2014年度 活動レポート 第71号:福井大学(3)

2014年度活動レポート(一般公募コース)第71号 (Aコース)

ベトナム電力大学の学生・教員が福井大学で日本のエネルギー事情を研修 その3

研修その1]|[研修その2

福井大学 附属国際原子力工学研究所 泉 佳伸、 大堀 道広

9月26日(5日目)は、福井県敦賀市内の二つの施設を見学させて頂きました。午前中は、公益財団法人若狭湾エネルギー研究センターを訪問しました。同センターのご担当者より施設の沿革や概要についてご説明頂いた後に、施設の主要研究機器と位置付けられる加速器についてご説明頂きました。

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若狭湾エネルギー研究センターの見学では、お天気に恵まれました。

こちらの加速器はタンデム加速器とシンクトロン加速器の二つの機器を連携させたもので、前者において光速の14%まで加速された粒子が後者に引き渡され、光速の56%まで加速されるというご説明や、それらを照射する陽子線がん治療や植物の品種改良などへの利用事例のご紹介に、ベトナム電力大学の学生たちが目を輝かせていたのが印象的でした。その後、多数の質問もあり、彼らの関心の高さが伝わってきました。

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若狭湾エネルギー研究センターを見学させて頂きました

同施設を後にして、すぐ昼食となり、福井名物「ソースかつ丼」を堪能しました。ここでも、はじめて目にする奇異な食べ物に皆、スマフォを取りだし、撮影大会となりました。

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お昼には福井名物の「ソースかつ丼」を頂きました。お腹いっぱい。

続いて午後には、関西電力株式会社美浜発電所に隣接するPR館を訪れました。はじめにご担当者より、同社の沿革、事業内容、美浜発電所の概要に関するご説明を頂きました。そして、発電所構内に入り、厳重なセキュリティチェックを受けた後に、3号機の中央制御室、タービン建屋を見学させて頂き、さらに2011年東北地方太平洋沖地震後に実施した地震や津波に対する多数の安全対策についてご紹介頂きました。

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関西電力株式会社美浜発電所を見学させて頂きました

ベトナム電力大学の学生たちは、実機原子力発電所の見学は初めてということでしたが、「福島第一発電所のような事故を繰り返さないように」という思いで我が国で実施されている安全性向上のための対策を理解してもらえたようです。
その後、PR館に戻り、ここでも多数の質問が出ていました。わずか一日ではありましたが、彼らと一緒に過ごし、彼らの礼儀正しさや、知識や技術を貪欲に吸収しようとする熱意に触れ、私にとってもたいへんすがすがしい時間となりました。

9月27日(6日目)は大阪市に移動し、大阪市立科学館を見学しました。まず最初に、齋藤館長から科学館の歴史と全体の概要をご説明頂きましたが、湯川英樹博士ら原子核物理等での発見の歴史に迄及び、少し難しかったかも知れないですが、前日に若狭湾エネルギー研究センターで加速器施設を見学させて頂いていたのが幸運でした。

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大阪市立科学館の齋藤館長さまによる概要説明

この科学館は1階~4階まで非常に多くの展示があり、実際に触って、動かして、身体を使い楽しく学ぶことができます。まずは昼食前に手回しやペダルこぎでの発電体験に夢中になりました。例えば僅か100Wの電力を発電するのにも如何に大変かを、身を持って体験できた様子で、しかもベトナム国内にこの様な科学博物館がないらしく、「ベトナムにもこういう施設があったら良い」、「ここの展示物を(期間限定で)よそに持って行って展示したりは出来ないのか?」など、色々な感想が聞かれました。ランチ前の適度な運動にもなりました。
午後もたっぷりの時間を使って館内の見学を行いました。ここではボランティアの方々が複数おられ、私たちのグループにも英語の話せるボランティアの方が一名ずっとついて下さいました。英語での説明で分かりにくいところは小職が英語で補足してみたり、日本語で説明し直して通訳アルバイトの本学のベトナム人留学生に通訳して貰ったりして、とことん自分なりに理解する迄は質問が続きます。

こういった場面でも彼らの熱心さ、勤勉さが伺い知ることができました。引率させて頂いて、こちらも嬉しい気持ちになれる、そんな見学となりました。見学を一通り終えた後は会議室に戻って質疑応答や感想を述べて貰ったりしました。

その後はアンケートの回収と、修了証を授与しましたが、あっという間の6日間の交流プログラム。皆とても良い表情になっていて、その後もメールやフェースブックを通じての情報交換・交流を続けさせて頂いています。今回の参加者の中から、「日本で学びたい。」、「福井大学で学びたい。」というやる気溢れる人が一人でも多く現れ、この交流をきっかけに両者の関係がさらに深まっていくことを心より願っています。

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研究所の玄関前で集合写真。皆、元気です。

一行はその後、翌日のフライトに備えてりんくうタウンに移動し、買い物をしたり疲れを癒したり、荷物の整理をしたりと、命名に自由に過ごしました。

JSTさくらサイエンスプログラムのお陰で、本学とベトナム電力大学は互いに顔の見える交流が出来ました。この場をお借りして厚くお礼申しあげます。