2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第53号 (Aコース)
“食べる”を支えるチーム医療
-歯科衛生士の摂食嚥下リハビリテーションと訪問健康管理プログラムの体験-
明海大学保健医療学部口腔保健学科からの報告
明海大学保健医療学部口腔保健学科では、2月2日から2月8日に「“食べる”を支えるチーム医療-歯科衛生士の摂食嚥下リハビリテーションと訪問健康管理プログラムの体験-」をテーマにプログラムを実施しました。
檀国大学校歯衛生学科(韓国)の学部生6名と引率教員1名が来日し、老人保健施設における歯科衛生士の役割や摂食嚥下リハビリテーションに関する講義・実習、本学学生とのグループワーク等を実施しました。今年で3度目の交流であるため、これまでの取り組みを通じて関心が高まっていたこともあり、今回来日した学生たちはより強い興味と意欲をもって参加していました。
【講義・実習の様子】
「食べる機能が低下している方」への支援方法を学ぶため、装具を身に付けて片麻痺患者の状態を再現し、食事を口に運ぶことの困難さを体験しました。すべりにくいお皿や形状が変化するスプーンなどの自助具を通常の食具と比較することで「わずかな工夫が患者の自立度や食事の安心感を大きく左右する」ことを実感した様子でした。
また、歯科用ユニットを使用した食事介助の実習では、姿勢の違いが「食物の飲み込み」の安全性に与える影響を学びました。さらに「在宅患者の口腔衛生管理実習」では、高齢者の口腔内等を再現したシミュレーター MANABOT®を用いて、口腔内の観察や口腔ケアの実習を行いました。
【老人保健施設の見学】
浦安市特別養護老人ホームにて、常勤歯科衛生士から「施設における歯科衛生士の役割や業務内容」に関する講義を受けました。入所者の口腔ケアや食事場面を見学する中で、研修生たちは「日々の小さな変化を見逃さない観察力」が求められることを強く感じていました。
特に、口腔ケアが食べる機能の維持だけでなく、生活の質(QOL)向上に直結していることを目の当たりにし、施設で働く歯科衛生士の専門性と責任の大きさを学びました。
また、歯科衛生士が管理栄養士や看護師、介護職と連携しながら入所者のお口の健康を支えており、多職種と協働することの重要性についても考えることができました。
【外部施設の訪問】
東京大学高齢社会総合研究機構では、「日本の高齢者に対する保健・医療の現状と課題」や「地域におけるオーラルフレイル予防対策」について講義を受けました。高齢社会が直面する課題を俯瞰的に理解し、「高齢社会の中で歯科衛生士が果たす役割の広がり」を学びました。
口腔リハビリテーション多摩クリニックでは、嚥下内視鏡検査(VE)や口腔機能評価、摂食嚥下訓練を見学しました。実際の臨床現場で患者一人ひとりに合わせた訓練が行われている様子を見て、「評価と訓練の根拠を持った介入の重要性」を学びました。
東京都健康長寿医療センター研究所では、高齢者に対する大規模健康調査の見学を行い、研究が高齢者支援の実践にどのように活かされているかを知る貴重な機会となりました。
【朝日大学病院の訪問】
朝日大学病院では、摂食嚥下障害患者に対する精密検査の方法や、患者に提供されている食事について説明を受けました。コメダ珈琲と共同開発された「TOROMIコーヒー」の試飲を行い、「食の楽しみを損なわずに安全性を確保する工夫」を体験的に理解することができました。
その後、朝日大学歯科衛生士専門学校の学生との交流会に参加し、昼食を共にしながら互いの学びや将来の目標について語り合いました。
【本学学生との交流】
本学学生とのグループワークでは、「自分の目指す歯科衛生士像」「高齢社会で求められる歯科衛生士の役割」「多職種連携における歯科衛生士の役割」について意見交換と発表を行いました。
他大学の学生と価値観を共有することで、「自分の将来像を言語化することの大切さ」や、「歯科衛生士としての専門性をどのように社会に還元していくか」を考えるきっかけとなりました。7日間の交流の中で、国境を越えて同じ専門職を目指す仲間としてのつながりを深めることができました。
研修生からは、「この研修を通じて、日本の超高齢社会における歯科衛生士の役割と業務について多角的な視点で学ぶことができる貴重な機会となった。」との感想をいただきました。 今回の貴重な経験を活かし、今後も檀国大学校をはじめとする海外の歯科衛生士養成機関との交流を一層深化させ、国際的な視点を持った歯科衛生士の育成に努めてまいります。
この場をお借りして、本学さくらサイエンスプログラムにご協力いただきました皆さまに心より感謝申し上げます。