2014年度 活動レポート 第197号:熊本大学大学院自然科学研究科

2014年度活動レポート(一般公募コース)第197号

シンガポール、インドネシアから学生を招へいし「KITラーニングエクスプレス」を実施

金沢工業大学

金沢工業大学では、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の『日本・アジア青少年サイエンスプラン』の支援を受けて、12月13日(土)から12月22日(月)までの10日間にわたり、シンガポール理工学院から6名のポリテクニク生と1名の引率教員、インドネシアのジョグジャカルタ・ムハマディア大学より2名の大学生、同じくジョグジャカルタ・ペンバングアン大学より2名の大学生、計11名の学生・引率教員を招聘し、金沢工業大学の学生20名と共に「KITラーニングエクスプレス(12月受入)」を実施しました。

本学では、学生がアジアの国を訪問し、他国の学生達と多国籍チームを組み現地でイノベーション創出に取り組むグローバル人材育成プログラム「KITラーニングエクスプレス」を実施しています。学生達は、地元産業の活性化や環境問題など、滞在先の地域住民の方々と生活を共にすることで問題を発見し、解決策を創出、具体化して住民の方々へ提案する活動を行います。

今回のプログラムでは、2014年9月インドネシアのジョグジャカルタで実施したラーニングエクスプレスで協働したシンガポールとインドシアの留学生を招聘することで、現地で創出された課題解決案を共同で具体化することを目的としています。テーマは滞在した村の家内産業である竹製家具製作の工程の効率化、特に『竹を切る工程』部分に着目しプロトタイプ制作が行われました。このプロトタイプは再度現地へ向かい、現地で導入しテストする予定のものです。またこのような技術的な交流と同時に、日本の最先端の科学技術に触れる科学博物館見学、日本への理解、興味を深めてもらうために伝統文化を体験する活動も行われました。

初日となる12月13日(土)午後13時頃に本学に到着した10名の留学生たちは、歓迎レセプションにて本学サポーター学生と顔合わせを行いました。また食事の後には、セグウェイを用いたアイスブレイク・コミュニケーション活動を行い、学生達はお互いをサポートするために積極的に会話を試み、声を掛け合いセグウェイの操作を楽しみながら打ち解けることができたようです。

セグウェイでアイスブレイク活動
留学生歓迎会

12月14日(日)~15日(月)は本学学生と共に金沢市内の兼六園や伝統的な街並みが残る東茶屋街、近江町市場などを視察し、金沢の地場産業である金箔貼りの体験、手巻き寿司の調理体験など文化体験の活動を行いました。金沢の歴史や建築物、地元の生活、食事などを実際に見聞し、また伝統工芸のモノづくりの実体験を通して、あらためて日本文化への関心が深まったようです。またこの期間はかなりの雪が降り積もり、東南アジアからの留学生にとっては初めて雪に触れる機会となり、日本での冬の生活は強く印象に残る経験となったようです。

金箔貼り体験をする留学生達.

12月16日(火)は本学の研究施設を訪問し、「先端材料創製技術」、「医工融合技術」「感動デザイン工学」など本学で取り組まれている研究内容や最先端の研究設備に触れました。また本プログラムの活動の拠点となるモノづくり施設、『夢考房』では、本学におけるモノづくり活動の内容や安全に関する説明を受けました。午後からは、本学学生と共にインドネシア現地での導入を目指すプロトタイプ制作のブリーフィングを行いました。招聘された留学生たちにとっては、自分達が実際に携わった現地の課題を解決するアイデアの製品化の機会であり、活動に対するモチベーションは非常に高くディスカッションは非常に熱のこもったものとなりました。学生達は再度、竹製品を加工している作業者の動画や画像を確認しながら問題点の確認やそれに対する解決策の話し合いをすすめました。

プロトタイプについてディスカッションをすすめる学生達

12月17日(水)及び18日(木)は、本学のイノベーション&デザインスタジオでのディスカッションでアイデアの洗練化と夢考房でのプロトタイプ制作活動を行いました。安全の都合上、留学生たちは夢考房の工作機械を使用することはできませんでしたが、夢考房技師の協力のもと、本学学生が通訳となりアイデアを技師に伝えることで作業が進められました。本学学生にとってはさらに英語を駆使する場面となり英語運用能力の重要性を実感する機会となりました。また、言葉だけではなくスケッチやジェスチャーなどを用いるなど、どのようにしたら他者へ自分の意図を伝え、理解し合うことができるのかという点においてもコミュニケーション能力に磨きをかける実践となったようです。

夢考房でプロトタイプ制作中

12月19日(金)は、外部企業の方を講師として迎え、金沢での滞在を振り返る『異文化比較データビジュアライゼーションワークショップ』を実施しました。日本、金沢での文化的発見を自国のものと比べ、視覚化することでお互いの学びを共有し合いました。

12月20日(土)は、金沢での最後の滞在の日となり、留学生による最終成果発表会を開催しました。本学学園関係者や学生約40名が集まる中、留学生達は文化的な学びや制作したプロトタイプについて発表しました。発表後には修了証が授与され、留学生達は達成感あふれる笑顔で発表会を終了しました。発表会後は、フェアウェルレセプションが開かれ、本学学生達と歓談しプレゼント交換を行うなど、名残惜しく金沢でのプログラムを終了しました。

留学生達による最終成果発表会

日本滞在最後となる12月21日(日)は、東京に移動し国立科学博物館を見学しました。同館では科学技術の進歩について言葉だけではなく、実物やモデルを通して関心を深めました。その後、浅草界隈や渋谷界隈を視察した際には、日本の仏教信仰や寺社建造物、ファッションやアニメなどのトレンドについての知見を広めることができました。

国立科学博物館見学

雪の中、金沢市内を視察


本プログラム開始当初は、雪が降る冬の北陸での生活に体調管理の面で懸念されましたが、留学生達からは、「雪の中の生活は本当に寒かったが、迎えてくれた学校関係者、活動を共にしてくれた本学学生の気持ちが温かく、参加して本当に良かった。」というコメントをいただきました。技術交流・文化交流を通して本プログラムが留学生にとって有意義なものとなってくれたことを願います。