2016年度 活動レポート 第65号:鳥取大学工学部

2016年度活動レポート(一般公募コース)第65号

「カーレースゲーム」をテーマにした共同ものづくりプロジェクト

鳥取大学工学部からの報告

本年8月下旬、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、インド プネ工科大学(College of Engineering Pune、以下CoEPと表記)との「共同ものづくりプロジェクト」を実施しました。鳥取大学とCoEPの共同ものづくりプロジェクトは2013年度からスタートし、今夏の開催で4回目を迎える自主活動型の交流イベントです。今回はインドから4名(男子3名,女子1名)の学生を招聘し実施しました。

鳥取大学乾燥地研究センターを見学(日本の “夏” に早くも対応したCoEPの学生)

本プロジェクトは企画段階から学生主体で活動に取り組むことが特徴であり、本年度も5月の連休直後に全学規模で展開したポスター掲示を皮切りに、学内で積極的にメンバーを募集し、その声掛けに応じて集まった5名の日本人学生(男子3名,女子2名)が中心となって「共同ものづくり」に必要な諸々の準備を進めてきました。今回のプロジェクトテーマは6月中旬に開催された初回の全体会議で「カーレースゲームをつくろう!」に決まり、その後、日本人学生はCoEPの学生と電子メールでのやり取りやSkypeミーティングを通じ、意思の疎通を図ってきました。

本プロジェクトに参加した9名の学生は、ハードウェアチーム、ソフトウェアチーム、電子回路チームの3つのグループにわかれ、それぞれが協力しながら、車体の製作、機器制御ソフトウェアの作成、搭載する電子回路の設計、試作に取り組んできました。当初、英語に不慣れな学生には戸惑う様子も見受けられましたが、徐々に心理的な垣根も取り払われ、プロジェクトの中盤以降は臆することなく、最後的にはボディランゲージも駆使して、全員が積極的にコミュニケーションを取ろうとしていたように思います。

初日の自己紹介の様子(不慣れな英語のせいか?日本人学生の表情が少し硬い)
ハードウェアチームの活動の様子

ソフトウェアチームの活動の様子
電子回路チームの活動の様子

本プロジェクトで試作した「カーレースゲーム」とは、単なるビデオゲームではなく、小型車両に搭載したカメラから送信される映像をリアルタイムで見ながら遠隔操作で車を運転(操縦)し、競争するという(簡単に言うとラジコンカーに人が乗り込んでカーレースをするイメージ)画期的な玩具です。その際、観衆はプレーヤーとカメラの映像を共有することにより、全員が臨場感を持ってレースを進めることができます。

本プロジェクトは,参加した学生が企画段階(アイデア出し)から主体的に活動に取り組んできたことに最大の特徴があります。我々教員は「困っていることに対して相談に乗るが、基本的には口も手も出さない」というスタンスで活動を見守ることに徹しました。当初はどうなることか・・・と心配になることもありましたが、活動開始から1週間後には日印の学生同士で自主的にSkypeミーティングを開くようになり、日々、頼もしさを増していったことを記憶しています。

プロジェクト最終日の成果報告会の様子(全員が各自の担当を英語で発表しました)
成果報告会終了後も教員からの質問攻めにあうメンバー達

国内での実質的な活動期間は1週間程度と短いものであり、試作品細部の完成度にこだわる余裕はなかったのですが、限られた時間の中で、参加メンバーは最高のパフォーマンスを見せたと思います。国や文化的背景は異なっても、若い学生たちが,お互いを尊重しながら白熱した議論を交わし、少しでも良いものをつくろうと真剣に奮闘する姿を間近で見て、大学における「グローバル」教育が目指すべき原点に改めて思いを馳せるとともに、私たち教員も幸せな時間を共有することができたと感じています。

最後に、本プロジェクトを支援し、このような貴重な機会を日印の学生に提供することを可能にしてくださったJSTの皆様、多忙な日常業務の中で協力を惜しまず参加してくれた本学教職員の皆様、学生諸君、その他、CoEPの学生受け入れに際し、一方ならぬご助力をいただいた学内外の関係者各位には「感謝」の一言につきます。ここで、一人ひとりのお名前を挙げることはできませんが、心から感謝の言葉を申し上げます。ありがとうございました!

開校式の終了後に撮影した全体集合写真(お互いに少し笑顔がみられるようになった)
閉校式終了後に撮影した全体集合写真(参加者のリラックスした表情が印象的!)

数々の試練を乗り越え、参加メンバー全員が仲良くなりました!