2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第50号 (Bコース)
籾殻からの液晶材料開発に関する国際共同研究
九州工業大学大学院工学研究院
教授 中戸 晃之さんからの報告
標記のテーマで、2026年1月15日から20日間、タイ・コンケン大学から学生3名、若手研究者1名、引率教員1名、タイ・タクシン大学から学生2名と若手教員1名、教員1名の合計8名を招へいし、標記の国際共同研究活動を行いました。
タイなど東南アジア圏では、農業廃棄物として大量に発生するイネ籾殻の有効活用が求められており、高付加価値材料への転換が可能になれば学術・産業の両方へ大きなインパクトをもたらします。そのためには、籾殻の主要成分であるセルロースやケイ素酸化物を有効活用する必要があります。受入研究室(九州工業大学工学部応用化学科集合体化学研究室)では、粘土(ケイ素酸化物の一種)やセルロースナノクリスタル(CNC:セルロースの70%を占める結晶性粒子)からコロイド液晶を開発する研究を行ってきたことから、コロイド液晶の技術を用いて籾殻からの機能材料開発、特に液晶性を利用する光学材料開発が可能になると考え、本国際共同研究の立ち上げをめざしました。
来日前にオンラインによるオリエンテーションを実施し、活動の準備をしました。1月15日に来日し、翌日にかけて受入機関の施設視察と共同研究内容についての打ち合わせを行い、週明けより本格的な実験に入り、粘土コロイドを用いた液晶の作成と観察、光散乱を用いたCNCコロイド中の粒子計測などの実験を、本学の大学院生と共同で実施しました。
期間中の1月23日には、受入学科である九州工業大学工学部応用化学科とのジョイントシンポジウムThe 4th KKU/TSU–Kyutech International Symposium on Chemistryを行いました。受入学科では国際交流に力を入れており、さくらサイエンスプログラムなどで海外の学生、若手研究者を招へいした折には、毎回ジョイントシンポジウムを行っています。学生や若手教員による講演と質疑応答を主体とするシンポジウムで、回を追うごとに日本、タイ双方の学生のコミュニケーションスキルが向上しており、さくらサイエンスの活動が双方にとって重要な役割を果たしていることを実感できました。
また、招へい期間中に、関連研究機関として、ケイ素酸化物粒子の表面を粘土に変換する独創的な研究を行っている信州大学工学部の岡田友彦教授を訪問し、研究内容のレクチャーを受けるとともに、施設見学を行い、岡田教授も含めた共同研究へ向けた議論を行いました。招へい者には、日本の雪国の体験も刺激的だったようです。
最終日の2月2日には成果の取りまとめを行い、今回の招へいで立ち上げた研究の今後の展望について議論しました。全期間を通じて、招へい者と受入研究室の学生や教員との間で活発なディスカッションが行われ、充実した共同研究活動となりました。特に、今回新たに招へいしたタクシン大学の参加者からは、今後の国際交流の継続・発展へ向けて強い意欲が披瀝されました。これからも、今回の成果をもとに、日本-タイ間の国際交流を一層発展させるプログラム展開を考えたいと思います。
最後に、招へいの機会をいただいたJST、訪問を受け入れていただいた信州大学の岡田先生、本学の教員‧学生‧事務の皆様に深く感謝申し上げます。