2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第61号 (Aコース)
歯科衛生士養成課程プログラムの体験
-ベトナムにおける歯科衛生士・歯科看護師養成プログラム新設支援-
明海大学保健医療学部口腔保健学科からの報告
明海大学保健医療学部口腔保健学科では、今年度新たに採択されたホーチミン市医科薬科大学(ベトナム)との交流プログラムを実施しました。2026年3月2日から3月8日まで、「歯科衛生士養成課程プログラムの体験-ベトナムにおける歯科衛生士・歯科看護師養成プログラム新設支援-」をテーマとしてプログラムを実施しました。
ベトナムでは、歯科医師および歯科技工士の養成課程は整備されている一方で、歯科衛生士の教育課程は確立されておらず、口腔ケアは主に歯科助手や看護師が担っています。そのため、体系的な教育体制の構築が課題となっています。こうした背景のもと、歯科衛生士の教育課程確立を目指す若手歯科医師教員が来日し、日本における歯科衛生士教育および口腔保健医療の実際について、講義・実習・施設見学等を通して理解を深めました。
【講義・実習の様子】
講義および実習では、日本における歯科衛生士養成課程の体系的な教育内容と臨床における役割について理解を深めることを目的に、以下の内容を実施しました。
- 「4年制歯科衛生士教育のカリキュラムについて」
- 「歯科保健指導・歯科予防処置・歯科診療補助業務と教育について」
- 「歯科衛生士が行う摂食嚥下リハビリテーションと教育について」
- 「周術期等口腔機能管理、訪問歯科診療の実際と歯科衛生士の役割」
各講義では、歯科衛生士が専門性を発揮する多様な領域について、教育内容と臨床での実践例の両面から学修を行いました。特に、歯科予防処置、歯科保健指導、周術期管理、摂食嚥下リハビリテーション、訪問歯科診療など、対象者のライフステージや健康状態に応じた包括的な口腔健康管理の重要性について理解を深めました。また、実習を通して、知識のみならず技術および態度を含めた総合的な能力育成が重視されている日本の歯科衛生士教育の特徴を体験的に学ぶ機会となりました。
【医療機関・施設の見学】
本プログラムでは、日本の医療・介護現場における歯科衛生士の役割および多職種連携の実際を理解するため、医療機関および関連施設の見学を実施しました。
国立がん研究センター中央病院では、歯科口腔外科における周術期等口腔機能管理の実際を見学し、がん治療において口腔管理が果たす重要な役割や、多職種連携の中で歯科衛生士が担う専門性について理解を深めました。特別養護老人ホームでは、高齢者に対する日常的な口腔ケアや食事場面の観察を通して、生活の質(QOL)の向上に寄与する口腔健康管理の重要性を学びました。
また、併設のPDI浦安歯科診療所の見学を通して、地域における歯科医療提供体制および臨床教育の実際について理解を深めました。さらに、明海大学歯学部付属明海大学病院では、診療室の見学に加え、歯科実習用人型ロボット「SIMROID®」を用いたう蝕除去実習を体験し、安全かつ効果的な臨床技術習得を支える教育手法について学びました。加えて、各施設において徹底された感染対策および安全管理の実際に触れ、その意識の高さが質の高い医療提供を支えていることを理解する機会となりました。
【交流および文化体験】
本プログラムでは交流初年度であることを踏まえ、講義・実習に加えて本学教員との意見交換や日本文化体験を通した交流の機会を設けました。学内における意見交換では、歯科衛生士教育のあり方や各国における口腔保健の課題について議論を行い、教育制度や臨床実践の違いについて相互理解を深めました。特に、ベトナムにおける歯科衛生士・歯科看護師養成プログラムの構築に向けた課題や可能性について、多角的な視点から意見が交わされました。
また、川越市において和紙製和綴じノートづくり体験や地域散策を行い、日本の文化や生活に触れる機会を設けました。こうした体験を通して、研修生は日本社会への理解を深めるとともに、交流を一層深めることができました。
【まとめ】
本プログラムを通して、研修生は日本における歯科衛生士教育および口腔保健医療の実際について、講義・実習・医療機関見学等を通して体系的に理解を深めることができました。
ベトナムにおいて歯科衛生士養成課程が確立されていない現状を踏まえ、本プログラムは、歯科衛生士および歯科看護師の養成プログラム構築に向けた具体的な知見を得る貴重な機会となりました。
研修生からは、「日本における歯科衛生士の役割や業務内容を実際に学ぶことができ、今後の教育体制整備に向けた大きな示唆を得ることができた」との感想が寄せられました。今後も本学では、ホーチミン市医科薬科大学との連携を一層深化させ、教育および研究の両面から交流を継続するとともに、ベトナムにおける歯科衛生士制度の確立に向けた支援に取り組んでまいります。あわせて、本プログラムで得られた知見を今後の国際共同教育の発展に活かしてまいります。
この場をお借りして、本学さくらサイエンスプログラムにご協力いただきました皆さまに心より感謝申し上げます。