2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第47号 (Aコース)
港湾都市における環境・都市政策と歴史的都市空間の再構築を学ぶ
横浜市立大学からの報告
2026年3月1日から8日までの8日間、横浜市立大学(YCU)は台湾の国立高雄大学(NUK)から教授および学生7名を迎え、「港湾都市における環境・都市政策と歴史的都市空間の再構築」をテーマとしたプログラムを実施しました。YCUの学生も参加し、横浜・東京・鎌倉を舞台に、講義・施設見学・まち歩きを組み合わせたプログラムを行いました。本プログラムは、昨年9月にNUKで開催されたワークショップと連動しています。YCUの海外都市課題実習として参加学生が取り組んだ課題を発展させる形で構成され、参加学生は高雄との比較を通じて学びを深めました。
プログラムの中核の一つは、横浜市のみなとみらい21地区における都市再生と脱炭素の取り組みです。横浜市立大学みなとみらいサテライトキャンパスを拠点に、講義と現地見学を組み合わせて実施しました。
講義では、横浜市の脱炭素政策や港湾エリアにおける環境施策について学びました。みなとみらい21地区は、環境省が公募する脱炭素先行地域に選定されています。また、みなとみらい21熱供給株式会社の協力により、地域冷暖房システムのプラント見学も行いました。さらに、横浜港のカーボンニュートラルポート計画について学び、次世代船舶燃料の供給や洋上風力発電の活用などの多様な施策に参加者は興味を示しました。
都市再生の分野では、横浜市が1970年代から進めてきた関内地区、みなとみらい21地区、山手地区などの都市デザインについて、講義とまち歩きを通じて学びました。学生たちは歩行者ネットワークを実際に歩きながら、持続可能性や歩行者重視の考え方が都市計画の段階から組み込まれていることを体感しました。また、歴史的建造物の保存や公開空地の確保を条件にインセンティブを与える誘導型まちづくりの仕組みも、台湾との制度比較の観点から参加者の関心を集めました。
コミュニティに根ざした都市再生の事例として、鈴木研究室が長年関わっている黄金町地区の文化芸術による地区再生も見学しました。かつて治安上の課題を抱えていた高架下空間が、行政・アーティスト・地域住民の協働によって創造的な文化拠点へと再生した過程を学び、物理的な環境改善だけでなく社会的なつながりや地域アイデンティティの再構築が重視されている点に参加者は強い関心を示しました。
さらに、住民と計画者が画面上でリアルタイムにアイデアを共有できる参加型都市デザインツール(デジタル・VR活用)の実演も体験し、台湾での応用可能性について活発な議論が行われました。
東京では、三菱地所株式会社の協力により、大手町・丸の内・有楽町地区におけるエリアマネジメントの取り組みを見学しました。民間企業や地域協議会が主体となって公共空間の整備や歩行者環境の向上を進めている点は、高雄の都市管理との比較の中で参加学生に新しい視点を与えました。
最終日には鎌倉を訪れ、報国寺や鎌倉大仏などの歴史的空間を見学しました。文化的背景の中で自然環境や歴史的風土が保全されている様子は、都市計画・文化保全・持続可能性が多様な形で結びつき得ることを参加者に印象づけました。
8日間のプログラムを通じて、YCUとNUKの学生は各地の現場で積極的に学び、互いの視点を共有することで議論を深めました。本プログラムを通じて築かれた両大学の学生・教員間のつながりが、今後の共同研究や継続的な交流の基盤となることを期待しています。横浜市立大学と国立高雄大学は、持続可能な都市の発展に向けた国際的な教育・研究連携を今後もさらに発展させてまいります。
最後に、JSTならびに本プログラムの実施にご協力いただいたすべての機関・企業・関係者の皆様に心より感謝申し上げます。