2015年度 活動レポート 第26号:九州大学理学研究院 鹿島薫 准教授

特別寄稿 第26号

九州大学と新疆大学の砂漠化防止技術の研究交流
鹿島 薫

執筆者プロフィール

[氏名]:
鹿島 薫
[所属・役職]:
九州大学理学研究院准教授
 
日程 研修内容
7月20日~21日 来日、九州大学でガイダンスとヒアリング、気候変動に関する講義実習
7月22日 土質物性およびGISに関する講義実習
7月23日 土壌塩性化防止と灌漑に関する講義実習
7月24日~26日 九州大学地震火山観測センターと島原半島ジオパークで地震火山災害と自然環境保全に関する講義実習・見学
7月27日 九州大学で理学部の講義参加、理学部学生との交流会、大学院理学府外国人留学生との懇談会
7月28日 九州国立博物館見学
7月29日 帰国
 

はじめに

2015年7月20日から7月29日まで、さくらサイエンスプログラムの補助を受け、砂漠化防止技術に関する研修を実施しました。本研修には、中国新疆ウイグル自治区の新疆大学から引率教員1名と学生・若手研究者10名が参加しました。

参加者ガイダンス

研修参加者の日本到着日とその翌日に、研修ガイダンスと個別ヒアリングを行いました。研修参加者の海外渡航経験、本研修への希望、将来の希望等について細やかに聞き取りましたが、引率教員以外の10名は全員初めての海外渡航であることがわかりました。そこで、砂漠化防止関連の講義に加えて、九州大学のキャンパスツアー、九州大学学生との交流会、講義参加等、日本における学生生活がよくわかるような研修内容にアレンジし直しました。また、宿舎から大学までの移動では、こちらでバスを手配せず、公共交通機関を利用してもらうことで、通学途中の町並みを楽しめるようにしました。

九州大学における砂漠化防止事業に関する講義実習

研修参加者は、将来、地域の環境保全事業や砂漠化防止事業に関わりますが、それらの事業には様々な専門家の協力が必要です。そこで、本研修では、工学研究院や農学研究院の教員の協力を仰ぎ、幅広い内容を提供することを心がけました。これにより、研修参加者は九州大学における各部局での教育制度や研究施設の詳細について見学することができました。最終日に回収したアンケートから、全ての研修参加者が九州大学の教育研究システムに興味を持ち、再度九州大学を訪問したいという強い希望があることがわかりました。

九州大学理学研究院正面玄関前における集合写真(旧キャンパス)当時は移転作業中であり、写真左側に機器運搬用の通路が設けられている

九州大学学生との交流会

九州大学地震火山観測センター及び島原半島ジオパークにおける研修

研修期間中に長崎県の九州大学地震火山観測センター及び島原半島ジオパークを訪問しました。迫りくる火砕流の恐怖を実感できる様々な施設や雲仙火山の豊富な自然環境に、新疆ウイグル自治区では見られない貴重な体験をすることができました。また、雲仙火山への往復には、有明湾を横断するフェリーを利用しましたが、多くの学生にとってこれが初めての船旅でした。内陸域である新疆ウイグル自治区の学生にとって、初めて海を体験できることは大きな喜びでした。

雲仙火山災害関連施設見学

九州大学工学研究院における研修

九州大学学生との交流と講義参加

研修期間中に長崎県の九州大学地震火山観測センター及び島原半島ジオパークを訪問しました。迫りくる火砕流の恐怖を実感できる様々な施設や雲仙火山の豊富な自然環境に、新疆ウイグル自治区では見られない貴重な体験をすることができました。また、雲仙火山への往復には、有明湾を横断するフェリーを利用しましたが、多くの学生にとってこれが初めての船旅でした。内陸域である新疆ウイグル自治区の学生にとって、初めて海を体験できることは大きな喜びでした。

帰国後の交流活動

研修終了後、本研修に関連する新疆大学との交流機会が2度ありました。2015年11月に九州大学で開催された日中学長会議では、新疆大学から党書記と国際交流部長が参加され、九州大学総長と今回の研修も含めた積極的な交流についての意見交換が行われました。また、同年12月には新疆大学からの提案により、私が北京で新疆大学学長と面談することができました。同学長から本研修に関して強い感謝の意が述べられ、帰国後に新疆大学において報告会が開催されたこと、今回参加しなかった多くの学生にもよい影響を与えたことの報告を受けました。

おわりに

さくらサイエンスプログラムによる本研修の実施は、研修参加者の養成という点のみならず九州大学と新彊大学の交流促進という点においても効果を発揮したと言えます。これからも今回の研修を継続していきたいと考えています。