2026年度 活動レポート 東京科学大学コース:東京科学大学大岡山キャンパス2

さくらサイエンス・ハイスクールプログラム(SSHP) 東京科学大学コース

機械式時計の仕組みに迫る
マレーシアの高校生が東京科学大学で「工学」を体感

10月7日、東京科学大学大岡山キャンパスでのプログラム2日目。来日中のマレーシアの高校生8名と引率者3名は、国際人材育成プログラム(GSEP)の紹介講義を受けた後、機械式時計のワークショップに臨みました。

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■好奇心を学びの出発点に―国際的な環境で工学を学ぶ

午前中は、融合理工学系の阿部直也教授により、東京科学大学と留学生向け学士課程プログラム「GSEP」が紹介されました。東京科学大学は、東京工業大学と東京医科歯科大学の統合により2024年に設立された国立大学です。QS世界大学ランキング2026年では、世界トップ20に入るなど、国際的に高い評価を得ています。
阿部教授は、専門分野の枠を超えて社会課題に取り組む同大の姿勢に触れ、「何をしたいか」だけでなく、「なぜそれをしたいのか」「何のために行うのか」を考えることの大切さを語りかけました。AI、データサイエンス、医学、航空宇宙など、幅広い分野に関心を持つ生徒たちは、阿部教授からの問いを真剣に受け止め、熱心に耳を傾けました。生徒代表は、「好奇心を持ち続けることが学びの鍵である」というメッセージが特に心に響いたと振り返りました。

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■時計の分解で仕組みを探る―ミリ単位の部品との格闘

午後からは、「機械時計の分解・組立ワークショップ~機械時計のしくみを知ろう~」が行われました。講師を務めたのは東京理科大学の斎藤天丸助教です。斎藤助教は、今年3月に東京科学大学(旧東京工業大学)の博士課程を修了しました。在学中は、機構学*の面白さを伝えるために同ワークショップの運営に携わり、今回は母校に講師として招かれました。

*機構学:機械工学の基礎的分野の1つで、機械部品の形状や配置、そしてそれらが互いにどう動くか(運動と力の伝達)を研究する学問。

生徒たちは、斎藤助教による振り子を用いた実験を通じて、時計にとって最も重要な「正確さ」について学んだ後、実物の時計の分解に挑戦。ここで生徒たちを悩ませたのは、時計の部品の小ささでした。ミリメートル単位の精密で壊れやすい部品を扱うため、一人が時計を支え、もう一人がスマートフォンのライトで手元を照らすなど、協力しながらピンセットで慎重に作業を進めました。一緒に挑戦した引率教員も、その難しさを実感したほどです。それでも生徒たちは諦めることなく、各工程を終えるたびに喜び合っていました。

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■時間との戦い―チームワークが試される時計の組み立て

分解の苦労を味わった生徒たちは、細かな部品を扱う難しさを覚悟して、続く組み立て作業に臨みました。まずは、歯車を一定の間隔で少しずつ進める「脱進機」の仕組みを大型模型で理解。その後、実物の組み立てに応用します。

生徒たちが作業に集中するにつれ、教室は深い静けさに包まれました。一人が小さなねじを置き、もう一人が手順を的確に伝えるなど、作業にはチームの連携が欠かせません。組み立ててもうまく動かないと、何度も前の手順に戻って原因を探り、姿勢を変えてさまざまな角度から部品を確認し直すなど、粘り強く試行錯誤を重ねました。制限時間内に完成したチームはなかったものの、2チームが完成まであと一歩。その粘り強さと見事なチームワークに、見守っていた教授陣とマレーシア側の引率者から温かい拍手が送られました。

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■教室で学んだ知識を実体験につなげる―将来の選択肢を広げる

閉会式では、東京科学大学工学院の野崎智洋教授が、今回の体験を周囲に伝え、日本での学びも進路の選択肢として検討してほしいと呼びかけました。3人の生徒が参加者を代表し、活動の準備やプログラム全体を通じた指導に尽力した大学教員に感謝を伝えました。

【参加した高校生の声】

  • 「時計の部品はとても小さく、壊したりなくしたりしないか心配でしたが、お互いに競争しながら楽しく取り組めました。組み立ては分解するより難しかったです」
  • 「時間と忍耐が必要でした。部品を間違った位置に取り付けることもあり、何がうまくいかなかったのか調べて突き止める必要がありました」
  • 「人工衛星の講義で新しい技術に触れたことも印象に残っています。帰国したら学んだことをクラスメートに伝えたいです」
  • 「今回の体験を通して、日本への留学を視野に入るようになりました」

【引率者の声】

  • 「この研修を通じて、生徒たちの視野を広げ、STEM分野への関心をさらに深めてほしいと考えています。今回最も感銘を受けたのは、大学での学びが実社会の応用や実体験と密接に結び付いている点です。理論を学ぶだけでなく、問いを立て、実験し、科学技術を社会の課題解決にどう役立てるかを考えることも科学の大切な営みだと実感できました。大学の環境に触れて得た新しい知識を母国に持ち帰り、将来の科学技術の発展に生かしてほしいと願っています」

小さな時計を前に失敗の原因を探り、助け合った高校生たち。その姿には、阿部教授が語った「好奇心を持ち続けること」が表れていました。工学の面白さと奥深さに触れた本プログラムは、生徒たちが自らの可能性に目を向け、将来の進路を考える貴重な機会となりました。

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