携わった教員にとっても大変意義のある8日間でしたので、次年度以降も申請を続けていきたいと考えています。