2015年度 活動レポート 第67号:中部大学(2)

2015年度活動レポート(一般公募コース)第67号

環境・エネルギーなどに関する研修プログラムを展開
同済大学浙江学院の学生との研究交流②
中部大学からの報告

中部大学

5日目は、日本の企業で環境・エネルギーについて、どのような取り組みがなされているかを実感してもらうために企業見学を実施しました。

午前中は、大企業の例として王子製紙春日井工場を見学しました。その工場は周りを住宅に取り囲まれていることもあり、臭気や廃水問題に対して、さまざまな対策を講じていることを見学して理解しました。また、廃プラスチックや自動車用タイヤを燃料に使用するなど工夫を施し、工場で必要となる80%の電力を自家発電により確保しているとのことでした。

王子製紙(株)を見学

午後は、中小企業の例として、金型メーカーである犬山市の名古屋特殊鋼株式会社の工場を見学しました。その工場では、鋼材からNCデータによる加工・組付・仕上げを一貫して生産していますが、その流れを工程順に見学しました。最終段階の仕上げでは、機械ではなく熟練した人間の手で造り込みがなされており、人間の熟練した技術の素晴らしさを実感してもらいました。事務建屋の屋上には緑化がなされており、また太陽光発電を実施したり、デマンドコントロールを活用するなどエネルギーの有効活用が図られていることを見学しました。

名古屋特殊鋼(株)を見学

6日目の午前は、中部電力株式会社技術開発本部を訪問しました。最初に技術開発本部の技術開発研究体制についての説明があり、同開発本部が事務部門(総務、研究企画、知的財産)、電力技術研究所、エネルギー応用研究所、原子力安全技術研究所の4部門から構成されており、同開発本部が、「安価で良質なエネルギーの安定的な供給」及び「総合エネルギーサービス企業の実現」に向けた中長期的な技術開発に取り組んでいるとの説明を受けました。

中部電力にて技術開発に関するセミナーを受講
中部電力にて住宅用環境実験棟の見学

中部電力にて波浪水理実験棟の見学

その後、ヒートポンプ試験設備、浮体式洋上風力の水理模型実験施設、住宅用環境実験棟、太陽光発電の出力把握・予測等の研究開発現場を見学し、開発状況に関する説明を受けました。

午後は東邦ガス株式会社技術開発本部技術研究所を訪問しました。最初に東邦ガス株式会社が日本の”ものつくり”の中心拠点である中部3県(愛知県、岐阜県、三重県)にガスを供給する会社であり、東京ガス、大阪ガス、に次いで日本でのガス取扱量が3番目に多い会社で、ガスの安定供給に取り組んでいるとの紹介がありました。さらに、技術開発本部は、技術企画部、技術研究所、商品開発部からなっていること、及び、それぞれの部門の概要に関する説明を受けました。その後、スマートハウス関連技術開発の状況、燃料電池車の見学と試乗、水素ステーション整備に向けた技術開発、ガスエネルギー館でのエネルギー利用の現状と、将来に向けてのいろいろな取り組みに関してのデモンストレーションを興味深く見学しました。

スマートハウスの見学
東邦ガス エネルギー館のデモを見学

東邦ガスにて水素ステーション整備に関する装置の説明を受ける。

日本のエネルギー開発に取り組む代表的な企業2社の先端技術開発の現場を見学し、学生の皆さんは、大いにインパクトを受けた様子でした。

最終日には、産業廃棄物のリサイクルを行っている春日井市の大和エネルフ(株)を訪問しました。産業廃棄物を回収し、RPF燃料を製造・再利用するプロセスなどの説明を受けました。Webカメラを利用した管理システムやリサイクルのための原材料のチェックシステムなどに対し、多くの質問が出ました。

大和エネルフを見学

午後は、中部大学で成果報告会が行われました。参加者一人一人が英語で1週間にわたる研修の感想を発表しました。中部大学の建物がきれいに保たれていること、実学重視の学修環境、実験・実習施設・設備が充実していること、訪問した企業がいずれも社会的責任を果たすため環境に配慮した運営がされていること、日本が美しくきれいな国であることなどの感想が述べられました。引率の教職員からはこの研修によって参加学生たちの視野が確実に広がったこと、今後もこのような研修を行っていきたいことなどが述べられました。

この成果報告会には同済大学淅江学院を卒業して本学の大学院に在籍している大学院生をはじめ、工学部・工学研究科の在学生も参加し、終了後に交流会が持たれました。

盛り上がった交流会

最後に修了式を行い、松尾直規学監から参加者一人一人に修了証が手渡されました。その後会場を名古屋市に移し、歓送会が行われました。参加者はこの1週間の研修を振り返りながらそれぞれの新たな目標などについて語り合いました。

研修の感想を発表する参加者
修了式の様子