2025年度活動レポート(一般公募プログラム)第36号 (Bコース)
タイのバイオマス原料を用いた液中プラズマ材料合成に関する共同研究プログラム
名古屋大学・チュラロンコン大学国際連携サステイナブル材料工学専攻からの報告
2026年1月19日から2月7日にかけて、名古屋大学(齋藤研究室)においてB.共同研究活動コースのプログラムを実施しました。本プログラムは、教員、研究者、学生との学術交流を通じて、実践的な研究トレーニングを推進するとともに、将来の共同研究の可能性を探ることを目的としています。 参加者は、研究アイデアの構築、実験室での研究活動、講義やセミナーへの参加、ならびに先端材料分析施設の見学を行いました。日本の学生、さらに学術界および産業界の専門家との継続的な交流と議論を通じて、参加者の研究スキルが向上するとともに、将来の協力につながる研究ネットワークが構築されました。
プログラムのはじめに、齋藤研究室の教員および学生の紹介ならびに研究分野の説明を目的として、オリエンテーションを実施しました。オリエンテーションでは、研究の進め方(研究ワークフロー)の説明、実験室の安全教育、ならびに日本での日常生活に関する案内も行いました。また、タイにおいてこれまでに実施してきた研究内容を発表し、それぞれのスキルやバックグラウンドを共有し、プログラムの目的および期待される成果を明確にするためのディスカッションを行いました。さらに、参加者は名古屋大学のノーベル賞研究展示を見学し、基礎科学研究の重要性と社会に与え得る影響について理解を深めるとともに、今後の研究への着想を得ました。
本プログラムでは、タイに豊富に存在するバイオマスを活用し、溶液プラズマ法を用いて燃料電池における酸素還元反応(ORR)用Pt触媒のカーボン担体を作製する研究に取り組みました。参加者はまず、基礎講義および安全教育を受講した後、齋藤研究室メンバーの指導のもとで実験実習に参加しました。実験操作、電気化学デバイスの作製、ならびに基礎的な材料評価を通じて、データの取り扱い、トラブルシューティング、チームワークに関する実践的な研究スキルを、本学の教員およびインターナショナルな学生たちとの密接な交流を通して習得・向上させました。
実験室での研究活動に加え、参加者はBMMP2026シンポジウムに参加しました。本シンポジウムでは、バイオミメティック材料に関する最先端研究およびエネルギー・環境分野への応用が紹介されました。国際的な研究環境の中で活発な議論が行われ、参加者の視野を広げる貴重な機会となりました。シンポジウム終了後、参加者はトヨタ関連の自動車施設を訪問し、産業界におけるエネルギー技術の実用化について学びました。特に、クリーンエネルギー車や持続可能なエネルギー利用に関する考え方について理解を深めました。
また、本プログラムでは、あいちシンクロトロン光センターを訪問し、放射光の原理や運用、分析目的に応じたビームラインの選定、ならびにXAFSなどの代表的な分析手法に関する講義を通じて、材料分析における先端研究基盤の役割について学びました。これらの経験を通して、現代の材料科学研究における大規模研究施設の重要性への理解が一層深まりました。
研究・実験活動に加え、参加者は名古屋城および名古屋市科学館を見学し、日本文化への理解を深めるとともに、日本の研究・科学技術発展を支える思考様式(科学的マインドセット)について学びました。これは、日本で研究交流を行う上で重要な要素となりました。
複数回にわたる実験、データ解析、ならびにグループディスカッションを経て、参加者は最終研究発表を行い、研究成果を教員および学生に向けて報告しました。その結果、バイオマス由来カーボン材料が燃料電池用途において高い可能性を有することを確認するとともに、将来の共同研究に向けた研究課題および研究方針を提案しました。これらの経験を通じて、参加者は技術的スキルおよび科学的知識を向上させただけでなく、持続可能な学術的協力ネットワークを構築しました。
総括として、本プログラムは、高度な研究トレーニングおよび学術交流を統合することにより、当初の目的を十分に達成し、国際的な研究協力を強化するとともに、参加者が将来の共同研究に取り組む意欲を高めました。参加者による集中的な取り組みと齋藤長宏教授からの貴重なご助言を通じて、本プログラムで得られた研究成果を今後さらに発展させ、近い将来、学術誌への投稿に向けて準備を進める予定です。JSTならびに齋藤研究室の皆様の多大なるご支援に心より感謝申し上げます。