2025年度 活動レポート 第2グループ:インド高校生交流会

さくらサイエンス・ハイスクールプログラム(SSHP)第2グループ

日印科学技術交流年イベント
インド高校生交流会

6月18日(水)、さくらサイエンス・ハイスクールプログラム(SSHP)第2グループとして来日中のインドの高校生74名、引率者5名、計79名は、日本科学未来館7F 未来館ホールにて「インド高校生交流会」に参加しました。
 本交流会は、日印科学技術協力40周年記念イベントとして開催されたものです。

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一列目右から:浅川智恵子 日本科学未来館館長、森本茂雄 科学技術振興機構(JST)理事、
シビ・ジョージ 駐日インド大使、福井俊秀文 部科学省審議官、
藤木完治 JSTさくらサイエンスプログラム推進本部、伊藤宗太郎 同副本部長
三列目以降がインドの高校生

来賓としてご出席いただいたシビ・ジョージ駐日インド大使は、冒頭の挨拶で、インドの各地域から選抜されて来日した成績優秀な高校生たちをたたえ、この一週間、未来の科学技術を学び、存分に体験するよう、激励しました。そして、日本とインドには大黒天とシバ神など、仏教に由来した共通の神様が存在すること、スズキ自動車がインド国内の移動手段として必須であることにも触れ、古くから現在に至るまで、文化的、政治的、商業的に、強い絆で結ばれていることが強調されました。そして、今後一層の科学技術をとおした交流を推進するために、インドの教育機関において日本語を学ぶ機会が増えることへの期待についても言及されました。

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高校生たちに語りかけるシビ・ジョージ駐日インド大使

浅川智恵子 日本科学未来館長の講演では、14歳のときに視力を失ったご自身の生い立ちから、IBM社にてホームページリーダーを開発するまでの道のり、そして現在、研究開発に取り組んでいる「AIスーツケース(https://www.miraikan.jst.go.jp/research/AccessibilityLab/AIsuitcase/)」について語られました。AIスーツケースは、視覚障害者の移動を支援する自律型ナビゲーションロボットです。少女時代に大好きだった日本の古いSFドラマに登場する鳥型ロボット‘チカ'(少年の肩の上にとまって指示をすることで、あらゆる危険を回避してくれるロボット)からインスピレーションを得ていることにも触れられました。「様々なセンサー技術が進化した今こそ、このSFの世界に命を吹き込むとき」という強い思いから、研究開発を決意したという言葉に高校生たちは、胸を打たれたようです。大阪万博の会場をAIスーツケースとともに散策する様子を一心に見つめ、講演後には「インターネットの接続が安定しない場合は?」「バッテリーはどれくらいもつのか?」「コストはどれくらいなのか?」など、多くの質問が繰り返されました。

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AIスーツケースの紹介をする浅川智恵子 日本科学未来館長

また、日本で活躍するインド人若手研究者、Bidisha Dey博士(広島大学大学院特任助教)とDyuti Prakash Sarkar博士(山口大学大学院助教)による特別講演も行われました。
 お二人は、2015年に広島大学で実施された「さくらサイエンスプログラムB.共同研究活動コース」に参加。その後、同大学院にて博士号を取得し、日本でのキャリアを築いている、さくらサイエンスプログラム(SSP)の同窓生でもあります。
 SSPをきっかけとした日本の研究者との出会い、日本での研究生活に加え、研究室の仲間と参加した野球大会や、地元のお祭りの様子なども語られました。

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Bidisha Dey博士
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Dyuti Prakash Sarkar博士

講演後のQ&Aでは、「日本で学ぶことのアドバンテージは?」「日本でカルチャーショックを受けたことはありますか?」「奨学金を得るにはどうしたらいい?」「日本の大学で学ぶとしたら、学部からと大学院からと、どちらがいい?」など、高校生から繰り出される率直な質問の一つ一つに、先輩として親しみを込めながら、丁寧に回答してくださいました。
 日本で感じたカルチャーショックの例としては「時間厳守で、約束の時間の5分~10分前までに集合するのが普通だということ」「電車の中や、街の中がとても静かなこと」が挙げられていました。
 そして、「母国語と英語の二カ国語を既に取得している私たちインド人にとって、新しい言語にチャレンジすることはそれほど難しいことではありません。今回の日本滞在の期間中に、少しでも日本語を覚えることができるといいですね。」と後輩たちにアドヴァイスをする場面もありました。

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