2016年度 活動レポート 第146号:公益財団法人国際湖沼環境委員会

2016年度活動レポート(一般公募コース)第146号

滋賀県の友好提携都市中国湖南省の教育関係者との交流

公益財団法人国際湖沼環境委員会からの報告

さくらサイエンスプログラムにより招へいされた湖南師範大学、同大学附属小中学校の教員、および附属中学校の生徒一行8名は、12月5日から14日までの10日間、滋賀県において科学技術交流活動を行ないました。

湖南省は、洞庭湖や湘江等の河川を擁し、琵琶湖を預かる滋賀県と、30年以上に渡り友好関係にある省です。湖南省からの、「日本の科学技術や環境教育について知りたい、交流をしたい」との要望に応え、昨年に引き続き交流事業を実施いたしました。

受け入れ機関である国際湖沼環境委員会は、滋賀大学環境総合センターや滋賀県の協力による講義、交流、滋賀県の水環境ビジネスを支える企業の訪問等、産学官連携による体制の下、招へいプログラムを作成しました。

2日目は、滋賀大学環境総合センターの市川智史教授による講義が行われました。まずは「日本の環境教育と科学技術」に関する全般的な講義を受講し、日本では線路の振動を使って発電を行うといった事例の紹介に、招へい者は熱心に耳を傾けていました。

3日目午前は、草津市立渋川小学校において、ICTを活用した総合学習の授業の視察を行いました。「地域の食について学び、それを広く発信したい」というテーマでの授業にも参加しました。

ICTを活用した授業視察の模様

小学生が紹介した滋賀の「鮒寿司(フナズシ)と、招へい者より紹介のあった湖南省の伝統料理「火宮殿臭豆腐」は互いに発酵食品であり、臭いは独特でも、味は美味しい、という共通点を見つけ、納得の様子でした。

さっそく「火宮殿臭豆腐」をインターネットで検索し、すぐに写真でどんな食べ物かを調べました。小学生も中国の方に滋賀の食を紹介できて、満足の様子でした。

午後は滋賀県琵琶湖環境部より講師を迎え、「県の環境行政および環境学習の概要」についての講義を受講しました。

滋賀県のみならず、近畿1,450万人の水源である琵琶湖を預かる滋賀県環境行政の取り組みや、滋賀県の小学生は全員、湖(うみ)、山、田んぼを体験する、「うみのこ、やまのこ、たんぼのこ」事業等について、紹介がありました。

4日目の午後には、県内の水質検査機器等製造企業を訪問し、簡易水質検査の実習と、それをスマートフォンで管理するという内容の講義を受講しました。

水質検査実習の模様

また、関連会社が実施する環境学習として、琵琶湖に生息するヨシ(イネ科の植物)で、ヨシ笛を作成する実習に取り組み、ヨシが琵琶湖に果たす役割、ヨシの大切さについて学びました。

ヨシ笛作り実習の模様

5日目の午前は、琵琶湖環境科学研究センターを訪問しました。「水中ロボットを用いた湖沼観測と、琵琶湖深底部における底生生物のモニタリング」に関する講義等を受けた後、実際に調査船により琵琶湖上へ出て、透視度測定等の実習を体験しました。

水中ロボットに関する講義を受講

午後には、滋賀大学市川教授の研究室を訪問し、同大学大学院教育学研究科の大学院生と交流しました。互いの国の状況等について活発な意見交換が行われました。

滋賀大学での交流の模様

その他にも、県内最大規模の下水処理施設における技術紹介や、琵琶湖博物館でのプランクトンに関する実習、博物館の視察等、招へい者は多忙な日程をこなしました。

滋賀県湖南中部浄化センターの視察
滋賀県立琵琶湖博物館の視察

琵琶湖上での実習の模様

講義、視察日程の終了後、招へい者は、帰国後に湖南省の小中学校で実施することを前提に、滋賀で体験した科学技術や環境教育の内容を取り入れた環境教育授業計画を作成しました。最後の成果発表として、その授業計画の発表を行い、交流プログラムは閉講しました。

成果発表の模様
修了証とともに、全員写真

今回の交流により、湖南省における科学技術や環境教育の更なる発展と両国互いの交流の促進につながれば、と思っております。