2014年度 活動レポート 第10号:第1陣(10) 報告会と修了証の授与

さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第10号

「さくらサイエンス・ハイスクールプログラム」最終日、報告会と修了証の授与

独立行政法人科学技術振興機構(JST)

あっという間の5日間でした。7月25日の最終日、中国の高校生たちの報告会が行われました。来賓として文科省科学技術・学術政務局国際戦略室の宮原有香専門官、在日本中国大使館科技処・阮湘平公使参事官らが見守るなか、計8名の高校生たちがこの滞在中で学んだこと印象に残ったことを発表しました。

トップバッターの遼寧省から来た张翰中君は「なんといっても科学未来館で見たアシモに圧倒された。スムーズな動きや飛んだり跳ねたりする動作を見て、これこそ最先端技術の結晶だと思った」。続いての西安からきた张夏彤さんは「道路の並木が良く手入れされており、街中でも鳥の声がよく聞こえた。またゴミ収集の分別など環境保全について中国が学ぶところが多い」と印象を述べました。

また、大連から来た卢进君は「多くの最先端の科学技術施設を見て、ますます科学が好きになった」。北京からきた李钧正君は「日本と中国は漢字や茶の文化 などとても共通するところが多い。もっとお互いに理解すべきなのにそうなってはいないのは残念」。海南の王薪雅さんは「細かいところに感動した。朝、掃除 をしているおばさんがにっこりとほほ笑みかけ、おはようと言ってくれて、一日中暖かい気持ちになれた」。王子凡君は「白川英樹先生のBasic Research が重要、という言葉が印象に残った。徹底的に研究していくという精神に感銘を受けた」。刘奉鑫君は「今回の研修で宇宙から海底まで多くの知識を学べた」など、高校生たちはさまざまな角度から今回の研修旅行の成果を発表しました。

その後JST中国総合研究交流センターの高橋文明上席フェローから終了証が代表に授与され、6泊7日の「さくらサイエンス・ハイスクールプログラム」第一陣のプログラムを終了しました。

報告会でのスピーチは次の通りです。

 
文部科学省科学技術・学術政策局国際戦略室・宮原有香専門官の挨拶

中国の高校生の皆さん、ようこそいらっしゃいました。1週間でしたが、日本の印象はいかがでしたでしょうか。
皆さんが参加したさくらサイエンスプログラムは、今年度からの事業であり、皆さんが最初の招へい者であります。アジアの優秀な若者を日本に招へいし、日本の最先端科学技術に触れていただき、日本の若者とも交流していただく事業です。
科学技術分野で若い人が、このように交流することは非常に有意義なことと感じています。皆さんは、日本を代表する研究機関などを見学したり一流の研究者から講義を受けたりと、充実した時間を過ごされたと思います。このあと行われる皆さんの1週間の報告を楽しみしています。今後、留学などでもっと長い期間、日本に滞在してもらうことを期待しています。そのときは、素晴らしい研究機関や大学がまだまだ多くあるので是非見てもらいたいと思います。
この来日もまた一つの契機となり中国と日本の科学技術分野における交流が一層深まっていくことを期待し、皆さんのますますの活躍を祈っております。有難うございました。

中国大使館・阮湘平公使参事官の挨拶

今日はこんなに大勢の高校生と会えてとても嬉しい。さくらサイエンスプログラム事業に感謝すると同時に、中国大使館を代表して中国の高校生の皆さんを心から歓迎します。
JSTは長年にわたって中日の科学交流を実行してきました。今回実施しているさくらサイエンスプログラムは、若い中国の学生に対して行うものです。現在の中日の厳しい情勢の中でこのようなプログラムをやるのは、非常に素晴らしいことです。中国大使館としてもずっと民間交流をサポートしたいと思います。
青少年の交流は、中日の友好ための希望になるものです。青少年間の交流を進めるのは重要です。両国の青少年の交流を進めることは理解を深めることになり将来、両国の関係はよくなるでしょう。青少年のみなさんが今回の事業で見聞することは、百聞は一見にしかずであります。
さくらサイエンスプログラムの交流事業は、短期間とはいえ、生徒個人にとっても非常にいいことだと考えています。
最後に文科省およびJSTに対し感謝申しあげます。

