2014年度 活動レポート 第9号:中国浙江大学 辛煥海

修了者・教員らからの声 第9号

富士電機と浙江大学そして日本と中国のより良い明日を目指して!
辛 煥海

辛 煥海(Xin Huanhai)
浙江大学・電気学院/電力系統専門 副教授

さくらサイエンスプログラム実施内容について

受入機関 富士電機株式会社
送出し国・機関 中国浙江大学
招へい学生数 12
招へい教員の数 5
実施した期間 2014.8.29 ~ 2014.9.14
 

まず初めに、富士電機株式会社(以下「富士電機」)とさくらサイエンスプログラム主催者の皆さまからの我々へのご支援に心より感謝申し上げます。
今回が初めての訪日でしたが、8月29日より10日間にわたり富士電機で研修し、多くの体験ができました。奇しくも8月29日は富士電機の創立記念日でもありました。

数年前、私は日本の歴史、特に武士の改革や第二次世界大戦について学び、また、幼い頃よりインターネットやテレビを通じ日本について多くの肯定的あるいは否定的なニュースを見聞きしてきました。しかしながら、今回、日本の文化や生活に直に触れる機会を与えていただき、日本の習慣や伝統について多くのことを学び、また多くの感動がありました。

1.日本を知ることの必要性

中国・浙江大学と富士電機が共同で設立した研究所は、中国で最も有名な研究所のひとつとなっています。そのご縁でレイさん、小島さん、松本さん、川平さんなど多くの日本の方々と知り合いました。
しかしながら、そのようなかかわりがあっても、私たち中国人の多くにとって、日本はいまだに不思議な国なのです。

日本には数々の高品質の製品があり、世界でも高い評価を得ていますが、社会の発展を支える国内の資源は乏しい状況にあります。さくらサイエンスプログラムの目的は、アジア諸国の青少年に日本を知ってもらうための支援をすることであり、それは私のこの旅の目的でもありました。

さくらサイエンスプログラムは私たちに日本を訪れ日本について知る機会を与えてくれたのですが、少々残念なことに、プログラムの開催時期が新学期開始時期と重なってしまい、多忙を極めました。
そのような事情から、今回は純粋な旅というよりはむしろビジネストリップであると考え、さくらサイエンスプログラムへ臨むこととなりました。私は中国と日本の相違点に興味を持っていましたので、今回の訪日で日本の文化、習慣などの良きところと悪しきところを見出したいと思っていました。

2.日本から学ぶべきもの

日本人は人口密度が非常に高い国でありながら、秩序正しく優れた文明を持つ社会を築いてきました。これは奇跡と言っても過言ではありません。
日本の道路は、歩道にゴミ箱が置かれていないにも関わらず清潔で、地下鉄の駅は人で溢れているものの混雑しているようには見えません。日本の風景は極めて美しく、京都には歴史上重要な建造物が数多くあります。そのような面からも、日本は旅行者にとって素晴らしい国であり、中でも関西方面は非常に魅力的です。

社会の規則を守ることは日本人にとって当たり前のことであり、彼らは常に正確なスケジュールを立てることが出来ます。例えば、工場を訪問する際にも、全てが日本の鉄道のように分刻みで正確に動くのです。私たちの訪日においても時間のずれが5分を超えたことはなく、富士電機の全ての工場が清潔で整然としていました。

つまり、ほとんどの日本人が自分の仕事、会社及び社会に対する正しい秩序を持っているということです。彼らはそれぞれの職責や地位における自身の役割を明確に捉えて行動し、相手に対しては双方にメリットがある結果を目指して努力します。

実際、日本は自己管理に優れた社会であり、それがスマートシティの実現にもつながっています。中国もスマートシティの実現を目指し持続可能な発展を遂げることを目標としており、その方針について日本から学ぶべきことが数多くあると思われます。

3.富士電気と浙江大学の連携の強化の必要性

私たちは富士電機の6つの工場を訪問し、その全てで快適な時間を過ごすことができました。各工場で私たちに付き添ってくださったスタッフの方々は大らかで良い人ばかりでした。質問にも快く答えてくださり、リクエストがあれば、技術や技能についても説明してくださいました。

最も印象的だったのは、この会社が持っている極めて豊かな技術資源です。富士電機の製品はハードウェア、ソフトウェア及び再生可能エネルギーなど、エネルギー分野のほぼ全体を網羅しています。そして、この会社には優れた企業文化に加え、「エネルギー技術の改革」という称賛すべきスローガンがあります。

中国で名門校とされる浙江大学は数多くの優れた研究成果を挙げており、中国工業の近代化へ貢献し続けています。こうしたことから、富士電機と浙江大学が連携を強化することにより、双方の国の人々にとって有益な成果を生み出せると思います。

富士電機と浙江大学は両国の代表的な組織であり、私たちの協力関係がより深まり、共同研究が良好に進展すれば、両国、ひいては両国民への貢献となることでしょう。

「人と防災未来センター」で被災者からの体験談を聞く

浙江大学-富士電機協業センター事務所でミーティング

鈴鹿市にある鈴鹿工場にて製造ラインを見学

駆動技術のセミナーで討論

イノベーションジャパン2014にも参加