2025年度 活動レポート 第38号:立命館大学

2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第38号 (Aコース)

インド・日本のサステナビリティのための環境インフラ分野の技術体験と教育連携

立命館大学からの報告

2025年12月7日から13日までの7日間、インド工科大学ハイデラバード校(以下、IITH)より、GANAPATHY NAGARAJAN 先生および学部生8名を招へいし、日本の環境インフラ分野における先端技術を実践的に学ぶ科学技術体験コースを実施した。
 本プログラムは、環境インフラ技術をテーマに、大学の研究施設に加え、地域に根ざした民間企業や自治体の現場視察を組み合わせることで、理論と実践を往還しながら学修することを目的としている。また、IITHと立命館大学の学生による混成チームでのPBL(Problem-Based Learning)型のグループワークを通じて、専門性に加え、異文化理解力や国際協働力を備えた次世代理工系人材の育成を目指した。

【11月28日】(オンライン交流)

来日前の事前オンライン交流を実施し、見学・訪問先の概要、プログラム全体のスケジュール、来日時の生活上の留意点等を共有した。これにより、参加者の理解を深め、円滑なプログラム実施に向けた準備を進めた。

【12月7日】

関西国際空港に到着後、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)へ移動した。

【12月8日】

オープニングセレモニーを実施し、理工学部学部長 里深 好文教授より歓迎の挨拶が行われた。続いて、実施主担当者である理工学部・惣田 訓教授より、本プログラムの趣旨および全体構成について説明がなされた。
 また、本学に在籍するインド出身教員である理工学部・PAUL HANNIBAL助教より、日本で学び・働く経験や自身の研究・キャリア形成について講演が行われ、参加学生にとって将来像を考える貴重な機会となった。
 その後、昼食を兼ねたキャンパスツアーを実施し、研究設備や学生の学修環境を見学したほか、日本語講座および日本文化体験を通じて、文化的背景への理解を深めた。

【12月9日】

立命館大学理工学部の「水環境工学研究室」「クラウドロボティクス研究室」、ならびに生命科学部の「高分子材料化学研究室」において研究室見学・研究交流を行った。各研究室では、環境・ロボティクス・材料分野における研究内容について説明を受け、活発な質疑応答が行われた。
 午後は、一般廃棄物処理およびリサイクルを担う草津市立クリーンセンター(草津市)を訪問し、廃棄物処理の実際の工程を見学した。都市生活を支える基盤インフラの重要性について、現場を通じて理解を深めた。

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クラウドロボティクス研究室・王 忠奎 准教授から研究内容の説明を受ける様子

【12月10日】

環境分野における総合的な技術支援を行う株式会社日吉(近江八幡市)を訪問し、分析検査、維持管理、工業薬品、施設管理、環境保全などの事業内容について説明を受けた。併せて社内ラボラトリーを見学し、環境分析・評価業務が環境インフラの運用および維持管理を支えていることへの理解を深めた。
 また、同社の立ち合いのもと沖島へ渡り、近江八幡市沖島浄化センター(近江八幡市)を訪問した。約250人の島民の生活排水を処理する回分式オキシデーションディッチ法を見学し、地域特性に応じたインフラ設計の工夫について学んだ。

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株式会社日吉ラボラトリーツアー
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近江八幡市沖島浄化センターにて施設の説明を受ける様子

【12月11日】

日本がインドに対して建設協力を行っている高速鉄道の原点である新幹線の乗車体験(米原~京都間)を実施した。短時間ではあったが、高速性・定時性・安全性を支える鉄道技術と運行システムを体感し、日本のインフラ技術への理解を深めた。その後、立命館大学国際平和ミュージアムを訪問し、戦争と平和、人権、国際社会が直面する課題について学んだ。科学技術が人々の安全や平和に果たし得る役割について、多角的に考える機会となった。

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国際平和ミュージアムスタッフと意見交換する様子

【12月12日】

IITHと立命館大学の学生の混成チームによるPBL成果発表会を実施し、各チームがテーマ別に学んだ内容を発表した。異なる専門・文化的背景を持つ学生同士が協働することで、実践的な国際協働力を育んだ。発表会終了後、理工学部副学部長より、さくらサイエンスプログラムの修了証が授与された。

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修了証が授与されたIITH一行

【12月13日】

BKCから関西国際空港へ移動し、一行は帰国の途についた。

本プログラムを通じ、招へい者は日本の環境インフラ技術や都市機能を支える仕組みについて、研究室見学および企業・自治体の現場視察を通じて体系的に学ぶことができた。加えて、日本文化や大学の研究環境に触れることで、日本社会への理解を深める機会ともなった。
 また、2025年度夏期にIITHへ派遣した本学学生にとっても、今回の受入サポートやPBLへの参画を通じて、国際交流への関心をさらに高める契機となり、主体的な国際協働の実践的な経験を積む機会となった。今後も本学は、次世代の理工系人材育成と国際的な教育・研究連携の強化に向けた取り組みを継続する予定である。
 本プログラムの実施にあたり、JSTならびに関係者の皆様のご支援に深く感謝する。