中国人高校生のスピーチ
A班 張瀚中君(撫順一中、高校3年、男性)のスピーチ

自分が一番感銘を受けたのは、科学未来館のロボット・アシモを見たときです。日本に来る前にアシモを見たことはあるが、実際に本物のアシモを見たのは初めてです。柔軟な動作には非常に興味深かったです。その動作は非常に安定しているだけでなく、走ることもできるし、後ろに歩いたり、ケンケンしたりジャンプもしたのにはびっくりしました。アシモはロボットですが、日本のトップレベルの技術です。非常に感動しました。
また、仕事をしている人が責任感をもっていることに感心しました。少し時間があったので、私は新宿にいけますかと聞いてみました。すると係りの方は、買い物のことだけではなく、そのほかの注意事項をいろいろ言ってくれました。こういった仕事に関する責任を見て、今回、日本に来て大きな収穫を得ました。ますます日本を理解しました。私は大学を終えたら日本に勉強に来るかもしれない。科学未来館の毛利衛館長が言ったように、私は将来、地球環境で貢献したい

A班 張夏彤さん(西安電子科技大学付属中学、高校1年、女性)のスピーチ

感想を言う前に生徒を代表してJSTはじめ関係者の皆様に心から感謝申し上げます。そして皆様が快適な宿舎を提供し、いろいろサポートしてくれたことに感謝申し上げます。
これまで日本の文化の深くを知ることはできませんでした。しかし早くから発展してきた日本の文化には興味がありました。今回は宇宙から海まで見聞しました。そして同時に過去と未来の融合した縁も感じました。実験室の精密機器は未来を拓くものでした。環境保全の研究には深い印象を得ました。
道路にはハトがいたし街角に多く見られました。なた街角に非常に美しい花、アジサイの花などがあちこちで見られましたし、ブロック塀は非常に美しいと思いました。日本はごみの収集を細かく分けており、これらはすべて中国が学ぶことです。今回の旅は、私に多くの知識を与えてくれました。もしかしたら中国に帰ってしまえば忘れるかもしれません。しかしこれを忘れても、プロセスは覚えていて感動と喜びを忘れることはないでしょう。
中国で研究する人はこう言っています。もし一人の人が年取って一生過ごしたこと、人生の過程で特殊なことがなければ、その人の一生は語れることはないと。それであるからこそ、私は帰国して勉強しなければならないと思いました。そして私は汗を流し、チャンスをくれたことに頑張って行きたいと思います。もう一度感謝申しあげます。

A班 雷加立さん(四川省彭州第一中学、高校1年、女性)のスピーチ

今日は皆さんと一緒に、さくらサイエンスプログラムの感想を共有していることを嬉しく思います。私はすべての生徒を代表してサポートしてくれた皆さんに、心から感謝申しあげます。この数日間、毎日皆様は辛抱強くお世話してくれたことに、心からお礼を申しあげます。お疲れ様でした。
7月20日に来て以来、多くの研究所を見学したし東京理科大学はじめいろいろ見ました。いろいろなところで研究者が熱心に解説してくれたので、科学技術について理解を深めました。そして考え方が啓発されました。7月20日の夜とは違って、いま日本を深く理解したように思います。
非常に短いものでしたが、さくらサイエンスプログラムは貴重で得難いものだったと思います。もう一度さくらサイエンスプログラムの主催者の皆様に感謝申し上げます。
中日がより発展することを希望します。

A班 盧進君(大連市育明高中、高校1年、男性)のスピーチ

中日の関係者の努力でさくらサイエンスプログラムに参加できたことに感謝します。私は日本の様々なことが理解できました。そして科学技術はもっとも重要なことだと思いました。
日本人の礼儀正しさは最も印象的でした。敬意を表したいと思います。私が思うに、ある国の発達の程度を図るのは、どれだけ人口が多いかだけでなく、国民の資質がその国の程度の指標だと思います。
日本の科学技術に触れることができました。多数の換気装置を知ることができました。 ものについては知っていましたが、実際の装置は見ていませんでした。今回、実際にみてこれまでわからなかったことが理解できました。
印象深かったのは、ロボットのアシモ、環境関係の実験施設などです。いまは科学技術が好きになりました。そして科学技術を生活における魅力として体験できました。さくらサイエンスプログラムによって日本の歴史と文化を理解でき、とても大きな収穫がありました。有難うございました。

