2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第58号 (Aコース)
半導体・量子技術を主軸とした日台高校生による科学交流と共同研究
大阪府立千里高等学校からの報告
大阪府立千里高等学校は台湾の国立中科実験高級中学(NEHS)から生徒および教員を招へいしました。両校は10年来の交流実績があり、本プログラムは「半導体と量子技術で未来課題を解決する」をテーマに、昨年12月の本校生徒による台湾訪問、および10月からのオンライン共同研究の成果を対面で深めるための最終フェーズとして実施されました。
【第1・2日】ホームステイと量子技術の基礎実験
関西国際空港に到着したNEHS生は、本校生徒の家庭で3泊4日のホームステイを行いました。ホームステイでは「ひな祭りや日本の家庭料理を通じた文化体験」を通して日本と台湾の生徒間で交流し、相互理解の土台となりました。 2日目には、本校において量子コンピューターに関する予備実験を実施しました。偏光板を用いた物理実験やIBMのクラウドプラットフォームを用いたシミュレーションを行い、授業で学ぶ理論が最先端の量子技術にどのように応用されているかを確認しました。生徒からは、学術的な知識が実社会の技術に直結している点に驚いたという意見が多く寄せられました。
【第3日】京都における企業研修
京都に本社を置くローム株式会社および京セラ株式会社を訪問しました。 ローム株式会社では、半導体の基礎講義に加え、開発、営業、広報といった多角的な視点から「キャリア」に関する座談会が行われました。一つの製品が世に出るまでの組織的な連携について学び、将来の進路選択における具体的な示唆を得る機会となりました。 京セラ株式会社では「京セラファインセラミック館」を見学しました。素材の進化が宇宙開発や深海探査を支えている現状を学び、稲盛ライブラリーでは経営哲学についても知見を深めました。技術革新の背景にある「働くことの意義」について考察する機会となりました。
【第4日】共同研究発表会と学術交流
全校生徒による歓迎会および共同研究の発表会を実施しました。10月からオンラインで進めてきた「環境問題」「生態系」「社会習慣」などの研究成果を対面で発表。例えば、クマに対する「駆除(日本)」と「保護(台湾)」の価値観の違いや、飲料に含まれる糖分量の比較など、同じ事象でも国や文化によってアプローチが異なることを実証的に示しました。 午後は大阪大学・神戸大学の大学院生を交え、英語によるグループディスカッションを行いました。「AIによる職業の変化」をテーマに、専門的な英語を交えながら意見を交換。語学力以上に、論理的に情報を伝える意思の重要性を再確認する場となりました。夜には理科研究部との天体観測を行い、科学を通じた交流を継続しました。
【第5~7日】大学研究室訪問と総括
神戸大学統合研究拠点の三木拓司教授を訪ね、量子コンピューターの最前線について講義を受けました。実際に研究室の極低温冷却装置を見学し、実験機器の運用について現役大学生から説明を受けました。 最終日には、1週間の成果をまとめたリフレクション発表会を実施し、JSTの修了証が授与されました。参加生徒たちは、将来的に国際的な研究現場で協力し合うことを目標に掲げ、全行程を終了しました。