B班 李鈞正君(北京市十一学校、高校1年、男性)のスピーチ

私たち中日は兄弟のように似た国です。日本と中国は漢字や茶の文化などとても共通するところが多い国です。中日の言葉は似た文字を使っているし顔もよく似ています。よりよく理解するべきですが、実際にはそうではありません。似た民族なのにそれぞれが利益を考えて、お互いに怒りが大きくなっており争いが大きくなっています。人々を怖がらせているのが現状です。これには失望を覚えていましたが、今回、新たな希望の光を見たと思いました。
理化学研究所には多くの中国人が研究者として活動していましたし東大にもいました。研究の成果も共有していました。しかしこれに反対する人がいるかもしれません。
昨日(7月24日)は、東工大付属科学技術高校の生徒とお昼に交流会がありました。そのときお互いに写真をとり合い、一緒に笑いあいました。彼らは非常に誠実でした。だから女生徒も心配することなく心を通じて握手をし、友情を素直に示すことができました。これは純粋な気持ちでした。
30年後、ここにいる高校生は必ず社会で活躍しているでしょう。政治家や科学者になっているかもしれません。各方面で立派な社会人になっているでしょう。
あるいはその時には、国を背負っているかもしれないし、いまの純粋な気持ちが変わっているかもしれません。しかし昨日の友情が変わることがないと信じています。
30年後、科学者になった人は緊密に協力し、すべての国民が純粋な協調をもって二つの国と世界のために貢献することを競い合うでしょう。これからは共同の未来を築くことです。
それはあなたの未来ではなく僕たちの共同の未来です。

B班 王薪雅さん(海南中学、高校1年、女性)のスピーチ

今日は最後の日であり短かったがいろいろなことを見聞できました。江戸東京博物館、白川英樹博士の実験教室、理研や科学未来館見学、そして先端科学の研究現場も見学できまし。
研究者は学問に対する厳粛な態度をもっており、イノベーションを重視する多くの科学者の実際を垣間見たと感じました。科学の実験や研究者のやっている分野へ案内してもらい、たくさんのことを学んだし科学研究に取り組む態度を学びました。
東京で数日間しか滞在しませんでしたが、細かいことに感動しました。ある朝、年配の女性が家の前を掃除していました。私たちが通りかかると、にっこりしておはようございますと言いました。日本人の暖かい心を思いました。
さらにこちらの宿舎のシェフのおじさんも、こんばんはと言ってくれたし親切にしてくれました。本当に有難うございました。
最後にさくらサイエンスプログラムの主催者の方にお礼を言います。非常に貴重なチャンスを与えたもらったことに感謝申し上げます。今回の機会を通じで、中日は一衣帯水の国であることが理解できました。さくらサイエンスプログラムのサポートに感謝します。有難うございました。

B班 王子凡(広東広雅中学、高校1年、男性) のスピーチ

一言お詫びします。このような儀式にカジュアルな服装でここにいます。しかし今回はカジュアルな服しか持ってこなかったので許してください。
母校と親に感謝します。というのは祖国がこのチャンスを与えてくれたし、家族も支えてくれました。またJSTにも感謝しますし、さくらサイエンスプログラムにも感謝します。
日本に観光に来たことがあります。一番の深い印象は、個人的な資質が高く道徳的な点が高い点でした。そういったことは日本の教育、仕事に対する真面目な態度に出ています。これは、世界のすべての人が学ぶべきだと思いました。
科学技術にも深い印象を持ちました。科学には国境がないということは、日本で徹底しているように感じました。分野が違っても研究の目的は一緒です。全人類のためにするということであり敬意を表したいと思います。
数日前、ノーベル賞受賞者の白川英樹先生にお目にかかりました。白川先生の話の中で科学の中でも最も重要なのは基礎科学だと言いました。なぜ日本は多数のノーベル賞受賞者を出しているか。それは研究を基礎的に追及することだと考えました。
白川先生は、昔、実験で間違いを犯しました。しかし間違いの現象こそがノーベル賞受賞の業績につながったのです。このことについて質問しました。白川先生は「非常に多くの人は間違いは危険だというだろう。しかし勇気を持てやらなければならない」と語りました。ノーベル賞をもらうには、隠れているものを発見することが重要です。それには勇気をもってやることだと思います。
最後にすべての友好的な日本のみなさんに、この数日間の接遇に心から感謝申しあげます。中日が友好になることに希望を持ちました。すべの中国人を代表して有難うございましたと申し上げます。

B班 劉奉鑫(章丘市第四中学、高校2年、男性)のスピーチ

今回は日本の研究所や多くのセンターや大学に行ったし、白川英樹先生の実験教室も受けました。さくらサイエンスプログラムでは、日本を深く理解し日本の科学技術にたくさん学びました。
今回、日本で学んだことは、今後の私の学生生活でいろいろ影響を与えるでしょう。特に2つのことに印象を持ちました。
第1は、日本人の道徳心の高いことです。規範を守り時間を守る、そして心からの礼儀に感動しました。この国を歩いていると、この国の民衆は仕事第一であり、生活第一であることが分かりました。日本の人々を変えることがない学問、経済がエネルギーになっています。非常に学ぶことのある国だったと思いました。
最後に関係機関の周到な準備をしてこのような機会を与えてくれたことに感謝申し上げます。ここにいる皆が、同じことを考えています。